私は奈緒美、47歳。夫と大学生の息子、直人と3人で暮らしています。平凡で穏やかな日々ではありますが、ふとした瞬間に、自分が「女性」であることを忘れてしまったような感覚に陥ることがあります。そんな私が思い切って計画したのが、ひとり温泉旅でした。
向かったのは、静かな山奥にある古びた温泉旅館。都会の喧騒から離れ、心身を癒したいと思って選んだ場所です。旅館に着き、浴衣に着替え、露天風呂へ向かうと、温かい湯気が静かに私を包み込み、溜め込んでいた疲れをじんわりと溶かしていきました。
湯上がりに休憩所で涼んでいると、賑やかな笑い声が聞こえてきました。聞き覚えのある声に振り返ると、そこには息子の大学の友人である誠也君と祐一君が立っていました。
「奈緒美さん!?どうしてここに?」と誠也君が驚いた顔で声をかけてきます。
「偶然ね。あなたたちも旅行?」と私も笑いながら答えました。
「ゼミ合宿が終わったばかりで、祐一と二人で羽を伸ばしに来たんです。」と誠也君が説明しました。
偶然の再会に話が弾み、その後、私の部屋で一緒に飲むことになりました。
部屋に戻ると、旅館が用意してくれた地酒を開け、三人で乾杯しました。二人の明るい笑顔と素直な性格に引き込まれ、普段の生活では味わえない心地よい時間を過ごしていました。
「奈緒美さん、本当にお綺麗ですよね。」誠也君が不意に言いました。
「そんなことないわよ。酔ってるんじゃないの?」と軽く受け流しましたが、彼の目は真剣で、視線を逸らすことができませんでした。
「いや、本当にそう思います。僕らとあまり歳が離れている感じがしないです。」祐一君も優しい微笑みを浮かべながら言いました。その言葉に、心の奥に暖かいものがじんわりと広がるのを感じました。
お酒が進むにつれて、会話はどんどん砕けていき、部屋の空気は次第に親密さを増していきました。祐一君は「ちょっと飲み過ぎたかも…」とつぶやき、布団に横になったまま、そのまま眠ってしまいました。
私と誠也君の二人きりになると、部屋の空気はさらに濃密なものに変わっていきました。彼が私の隣に座り直し、ふとした拍子に私の手に触れました。その瞬間、体がピクリと反応しましたが、その温もりを拒むことはできませんでした。
「奈緒美さん、一人旅って何か理由があるんですか?」誠也君が真剣な眼差しで尋ねてきます。
「家族のことばかり考えていると、自分が見えなくなってしまいそうで…。だから、少しだけ一人になりたかったの。」と正直に答えると、彼は静かに頷きました。
「それって、とても大事なことだと思いますよ。」その言葉に、私は思わず目頭が熱くなりました。次の瞬間、彼の手がそっと私の肩に触れました。その触れ方はとても優しく、心の中にある緊張の糸が少しずつ解けていくのを感じました。
「奈緒美さん…僕、ずっと言いたかったんです。」彼の低い声が耳元に響きます。「初めて会った時から、ずっと素敵だと思ってました。」
その言葉に胸がドキリと高鳴り、顔が熱くなるのを感じました。
「酔ってるだけよ。」と笑って返しましたが、彼の目は真剣で、私の理性を揺さぶります。
「酔ってるわけじゃない。本当に思ってます。」彼の顔が私の近くに寄り、息が触れる距離に彼の視線を感じました。心臓は早鐘を打ち、全身に熱が駆け巡るのを感じます。
次の瞬間、彼の唇が私に触れました。その優しさと熱を含んだキスに、私は全てを委ねてしまいたいという衝動に駆られました。彼の手がそっと私の背中に触れ、私の体が自然と彼に近づいていきます。
「奈緒美さん…もっと近くに。」彼の囁きが胸の奥まで響き、私の心と体は完全に彼に引き寄せられていきました。
その時、隣の布団で寝ている祐一君の存在を思い出し、思わず声を押し殺しました。しかし、誠也君はそんな私の動きに気づき、そっと耳元で「大丈夫ですよ…静かにすれば、誰にもわからない」と囁きました。その低い声が私の理性をさらに崩し、抗えない衝動に飲み込まれていきました。
彼の手が私の腰に滑り、私の体温がさらに上がるのを感じました。息を潜めながらも、彼の手の動きに抗うことができず、全身が熱に包まれていくのを感じます。私たちの間に生まれる静かな熱は、誰にも悟られることのない密やかなものとして、部屋の中に広がっていきました。



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