第一章:形だけの愛に、心が乾いていた夜
夫と暮らす横浜・桜木町の高層マンション。
表面上は恵まれているはずの38歳の私――陽菜(ひな)は、
ある晩、夫の背中を見つめながら、静かに唇を噛んでいた。
「ねぇ、今日は……」
「疲れてる。ごめん」
それだけ。
彼の寝息がすぐに聞こえ始め、私は隣でひとり、目を閉じた。
抱かれていないわけではない。でも、感じていない。
“抱かれる”のではなく、“済まされている”だけの夜。
女の熱がどこにも行き場を失ったまま、
私は身体を整える理由をこじつけて、夜のジムに通い始めた。
出会ったのは、10歳以上年下のトレーナー、直也(なおや)。
引き締まった身体。黒いシャツ越しにも伝わる胸筋と腕。
指導は丁寧で、どこか距離感のない眼差しをしていた。
「このストレッチ、奥までしっかり効かせたいんです。いいですか、僕に任せて」
その言葉のあとに触れられた太もも。
彼の指は、私の内ももを確実に捉え、じわりと押し広げた。
息が、詰まった。
けれどそれは恐れではなかった。
そのとき初めて、私は誰かに「女として見られている」と気づいたのだった。
第二章:欲望の奥、濡れていく予感
更衣室前の静けさに包まれた廊下。
その夜、彼――直也は、低い声で私を引き止めた。
「このあと、少しだけ……僕に、時間をもらえませんか」
その声音に、身体が先に反応していた。
無言で頷くと、私は彼の背中に導かれるまま、個室のストレッチルームへと足を踏み入れた。
閉ざされた空間。
柔らかな間接照明が落とす影と、天井からひと筋だけ漏れる白い光。
そこに、私の影と、彼の影が、重なった。
マットに横たわると、彼の手がふくらはぎに触れた。
そのまま、膝裏をなぞり、内腿へ。
「……柔らかい。ずっと、触れてみたかった」
そう囁く声が、肌に落ちる熱と同じ温度をしていた。
次第に、ウェアの裾が捲れ、私の脚の付け根まで、彼の指が届いた。
生地越しに撫でられたその場所は、すでにじっとりと湿っていて、
彼は驚いたように、けれどどこか嬉しそうに微笑んだ。
「こんなに濡れてる……ずっと我慢してたんですね」
私は答えられなかった。
羞恥が、言葉を奪った。けれど、身体は嘘をつけなかった。
その瞬間――
彼の舌が、私の下腹部を這った。
ストレッチウェアのウエストを下ろされ、まるで礼拝のように、花の中心へ口づけが落ちた。
「……ん、あ……っ」
吐息が、勝手に漏れる。
彼の舌先は、溶けかけた蜜をすくうように、敏感な奥を円を描いて撫でた。
内腿を押し広げ、彼は丁寧に、深く、舌を沈めていく。
「声、聞かせてください。もっと……あなたの奥まで知りたい」
顎を上下に動かしながら、舌の根で突くように、そしてまた甘く吸い上げる。
私はマットの上で、背中を反らせ、指先をぎゅっと握りしめた。
快楽が、波のように押し寄せてくる。
そして、私の手が、自然と彼の髪を掴んだとき。
彼は顔を上げ、静かに微笑んだ。
「今度は……俺に、味を見させてください」
そう言って、私の肩を押し倒すと、彼自身を露にし、私の唇に当てがってきた。
私は、目を閉じて、それをゆっくりと口に含んだ。
太く熱を帯びたそれが、舌の上を這い、喉奥に触れるたびに、
唾液が溢れ、頬が熱く染まっていった。
彼は私の髪を優しく撫でながら、時に震えるような声を漏らす。
「すごい……気持ちいい……そのまま、奥まで……」
唇をすぼめて、ゆっくり上下させながら、舌先で先端を転がす。
彼の腰がかすかに震え、指が私の頬を包み込んだ。
そして――
彼は私を引き起こし、そっと仰向けに寝かせた。
「奥まで、ちゃんと繋がりたい」
その言葉の直後、私の中へ、彼の熱がゆっくりと挿し込まれていく。
「はぁ……っ、あ……っ」
すべてを受け入れた瞬間、身体の奥が焼けるように痺れた。
彼は私の脚を肩にかけると、深く、何度も突き上げてくる。
私の身体は波のように揺れ、乳房はウェアからはみ出し、
突起を舌で転がされるたびに、腰が勝手に跳ねた。
やがて体位が変わり、私は彼の膝の上に跨がる。
騎乗位――
彼を奥まで咥え込むと、私の中心は蜜で満ち、ぬるぬるとした音が部屋に広がった。
「……自分で動いて……そのまま、僕を壊してください」
私は、ゆっくりと、腰を揺らした。
彼の目を見ながら、何度も深く沈み、喘ぎ、震えた。
そして――
最後に彼が私を後ろから抱き寄せ、後背位で貫いた瞬間、
私は、奥の奥から崩れ落ちた。
「んんっ……あ、あっ、もう、だめ……っ」
快楽の果てで、身体が硬直し、視界が白く染まっていった。
静寂の中、私たちは裸のまま抱き合い、余韻に沈んだ。
第三章:目覚めた身体、濡れた余韻と朝焼けの光
朝、私はまだベッドの中で、
昨夜の“熱”が残る股間を、そっと太腿で挟んでいた。
ベッドサイドのレースカーテン越しに、やわらかな朝日が差し込んでいる。
白いシーツの上には、私と彼――直也が重ね合ったままの、
湿った痕跡が、艶やかに残っていた。
まるで、私が**“女”として再び生まれた記念日**のように。
私はゆっくりと身を起こし、ベッドの端に腰を下ろした。
股間の奥に、まだ彼の熱の名残がある。
揺らすたびに、内腿を伝って蜜が落ちる感覚――
あのとき、どれだけ深く満たされたのかを、改めて思い知らされた。
部屋の静けさを破るように、背後から彼の声が届いた。
「……もう起きたんですね」
振り返ると、彼がベッドの中から上半身を起こし、
私の裸の背中に視線を這わせていた。
「後ろ姿……めちゃくちゃ綺麗です。
昨夜、ずっと見てた。何度も、何度も……沈んでくるたびに」
彼の言葉に、頬が熱を帯びた。
けれど羞恥心よりも、心の奥にじんわりと広がるのは、誇らしさだった。
私は彼のもとへ戻り、ベッドの縁に腰を下ろす。
すると、彼は私の手をとって、指先に口づけを落とした。
「まだ……濡れてますね」
彼の指が、そっと太腿の内側に触れた。
震えながら蜜をすくい、その指をゆっくりと舐めあげる。
「ほんのり甘い。
……陽菜さんの味、ずっと忘れられないと思う」
次の瞬間、彼は私をベッドに押し倒した。
そして、ゆっくりと脚を開かされ――
また、彼の舌が、朝の光の中で私を味わい始めた。
快楽が、再び波のように身体を揺らしていく。
「だめ……朝なのに、そんな……」
そう言いながらも、私の指先は彼の髪を掴み、
身体は素直に、次の波を迎えようとしていた。
そのまま、彼の体温が再び私の中へ――
挿し込まれるたびに、心が、深い場所で震えていった。
「奥まで……ちゃんと、全部入れて……」
「はい、陽菜さんの奥まで、ちゃんと、全部……」
正常位でゆっくりと、
騎乗位で深く重なり、
最後は彼が後ろから、私の脚を持ち上げて突き上げてくる。
ベッドの軋む音と、蜜が溢れる湿った音。
それらが、私たちの“朝の祈り”のように響いていた。
やがて、彼が奥で果てたとき、
私は胸の上で彼を抱きしめ、静かに目を閉じた。
朝食の時間になっても、私たちは言葉を交わさなかった。
代わりに、指と指を絡めて、裸のままベランダに立った。
横浜の街を見下ろすその景色は、
どこか見慣れたはずなのに、まったく違って見えた。
私は、もう昨日の私じゃない。
愛されることに慣れすぎて、
“濡れること”すら忘れていた女が、
あの夜、快楽の中で再び生まれたのだった。
そして、彼が囁いた。
「この関係、続けてもいいですか?」
私は、少しの沈黙のあと、
小さく微笑んで、頷いた。
なぜならこの身体は、まだ――
もっと深く、もっと激しく、
彼に抱かれることを、欲していたから。
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