清楚な人妻が見透かされた瞬間、若い男の視線にほどけた夜

土曜日の午後。
蝉の声がうるさいほどに響く、真夏の駅前通り。
熱気を逃れるように入ったカフェの中、私は冷たいアイスティーを手に、静かに息を整えていた。

――今日は、いつもより少しだけ「女」でいたかった。
くすんだグレーのパンツスーツ。白のノースリーブブラウス。
薄く巻いた髪にベージュのリップ。派手すぎない、けれど隠してもいない清楚さ。
鏡に映る自分を見て、私は確かに「誰かに見られること」を意識していたのだと思う。

そんなときだった。
視線を感じて、ふと顔を上げると、ひとりの青年がこちらを見ていた。

黒のTシャツ、細身の体。くしゃっとした髪に、どこか線の細い輪郭。
若さの中に、妙に大人びた陰りを湛えた目だけが、異様に印象的だった。
そしてその瞳は、私の「奥」を見透かすようにまっすぐで――、私は飲みかけのグラスをテーブルに置いた。

彼はそのまま、ゆっくりと立ち上がって、私のテーブルへと歩いてきた。

「すみません、ここ…空いてますか?」

声は思ったより低く、しっとりとした湿度を含んでいた。

「ええ、どうぞ」

思わず笑顔がこぼれていた。
彼の視線に射抜かれるたび、心がざわついていたのに。
それでも、断る理由を探せなかった。

彼の名は「悠」。
大学三年生、美術を学んでいると言った。
私は名を名乗らず、「営業をしています」とだけ伝えた。

「…やっぱり、見た目通りですね」
「見た目?」
「きれいで、品があって…でも、全部わざとじゃない」
「…それ、褒めてるの?」

「褒めてます。ものすごく」

照れるどころか、背筋に熱が走った。
彼の目が私を舐めるように追い、体温だけが上がっていく。
ボタンの隙間、ブラウスのシルエット。そこに隠された“女”の存在を、彼は最初から見抜いていた。

「少し歩きませんか」
彼のその言葉に、私は何も考えず頷いた。
手を繋ぐでもなく、距離を保ちながら歩く帰り道。
それでも、夕暮れの空の下、私の心臓はずっと早鐘を打っていた。

「もし…俺と、このまま、どこかへ行くとしたら」

並んで立ったビルの影の中、彼は静かに言った。

「あなたは、後悔しますか?」

そのとき、私はもう、後戻りできないところにいた。
首を横に振った私の指先を、彼がそっと取った。
ひんやりした指先。でも、熱を含んでいた。

ホテルの一室。
キーを差し込む音がやけに響いた。
私たちは言葉を交わさないまま、カーテンの奥の光だけに包まれた部屋に入る。
そして、彼の腕が、背後から私の腰にまわった瞬間。

「……綺麗すぎて、触れるのが怖かった」
「…嘘」
「本当。…でももう、我慢できない」

彼の手が、私の下腹部をゆっくりと撫で上げた。
薄布越しに感じるその手のひらが、肌を焼くように熱かった。
ブラウスの前立てがはだけ、レースのブラが露わになる。
そのまま彼の唇が、鎖骨に触れた瞬間、私は声を殺して肩を揺らした。

「あ…っ、や…」

口では拒んでいても、身体は抗っていなかった。
乳房に触れる指、唇。
舌先が柔らかく尖り、中心を円を描いて何度も舐められるたびに、私は身体の芯をぎゅっと締めつけられたような感覚に包まれていった。

「スーツって、脱がすのが楽しい」
そう言って、彼が私のパンツのファスナーに指をかける。

「待って…」

そう言ったのに、彼の目を見た瞬間、言葉がほどけた。
下着ごと滑り落ちる生地。
頬が火照り、太腿の内側が粘ついているのが自分でもわかった。

彼がベッドに私をそっと押し倒す。
そして、目の前に現れた――。

ズン、と腹の奥に圧が走るような存在感。
青年の身体に似合わぬ、それは私の中の“常識”を突き破るほど太く、長かった。
――こんなにも違うものなの…?

唾を飲み込む音すら恥ずかしいほど、見つめてしまっていた。

「無理そうだったら、やめる」
「…でも、あなたを受け入れたいの」
それは、まぎれもなく本音だった。

彼がゆっくりと腰を沈める。
濡れていたはずなのに、私の中は悲鳴をあげるほどきつく、そして熱かった。
最奥まで届いた瞬間、声にならない喘ぎが喉の奥から漏れた。

「すごい…いっぱい…」
「大丈夫?」
「わからない…でも、気持ちいい…」

動くたび、ぐっ、と奥まで押し上げられ、子宮が揺さぶられるような衝撃が走る。
私の中が、自分でも信じられないほど彼に絡みつき、咥え込んでいく。

そのたびに、意識が遠のきそうになる。
「私、どうにかなりそう…」
汗に濡れた額を重ね、喘ぎと快感が重なっていく。

脚を絡め、腰を跳ね返すように動かしながら、私も彼の肩を引き寄せる。
もう誰でもない、「私のもの」になっていた。

何度果てたのかわからない。
ベッドの上で、何も纏わず、シーツだけを抱きしめる私の背中に、彼が触れる。

「あなたって…全然、清楚じゃない」

「…だから、見透かされたって思ったの」

二人で笑った。
でも、涙がひとすじ、頬を伝っていた。

この夜をどう名づければいいのか、私はまだ知らない。
でも確かに、あの視線に見透かされた瞬間、私は女としてほどけた。
理性も、羞恥も、誰かの目も。
――ただ、自分を赦した夜だった。

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