夫の目を盗んで通うジムが、私の日課になったのはいつからだったろう。
35歳、専業主婦。子どもはいない。夫は仕事人間で、平日の私はまるで空き家のように自由だった。
「健康のためよ」
そう言い訳をして通い始めたのに、
鏡張りのスタジオで自分の肢体が汗に濡れるたび、私の中の“女”が目を覚まし始めていた。
とくに、彼が現れてから――。
Steve。
22歳のアメリカ人。
しなやかな筋肉と透き通るような青い瞳。
無造作に結んだブロンドの髪と、甘く低い英語混じりの日本語。
「まゆみさん、今日のヒップリフト、すごくきれいだった」
その言葉に頬が熱くなる。
褒められたのが「フォーム」なのか「お尻」なのか、わからないまま、私は彼の目を見て微笑んだ。
指導中でも視線が合うと、彼の目は私だけを追っていた。
他の主婦たちの視線が私に刺さる。けれど、その小さな背徳の痛みが快感だった。
ある日、いつものティラピスのあと、シャワーを浴びようとして更衣室を出たとき、彼が立っていた。
「今日も綺麗だった」
その一言だけで、膣の奥がじんわりと疼いた。
もう、この若い男の声だけで身体が反応している――そう気づいて、私は口を開いた。
「……これから、予定あるの?」
「ないですよ」
笑った彼の白い歯が、陽射しにきらめく。
私は唇を濡らして言った。
「じゃあ、私の家で……ごはん、食べない?」
昼下がりの陽が差し込むリビング。
私は残り物のラタトゥイユを温めながら、彼の横顔を何度も盗み見ていた。
ワインを開け、グラスを合わせると、彼の指が一瞬だけ私の手に触れた。
その感触が、脈のように全身へ伝わっていく。
「……まゆみさん、肌が綺麗ですね」
そう囁いたあと、彼はゆっくりと私の頬を撫で、唇を寄せた。
触れた瞬間、頭の中が真っ白になった。
こんな昼間に。夫のベッドのあるこの家で。
私は若い男に唇を奪われ、舌を絡められていた。
気づけば彼の手が胸元に入り込み、私の乳房をゆっくりと持ち上げる。
「んっ……」
吐息がこぼれた瞬間、彼の熱い指がブラの中に潜り込んだ。
私は身体を預け、ソファへと倒れ込んだ。
ゆっくりとジーンズを脱がされ、Tシャツも引き抜かれ、ブラを外されると、湿った空気が乳首を撫でた。
「欲しかった……ずっと」
その言葉とともに、彼の舌が乳首を捕らえ、震えるほどの快感が背骨を駆け上がる。
私の指先は、彼のジーンズの膨らみに手を伸ばしていた。
ジッパーを下ろすと、下着の奥から現れたものは、思わず息を飲むほど雄々しくて、若かった。
熱く、脈打ち、濡れている先端――私は喉奥まで咥え込み、舌でなぞりながら、昼間の家の静けさに背徳の音を響かせた。
「……中に、入れて」
自分でも驚くほどに自然にその言葉が出た。
彼はコンドームをつけることなく、私の中に滑り込んできた。
入ってきた瞬間、奥の奥まで届くほどの硬さに、私は声を押し殺した。
座位で彼にしがみつき、揺られながら乳首を吸われると、脚が震えて彼の腕にしがみつく。
正常位に体位が変わると、彼は息を詰めて私の奥を貫いた。
濡れすぎていたせいか、彼は私の膣奥に深くまで入り、体ごと震わせながら絶頂を迎えた。
温かい吐息とともに、私の胸に彼の体液が滴った。
そしてまだ萎えぬ熱を保ったまま、彼は私を四つん這いにさせて、後ろから貫いてきた。
腰を打ちつける音、溢れる蜜の音が、静かな部屋に淫らに響いた。
午後6時。
彼を見送ってすぐ、私は部屋を整え、シャワーを浴び、
夕食には冷凍していたシチューを温めた。
午後8時、何も知らない夫が帰ってくる。
「一緒に、風呂に入らないか?」
珍しく誘ってきた夫の手を取ったとき、胸がチクリと痛んだ。
でも、私は浴室で夫の性器を口に含み、
そのままベッドに引き倒され、
昼の記憶を押し殺すように、激しく抱かれた。
主人が私の身体を求めるほど、昼間の浮気が興奮へと変わっていく。
ひりつくほどに使われた秘部が、それでも快楽を迎え入れようと濡れていく。
翌朝、
鏡の前で裸の自分を見ると、そこには誰のものともつかない指の跡が、うっすらと残っていた。
この身体は、いったい誰のものなのか――
その問いに答えられないまま、私はまたジムへと向かう。
彼がいるかもしれない、その期待と、
もう一度堕ちてしまいたいという、静かな渇きに突き動かされて。



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