【第1幕:封印されていた私が、目を覚ます夜】
何度も顔を合わせていたはずなのに、その日だけは空気が違っていた。
カラオケルームの薄暗がり、マイクを握る手の距離に、なぜか指先が触れそうだった。
冗談まじりの歌声が、やがて言葉にならない沈黙に変わる。
「信じてるから」と言った彼の言葉は、優しいはずなのに、どこか濡れていた。
キスなんて、もう何年もしていなかった。
夫とでは交わることもなくなり、口づけなんてなおさら――
なのにその夜、私は拒むどころか、音の鳴る唇を許してしまった。
柔らかく吸われた舌の奥で、何かが溶け出すようにほどけていった。
乱れていく呼吸、脚の間がじわりと熱くなるのを感じたのは、
彼の指先が、何気なく太ももに触れた瞬間だった。
この人に抱かれたら、私はどうなってしまうんだろう――
それなのに、怖くなかった。
むしろ…知りたかった。
【第2幕:知らなかった私の奥、彼だけが開いた】
助手席のシートが倒れ、私は横たえられていた。
窓の外は夜の闇、世界から切り離されたような車内。
彼の指が首筋から胸元へ、服越しに這い、乳房を探り当てる。
ボタン一つずつ外されていくたび、羞恥よりも先に息が跳ねた。
「こんなに敏感だったんだね」
囁かれながら、乳首を抓られた瞬間、声が漏れた。
乾いた吐息、濡れた視線。
初めてのように感じてしまう自分に戸惑いながらも、
彼の指に導かれ、私は脚を開いてしまっていた。
その夜、ホテルの部屋では
鏡の前でバックにされ、後ろから責められながら、
自分の顔が崩れていく様を見せられた。
耳元では「気持ちいいんだろ?」と低く囁かれ、
背中を叩かれるたび、甘い電流のような快感が脊髄を駆け抜けた。
こんな自分がいたなんて知らなかった。
優しくされることが快感だと思っていたのに、
私の身体は――命令され、縛られ、逃げ場を奪われるたびに、
恍惚の深みに沈んでいく。
フェラチオが、嫌いだったはずなのに。
今では、彼に「もういいよ」と言われるまで夢中でしゃぶっている。
「上手くなったね」と撫でられると、
私のなかはもっと濡れてしまう。
【第3幕:悦びに堕ちた私の奥で疼くもの】
「声、我慢しなくていいよ」
そう囁かれた瞬間、私は喉の奥からくぐもった声を漏らしていた。
四つん這いで責められるたびに、
クチュクチュと淫らな音が部屋に響く。
腰を何度も突き上げられ、子宮の奥まで満たされる感触に
脚が震え、指がベッドを掴んで離せなかった。
そのまま正常位にされ、目を見つめられながら突き上げられた時には、
「ダメ…もう無理…」と喘ぎながら、また達していた。
何度目だったのか、もうわからない。
「お前の身体、全部俺に開発されてるよ」
そう言われた時、私の心は完全に溶けてしまった。
夫との義務的な営みでは、感じたことのない奥の疼き。
そして行為のあと、汗と彼の匂いに包まれたシーツの中で、
私はただの“女”になっていた。
ふと、リビングで家族と過ごす日常のなかでも、
あのときの指の動きや、乳首を引っ張られた感触がフラッシュバックする。
そして、また会いたくなる。欲しくなる。
もう戻れない。
私は彼に抱かれることで、自分自身に目覚めてしまった。
――あの夜、鏡越しに見た快感に震える自分の顔だけが、今も私の奥で疼いている。



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