第一章:六月の雨、鍵を開けたのは「海斗」という名の青年
「こんにちは。○○生命の古川です──」
声がかすかに揺れていたのは、湿気のせいだけじゃない。
私は古川沙織、47歳。都内で保険外交員として働きながら、家庭では“夫の影”のような存在になりつつある人妻。
今日も営業カバンを手に、何の感情もなくチャイムを押したはずだった。
「どうぞ……あ、ちょっと散らかってて」
ドアを開けたのは、23歳の青年・海斗くんだった。
黒髪がまだ雨で濡れていて、首元のTシャツがわずかに透けていた。
うっすら浮かぶ鎖骨と、汗ばむ肌の匂い──。
その瞬間、私の視線はほんの数秒、彼の喉元に留まってしまった。
初対面だった。でも、私の中で、何かが微かに軋んだ。
この軋みは、欲望の予兆だったのかもしれない。
「保険、考えたことないですけど……話、聞きます」
そう言って、彼は私を部屋に招き入れた。
一人暮らしらしい簡素な空間。けれど、妙にあたたかかった。
狭さが、距離を縮める──そんな錯覚。
私たちの会話はごく普通だったはずなのに。
ふとした瞬間、彼の指が私の髪に触れたとき、私は本能的に目を閉じていた。
「綺麗だと思ったんです、初めて見たときから」
彼の言葉に、胸の奥がじわっと濡れていくような感覚。
その湿り気は、やがて太ももへと伝っていった。
第二章:ほどかれるブラウス、舌が描く罪の曲線
「……ほんとに、こんなことしていいの?」
私の問いに、海斗くんは黙って頷いた。
その瞳には、迷いではなく、欲望と覚悟が滲んでいた。
私は、彼の膝の上に跨がるようにして座った。
スーツの上着を脱ぎ、ブラウスのボタンを一つずつ外していく──彼の視線に見られながら。
レースの下着に包まれた胸が露になると、彼は目を細め、舌先をその谷間に滑らせた。
「沙織さん、柔らかい……」
彼の唇が、乳房の尖りをふくむと、身体の奥から電流のような快感が走った。
舌先が花びらをすくうように、繊細に、濡らしながら、優しく吸われる。
私の指は彼の髪をかき上げ、腰が自然と前へ揺れていく。
「もう……やだ……恥ずかしい……」
言葉と裏腹に、私の下着はすでにぐっしょりと濡れていた。
それを彼は知っていたのだろう。
スカートを膝までめくり上げ、ショーツの上から唇を寄せてきた。
じっとりと滲んだ布地を、舌で撫でる。
下着の隙間から、彼の舌がゆっくりと入り込んでくる。
「ふっ……あっ……ダメっ……そんな……」
私の脚が自然と開き、彼の舌が奥へ奥へと進んでいく。
彼の顔にすべてを晒すことへの羞恥と、逆らえない快感が交錯して、喉から濡れた声が漏れた。
唇、舌、そして時折、甘く吸いつかれる刺激が、私の奥をかき混ぜていく。
腰が浮き、指がソファを握りしめた瞬間、私はひとつ、声にならない絶頂を迎えていた。
第三章:体位の変化に溺れながら、女として目覚めていく
「沙織さん、今度は僕の番──いいですか」
ベッドへ移された私は、海斗くんの熱くなったものを、両手で包み込んだ。
その硬さと熱に、喉がごくりと鳴る。
唇でそっとふくみ、舌で螺旋を描くように、丁寧に愛した。
彼が小さく喘ぐ声に、私の中の官能が花開いていく。
じっと見つめながら、唇で包み、喉奥まで招き入れる──その行為自体が、私を美しく変えていくようだった。
「気持ちよすぎて……もう、たまらない」
彼は私を押し倒し、ふたたび体を重ねてきた。
最初はゆっくりと、正常位で。
唇を重ねながら、彼の熱が奥へと届くたび、体の奥から快楽の波がせり上がる。
やがて、体位は変わっていく。
うつ伏せの私の背中に彼の手が添えられ、後ろから打ち込まれるように突き上げられるたび、ベッドが軋み、私の声がこぼれる。
「…そこ……っ、もっと……強く……っ」
汗が滴り、胸が揺れ、理性がとけていく。
彼の体温が私の背中に流れ込んで、心さえ抱かれているようだった。
そして、彼の上に私が跨り、ゆっくりと腰を動かしたとき──
私の中に眠っていた“女”が完全に目を覚ました。
海斗くんの熱を、自分のリズムで包み込んでいく快楽。
彼が私の腰を掴み、果てそうになるたび、私はその瞬間を引き延ばすようにゆらめく。
「……中に……いいの……あなたの全部、私にちょうだい」
そう囁いたとき、彼は私を強く抱きしめ、激しく脈動する熱を、私の奥に放った。
ふたりの吐息だけが、部屋に残った。
終章:肌に残る熱と、心に刻まれる赦し
ベッドに横たわる私の背中に、彼の掌がそっと触れた。
髪を梳かれる感触に、私は目を閉じたまま微笑んだ。
「また、来てくれますか」
彼の声は、どこか子どものように寂しげで。
私は応えるかわりに、彼の頬に唇を落とした。
今日、私は人妻でも営業員でもない。
ただ、一人の女として、誰かに求められ、愛されていた。
それだけで、充分だった。
過去も、年齢も、皮膚の緩みさえも──
彼の舌が、指が、熱が、それらすべてを“赦して”くれた。
私はゆっくりと下着をはき、スカートを整え、扉の前で振り返る。
「また、来るわ。保険の続きをね」
微笑んだ私に、彼は黙って頷いた。
その瞳の奥に灯った熱は、まだ、私の中で燻っていた。



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