浴衣の夜、神社の森で元カレと──主婦がほどけた禁断の再会【官能体験談】

夏の終わりが、こんなにも寂しく、こんなにも甘く胸を焼くものだったなんて──
私はあの夜、はじめて知った。


今年の夏祭りは、子どもと夫がそれぞれ予定で出払っていた。

「たまには、ひとりで行ってくれば?」
夫のその言葉に、少しだけ胸が疼いた。

一人で浴衣を着るなんて、何年ぶりだろう。
ネイビーの地に白い撫子の模様。くっきりと肌を引き立てる一着を、無意識に選んでいた。
背中を撫でるように帯を結びながら、私は鏡の中の自分を見つめる。

「こんな私を、まだ誰かが欲しがると思ってるの?」
ふと笑みがこぼれる。
でも、その微笑みはどこか、期待に似た熱を含んでいた。

家を出ると、夕暮れの空はまだ少し明るく、蝉の声が賑やかに響いていた。
神社の境内で行われる夏祭りは、町の風物詩。
子どもの頃から変わらない屋台の灯りと、太鼓の音。
懐かしさと、何かが始まりそうなざわめきが、胸の奥をかき立てた。

そして、彼がそこにいた。


「……達也?」

神社の鳥居の脇、提灯の明かりに照らされた横顔。
一瞬、記憶が追いつかず、呼吸が止まった。
でも、その声に彼はゆっくり振り向いて、少しだけ目を細めた。

「まさか……沙織?」

達也──大学時代に、私がすべてを預けた人。
結婚が決まって、私のほうから別れを告げた。
あのときの彼の沈黙が、いまでも私の記憶のどこかに突き刺さっている。

「久しぶり……」

たったそれだけの会話。
でも、言葉の隙間に、あの頃の熱が濃く滲んでいた。

「少し、歩かないか?」

彼の声は、低く、あの頃よりも大人びていた。
うなずくと、私たちは静かに境内を離れ、人のいない参道へと足を進めた。

神社の裏手。
苔の生えた石段を越えると、森の奥へと続く小径がある。
そこは、かつてふたりで何度も逃げ込んだ、秘密の場所だった。

蝉の声が遠ざかり、代わりに風の音が耳を満たす。

「変わらないな、ここ……」
「うん。でも、なんでだろ。さっきよりずっと、息が苦しい」
「それ、俺のせい?」
「……わからない」

でも、本当はわかっていた。
彼の目が、私の浴衣の胸元を一度だけ掠めたとき、私の心拍は確かに乱れた。


「沙織……ずっと、思い出してた」
「……私も」
「今の君に触れたら、もう戻れなくなるってわかってても」
「……もう、戻るつもりなんてない」

その言葉と同時に、彼の手が私の帯に触れた。
少しだけ汗ばんだ指先が、結び目をほどいていく。
しゅるりと音を立てて落ちる帯に、風が通る。

浴衣の合わせが開き、素肌が夜気にさらされる。

「……脱がせてもいい?」
「もう……脱がされてる」

笑う余裕なんてなかった。
彼の手が、首筋から鎖骨をなぞり、胸元を優しくなぞる。
帯の下、下着のラインをすくいながら、彼の口づけが忍び寄ってくる。

唇が私の膝裏に触れた瞬間、私は小さく声を漏らした。
しゃがんだ彼が、浴衣の裾をめくり、太ももを開かせる。
そして、舌が、そこに触れた。


ひと舐め、ふた舐め。
まるで味を確かめるように、ゆっくりと。

彼の舌先が、内側の花びらを掬い、濡れた奥を押し広げる。
そこはもう、とっくに熱く濡れていた。
まるで、彼を待っていたように。

「すごく、甘い」

囁かれたその言葉に、私は思わず脚を閉じそうになる。
けれど彼の手が優しく押し広げ、さらに深く舌を滑り込ませた。

敏感な突端を探り当てた瞬間、腰が跳ねた。
彼の舌がそこをゆるやかに転がし、吸い上げ、そして指が静かに加わる。

「や……あ、あぁ……」
押し殺した声が喉の奥で震え、彼の指が奥の奥にまで入り込む。

水音が、夜の静寂の中で淫らに響いた。

「今度は……俺の番」
そう言って、彼が自身をあらわにした。


私の手が、自然と伸びていた。
触れると、その硬さと熱に指先が包まれる。
そして、唇を開いて、そこをゆっくりと迎え入れた。

ぬめりとした味。彼の息遣い。
根元まで咥えこむたび、喉の奥で小さく喘ぎ、唾液がつたう。
彼の指が私の髪に添えられ、リズムをつくる。

「そんなに……されると、我慢できない」

唇から放したその瞬間、彼は私を抱き寄せ、地面に押し倒した。
浴衣の布を乱したまま、私は彼を受け入れる。

まずは、正常位。
ゆっくりと、奥まで。
彼の瞳を見ながら、私は自分が開かれていくのを感じていた。

後背位では、突き上げられるたびに頬が石にこすれ、快楽の音が零れる。
そして最後は、騎乗位。
自ら動くたび、彼の奥まで飲み込み、快感の波を自分で起こしていく。

「……沙織……」

彼が果てると同時に、私も背筋を反らせて絶頂にのまれた。
夜の森が、私たちの呼吸だけを抱いていた。


浴衣を直しながら、私はふと空を見上げた。
星が、涙ぐんだ目に滲んでいた。

「帰れる?」
「……身体は。でも、心はもう、ここに残ってる」

夜風が頬を撫でるたび、彼の舌の感触がよみがえる。
あの夜、私という女は、ふたたびほどけてしまった。

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