年下レズビアンに愛された私 水上由紀恵 川村まや
【第1部】午后の光にほどける私──「優しい奥さま」が見せた影
私の名前は 結衣(ゆい)・32歳。
九州から転勤してきた夫の会社の社宅は、整然としているのにどこか乾いた空気が流れていた。
まだ土地に馴染めず、夫も忙しくて家にほとんどいない。
沈黙の多い部屋で、私は少しずつ自分が「薄くなっていく」感覚を抱えていた。
そんな日々で、**Y代さん(48)**はまるで季節を運ぶ風のような存在だった。
明るく、優しく、年上特有の包み込む空気があって、
会えばいつも笑顔を向けてくれる。
夫の上司の奥様という距離を超えて、
自然に“姉のようなもの”になっていた。
一昨日の午後。
その日も晴れて、窓辺のレースが揺れていた。
「結衣ちゃん、ちょっとだけお邪魔するわね。コーヒー淹れてくれる?」
そう言ってY代さんが微笑んだ瞬間、
部屋の空気がふわりと変わった。
コーヒーを飲みながら他愛ない話をしていたはずなのに、
どこからか話題の温度がゆっくり上がっていき、
気づくと“夫婦のこと”へ触れていた。
「ねぇ結衣ちゃん……最近、ちゃんと抱かれてる?」
指先でカップをなぞるY代さんの仕草が、妙に艶っぽかった。
喉の奥が、静かに締まるような感じがした。
「……そんな話……」
否定しようとしたのに、声がわずかに震えた。
Y代さんは微笑んだ。
柔らかいのに、有無を言わせない圧のある笑み。
その瞬間から、私はもう、逃げ道を見失っていた。
肩に触れられたのは、ほんの軽い接触だったはずなのに、
そこからじわりと熱が広がった。
服の上から胸元に触れる指先は、
“冗談”と呼ぶには明らかに長く、ゆっくりで、
指の腹で探られるたび、息が乱れた。
「冗談……ですよね?」
言いながら、私の声は自信を失っていた。
触れられた場所の奥で、
何かがひっそりと目を覚ましていくのが分かった。
その目覚めが、ほんの少しだけ嬉しかった。
【第2部】唇が触れた瞬間、世界は反転した──抑えきれない沈黙の熱
隣へ座り直したY代さんは、
何も言わずに私の顎を指ではさみ、ゆっくりと顔を自分の方へ向けた。
近い。
息が混じる距離で見つめられ、
私は一瞬、視界が白くにじんだ。
「結衣ちゃん……ねぇ、こっち向いて」
囁きが耳の中で震えた瞬間、
Y代さんの唇がそっと重なった。
柔らかくて、吸い込まれるようで、
キスなのに、溺れる感覚がした。
私は椅子の背に手を伸ばそうとしたのに、
腕にうまく力が入らない。
胸の奥が、ふるふると震えていた。
服の隙間に指が入りこみ、
ブラの留め具が「カチッ」と外れる音がやけに響いた。
肌に触れた指先は、冷たいようでいて熱く、
胸元に滑った瞬間、
体が勝手に《ピクン》と跳ねた。
「そんなに可愛い反応するの……?」
耳元で笑われ、その笑みが背骨へ落ちていく。
あの瞬間、
私は自分の身体が“他人の手によって開かれていく”感覚を、
生まれて初めて正しく理解した。
声を抑えたはずなのに、
唇からこぼれる息が勝手に震え、
触れられるたびに、
脚の付け根がじわりと熱を帯びていく。
「ほら……ね、力抜いて」
囁きが甘く沈むたび、
世界がゆっくりと遠くなっていった。
そして気づけば私は――
スカートの布がふわりと宙を舞う感覚だけを覚えていた。
下着が滑り落ちる冷たい音が、
逆に皮膚を熱くした。
Y代さんの指先が、
触れた瞬間、
私の呼吸は完全に奪われた。
その後の二度の大きな波は、
名前すら持たない震えが身体の奥で爆ぜて、
私を見知らぬ場所へ運んだ。
「結衣ちゃん……かわいい……もっと見せて」
肩越しに感じた視線の濃度。
スマホのシャッター音が、
なぜか“許されていく”ように響いた。
私はもう、抵抗の仕方を忘れていた。
【第3部】脚を開く音まで記録された夜──秘密は体の内側に沈んでいく
「ねぇ、最後にもう一つだけ……」
そう言ってY代さんは、
私の膝にそっと手を置き、
軽く押すだけで脚が開いていくことを、
最初から知っていたようだった。
私は胸の鼓動を聞かれたくないのに、
息が乱れるほどに脈打つ音が自分でもはっきり分かって、
その恥ずかしさすら快感へ変わっていく。
彼女の指が、私の手を掴んだ。
導かれるまま、
触れちゃいけない場所へ連れていかれる。
「ここ……自分で触ってごらん?」
自分の身体なのに、
自分の意思では動かせない。
指先が沈んだ瞬間、
スマホの画面がゆっくりと角度を変えた。
「うん……その顔、すごく綺麗……」
言葉が肌の上を這い、
声にならない息が漏れ、
部屋の空気は完全に甘く満たされていた。
奥の方から押し上げてくる波が、
からだ全体へ一気に駆け抜け、
自分が壊れてしまうような感覚の中で、
私は、
見られながら溶けていくという現実に、
どうしようもなく酔っていた。
そして最後の震えが静かに収まった時、
Y代さんは唇で私の額をなぞり、
名残惜しいような声で言った。
「来週……もっと良いこと、してあげる」
【まとめ】秘密の続きは、もう私の中で始まっている
その日の夜。
シャワーを浴びながら、私は何度も思い返していた。
触れられた場所の温度。
囁きの湿り気。
見られることへの恐怖と、抗えない悦び。
夫には絶対に言えない。
でも――
あんなふうに感じたのは、人生で初めてだった。
来週、あの扉を開ければ、
私はまた“知らない自分”に会うのだろう。
そしてその予感だけで、
胸の奥が静かに、
でも確かに、疼いていた。




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