夫の目が、私の奥まで見つめていた。
扉のすき間から、静かに、執拗に──まるで私の「奥底の欲望」までを見抜いているような眼差しだった。
ベッドの上で私は脚を開いていた。
薄いワンピースは、すでに胸元から太腿まで乱れ、
白のレースのブラはずらされ、片方の乳首が彼の唇に包まれていた。
「見えてる…あなたに、全部」
夫の視線を感じながら、私はあの青年の頭をそっと押しつけた。
その舌が乳輪の端をなぞった瞬間、わたしの中にぬるい熱が滲み出したのがわかる。
「お願い…もっと吸って」
自分でも驚くほど甘い声が漏れていた。
彼の手が、ワンピースの裾から忍び込んでくる。
下着は、濡れきってとろとろに絡みついていた。
布越しに指で撫でられるだけで、私は震えた。
「あ…そこ、だめ…」
嘘だった。
“だめ”なんて言葉は、もっとして、の裏返し。
彼がゆっくりとショーツを下ろす。
腿を伝って落ちるその感触だけで、内腿がくすぐったく熱くなり、私は膝をさらに開いていた。
夫が見ている。
私が、他の男に脱がされて、濡れていく姿を──
それだけで、身体の芯がきゅうっと疼いた。
「触っても…いい?」
彼が問うまでもなく、私は自分の指で、膣口をそっと開いて見せた。
「…見て、濡れてるの」
指の腹でなぞると、ぬめりとともに愛液が糸を引く。
その光沢に、彼の目が見開かれ、夫の息づかいが遠くから届いてきた。
恥ずかしい。でも──もっと見て欲しかった。
彼の指がそっと入ってくる。
ゆっくりと一本、そして二本。
柔らかく、でも確実に内側をかき回してくるたび、
私は息を詰めて、背中を仰け反らせた。
「だめ、声が…っ」
喘ぎ声を抑えるほど、声が淫らに漏れる。
指が膣内で円を描き、奥に届いた瞬間、
「あぁっ…そこ、そこ、もっと…!」
わたしは濡れた音とともに、夫に“全部聞かせるように”叫んでいた。
「挿れてもいい?」
彼が腰を押しつけてきたとき、私は脚を絡めて引き寄せた。
彼の熱く膨らんだそれが、私の入口をなぞる。
びくっと震える。
入口はすでに柔らかく、びしょ濡れで、飲み込む準備はとっくにできていた。
「お願い、奥まで──」
ゆっくりと入ってくる。
熱くて、硬くて、膣壁をぐっと押し広げながら、ずぶずぶと根元まで貫かれていく。
「ぁあっ…深い…っ」
中がきゅうきゅうと収縮するのが、自分でも分かる。
夫が見てる、夫が聞いてる。
その背徳が、快楽を何倍にも増幅させる。
「奥、突いて…もっと」
打ちつけるたびに、ぐちゃっという音が響く。
ぬめりが絡み合い、肉が打ちつけ合う音。
そのすべてが、部屋中に満ちていく。
私は、見せつけていた。
夫に、他の男に突かれて、感じて、イきそうになってる姿を。
「イくっ…あなたの前で、わたし、イっちゃう…っ!!」
膣がぎゅっと締まり、身体が跳ねる。
白くなる意識の奥で、夫の息が乱れているのが聞こえた気がした。
事が終わり、濡れた身体を彼に抱かれながら、私はゆっくりと目を開いた。
「見てた…?」
夫が、そっと頷いた。
「すごく、綺麗だったよ」
「……妬かなかった?」
「…少し。でも、それ以上に──興奮した」
その夜、夫は私を強く抱いた。
今までにないほど深く、激しく、愛おしげに──
【あとがき】
見られることで開かれる悦びがある。
欲望の肯定が、愛に近づく瞬間もある。
私はいま、確かに“誰かの女”ではなく、
「私自身」として女だったと、あの夜を思い出すたび、思うのです。


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