文京区にある女教師が通う整体セラピー治療院2
まさか、学校では堅くて真面目なあの先生が、こんな淫らな姿になるなんて…えぇ、えぇ、生徒の皆さんには全く想像できないでしょう。でもね、いつも悶々としてるんですよ女教師は。セックスがしたくて仕方がないんです。普段押し殺しているからこそ、性欲が解放された時のいやらしさは尋常ではございません。
【第1部】触れてほしい場所を忘れたふりをする日常
私は亜季、39歳。
関西郊外のどこにでもある街で、
静かに、でも少しずつ乾いていく日常を生きている。
夫とは悪くない。
ただ “女” を感じる瞬間は、
いつのまにか記憶の奥にしまい込まれていた。
堂々と欲しがるほど若くない。
でも、もう枯れるには早すぎる。
そんな矛盾が胸の下で小さく渦巻いていた頃、
「女性専用・男性セラピスト・出張マッサージ」
という文字がスクリーンに浮かんだ。
スクロールする指が止まる。
理性が止めようとしても、
心と身体が、先に反応してしまった。
“女として触れられたい”
その本音を、
私は自分ですら認めたくなかった。
それでも予約フォームに名前を入力し、
「送信」を押した指先は震えていた。
返信メールには、
短い優しい文が添えられていた。
「担当はMと申します。安心してお待ちくださいね」
安心して?
私はなにを期待しているの?
そう問いかけながら、
その夜はなかなか眠れなかった。
【第2部】触れていないところが、先に反応していく
インターホンが鳴った瞬間、
鼓動がいつもより一拍早く跳ねた。
玄関に立っていたMさんは、
静かな目元と、丁寧な笑み。
ワンピース型のルームウェアに着替え、
照明を落とした部屋でうつ伏せになる。
「では、背中から失礼しますね」
低い声が耳に落ちた直後、
温めたオイルが肩に触れた。
一度撫でるたびに、
固まっていた疲れがほどけていく。
背骨をなぞる指が
ゆっくりと腰へ近づいていくたび、
呼吸が深くなるのを隠せない。
「力、抜いてくださいね」
「……はい」
吐き出した息に合わせて、
Mさんの手が沈む。
その圧が、
身体の奥の、触れられたことのない場所を
呼び覚まそうとしているようだった。
太ももの内側へ。
でもぎりぎりのところで離れていく。
そのたび、
行き場を失った熱が
身体のどこかに溜まっていく。
言葉にできないざわめきが
下腹部の奥で波打ち、
胸の奥まで震わせる。
(触ってほしい……)
言葉にならない願いが
バレないように奥歯を噛む。
「呼吸、すごくいいですよ」
そう言われた瞬間、
身体の中心がひとつ跳ねた。
見られている。
気づかれている。
触れられてはいないのに、
触れられているよりも敏感になる。
仰向けになると、
視線をどこへ置けばいいかわからなくなる。
目が合えば、
きっと壊れてしまう。
お腹に手が置かれた瞬間、
息が喉の奥で止まった。
ゆっくり、押して、ゆるめて。
そのたびに、
――あと少しで、越える。
そんな錯覚が走り、
私の脚は気づかぬうちに
指先のほうへと近づいてしまう。
「大丈夫ですか?」
「……だいじょうぶ……」
本当は大丈夫じゃない。
わかっているくせに、
優しい声がすべて隠してくれる。
熱が、息づかいに混ざる。
「……っ……」
噛み殺した声が、
胸の奥で震えていた。
【第3部】触れないからこそ、身体の奥が騒ぎ出す
施術が終わると、
身体は軽いのに、
心は妙に重たい。
満たされたはずなのに、
どこかがまだうずいている。
お茶を飲む手が、微かに震えた。
「緊張、少し抜けましたね」
「……そう見えます?」
「はい。呼吸が素直でしたから」
素直。
その言葉が胸に刺さる。
見透かされている──
それだけでまた、身体が熱を帯び始める。
「また、お疲れになる前に呼んでくださいね」
帰り際のその一言が、
次の夜を招き寄せる。
玄関が閉まる音がして、
静けさが戻った部屋で、
私は息を深く吸い込む。
セックスじゃない。
でも、それ以上に乱される。
触れられていない場所が
いちばん騒いでいるなんて、
誰にも言えない。
月に1〜2回、
Mさんを呼ぶようになって。
彼の手は、
私の心の奥の境界線を
そっとなぞる術を知っている。
触れないからこそ
求めてしまう。
届かない距離にこそ
欲望は形を与えられる。
あの夜から私は、
タオルの下の自分を
知ってしまった。
女であることを
思い出してしまった。
眠りにつく前、
私は自分の胸の上に
手を置いてひっそりと呟く。
「また少しだけ、乱されたい」
その言葉を
誰にも聞かれないように。
まとめ──ギリギリの距離が、いちばん危険で甘い
触れそうで触れない。
越えてはいない。
でも、もう戻れない。
彼の手の温度と、
境界線の上で揺れる指先が、
私の理性をやさしく溶かしていく。
これは依存じゃない。
ご褒美。
そう言い聞かせながら。
玄関のチャイムが鳴るたび、
私は「女の私」を静かに起こす。
セックスでは満たせない場所を、
セックスではない指先が満たしていく。
だからまた、
月に一度の扉を開ける。
「次は、どこまで近づいてしまうんだろう」
そんな微かな恐さとともに、
甘い期待を隠しながら。




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