春の風は、まだ少しだけ冷たくて、私はその冷たさに肩をすくめながらインターホンを鳴らした。
家庭教師のバイト。
京都の大学に入って三ヶ月。一人暮らしにも慣れ、家計簿に「少しの余裕」が欲しかった。
派遣先は、私より7つ年下の中学二年生の女の子。名前は美咲ちゃん。
三人家族で、父・母・娘の暮らすその家は、ひとことで言えば「品がいい」――そう感じた。
木目の揃ったフローリング。無駄のないインテリア。
そして、廊下に響く低く落ち着いた声。
「どうぞ、お入りください。いつもありがとうございます」
美咲ちゃんの父、弘さん。47歳。
黒髪に白いものが少しだけ混じる短髪。スーツ姿がどこか、俳優のように整っていた。
最初は目も合わせられなかった。
けれど何度か通ううち、ふとした拍子に目が合い、彼が微笑んだことがあった。
「先生、うちの娘、あなたが来るのを楽しみにしてるんですよ」
その声は、優しく、どこか深く沈んでいた。
私は、彼のことを“理想的なお父さん”だと思っていた――あの夜までは。
【関係のきっかけ】
その日は、いつもより少し遅い時間に授業が終わった。
玄関で靴を履いていると、背後から声がかかった。
「先生、少しだけお時間ありますか?美咲のことで少し……」
はい、と返事をする前に、彼の目を見てしまった。
穏やかで、でもどこか寂しげで。
「車、出します。近くに、静かな場所があるんです」
気づいたときには助手席にいた。
大学ではこんな人に出会わない。
それだけで、彼の隣にいることが「特別」に感じられた。
車は街を離れ、山道へ。
コンビニの灯りが遠くなっていくにつれ、胸の中がざわめき始めた。
そして――車が止まった。
【戸惑いと揺らぎ】
「娘のことじゃなくて……君のことが、気になってた」
運転席の彼の横顔は、普段よりも陰が濃く見えた。
「初めて君を見た時から、どこか懐かしい感じがして。……困らせたね」
「……いえ……」
断る言葉が、喉の奥で絡んで出てこなかった。
「触れても、いい?」
頬に指先が触れた瞬間、息が止まった。
冷たいようで、じわりと熱を持つ掌。
そのまま、唇が頬に落ちてきて――私は、閉じた瞼の奥で、何かがほどけるのを感じた。
【身体が覚えてしまったこと】
後部座席に移された私は、彼の手の中でゆっくりと解かれていった。
ストラップがずり落ち、ブラウスの前が開かれていく。
少し冷えた車内に、私の肌が晒され、鳥肌が立つ。
けれど、彼の手が触れると、そこはすぐに熱くなった。
「君の身体、信じられないくらい綺麗だ」
その声に、胸の奥が鳴るような感覚がした。
唇を吸われ、乳房を包まれ、震える声が漏れる。
スカートの奥へと指が忍び込んできたとき、私はすでに濡れていた。
「……ここまで素直な子は、初めてだ」
指先が深く入った瞬間、痛みとともに腰が引けた。
けれど、彼は優しかった。
動きを止め、私の髪を撫でながら囁いた。
「怖い?……でも、大丈夫。大切にするよ」
彼のものが、ゆっくりと私の中に入ってきた時。
痛みよりも、涙がこぼれた。
私の初めてが、彼に奪われていく。
でも、もう止められなかった。
【快楽と罪悪感の狭間】
奥まで満たされる感覚。
腰を打ちつけられるたび、脳が痺れるような震え。
彼の汗が額に落ち、唇がまた触れる。
「もう、やめようか」
その声に、私は首を振っていた。
もっと欲しい、と思っていた。
指を絡め、舌を絡ませ、奥深くで震えた。
果てる瞬間、彼は私の名を呼んだ。
その声があまりにも甘く、愛しいと思ってしまった。
終わったあと、シートの上で私を抱きしめた彼の腕の中で、私はなぜか「これで良かった」と思ってしまった。
【終わらない関係】
それから、彼は私の部屋に通ってくるようになった。
娘には秘密。
妻にも秘密。
けれど、私の中では、その秘密が「恋」のように感じられた。
毎回、彼は新しいことを教えてくれた。
背後からの体位。舌で焦らされる感覚。
鏡越しに抱かれる羞恥。
「撮らせてくれる?」
断れなかった。
私はすでに、彼の快楽に屈していた。
カメラの前で喘ぎ、脚を開き、彼のものを受け入れながら、視線の奥で涙を溜めていた。
【クライマックスと虚無】
ある夜、彼が帰った後の部屋。
私は一人、シャワーも浴びず、裸のままベッドに座っていた。
スマホには、彼氏からのメッセージ。
「また会えるの楽しみにしてるよ」
私は、指が震えて返信できなかった。
身体は彼のものになっていた。
でも、心は――まだ誰のものでもなかった。
私は何を失ったんだろう。
快楽か、尊厳か、それとも、初めての恋か。
【余韻と覚醒】
あの夜から、私は変わってしまった。
あの家も、あの子も、そして自分さえも――
全部、違う色に見えるようになった。
でも、ひとつだけ確かなことがある。
あの午後、私の身体に落ちた唇が、すべてを変えた。
それは赦されないことで、けれど確かに、私を目覚めさせた。
私はまだ18歳。
でももう、あの春には戻れない。




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