週3で自宅に訪問するホームヘルパーさんと独身息子が介護の隙間時間で即性交していた1年間の肉体関係記録 矢埜愛茉
フリーターの息子は一人で父の自宅介護をしている。そんな中訪問介護をしてくた矢埜さんを性的対象としてずっと見ていた。気づけば訪問時に必ず矢埜さんとSEXをしていた。彼女は最初物凄く抵抗していたが、今は諦めているのか何も言わずに受け入れてくれている。その1年間の記録。
【第1部】三十五歳、山の別荘で私は自分の渇きを知った
長野県の山あいにある、古い別荘。
私は相沢真知(あいざわ・まち)、三十五歳。既婚で、子どもはいない。
鏡に映る自分を、私は「三十五」だとは思っていない。
目元の影、笑ったあとに戻らない頬の感触、首筋に残るわずかな緩み。
四十、と言われた方が、むしろ腑に落ちる。
それを誰に言うわけでもない。ただ、自分の中でそう結論づけている。
夫は三年前の春から海外赴任中だった。
通話は月に数回、事務的な近況報告。
愛情が消えたわけではない。ただ、触れられない時間が、私の中で何かを乾かしていった。
そんなとき、実家名義の別荘を全面的にリフォームする話が持ち上がった。
大学時代、私はここで何度も一人で夜を越した。
木の匂い、湿った空気、遠くで鳴く正体不明の獣の声。
孤独は慣れているつもりだったが、この頃はそれが妙に身体に残った。
五月のある朝。
インターホンが鳴り、扉を開けると、作業着姿の男たちが立っていた。
親方らしき年配の男性と、若い職人が六人。
日に焼けた肌、鍛えられた前腕、作業靴に付いた土の匂い。
視線を逸らそうとした瞬間、ひとりと目が合った。
短く切った髪、少し垂れたまつ毛。
大人と少年の境目にいるような顔。
――いけない。
胸の奥で、小さく何かが鳴った。
それは罪悪感というより、長い間眠っていた感覚が、目を覚ました音に近かった。
「奥さん、工事中は何かあったらこの子たちに言ってください」
親方はそう言って、若い男のひとりを指した。
彼は軽く会釈し、名乗った。
「田代です。リーダーやってます」
低すぎない声。
私より少し年下だろうか。
その声が、なぜか耳の奥に残った。
工事が始まり、私はいつも通り家事をし、十時の休憩にお茶を出した。
湯気の向こうで、彼らは笑い、冗談を言い合い、私に礼を言った。
「奥さん、別荘に一人って寂しくないですか」
誰かが何気なく聞いた。
私は一瞬、言葉に詰まった。
「……慣れました」
それは嘘ではない。
ただ、慣れた孤独が、必ずしも満たされているわけではないことを、私はこの時はっきり自覚した。
彼らの視線は露骨ではなかった。
けれど、私が動くたび、どこかで空気が揺れるのを感じた。
女として見られている――
その事実が、思いのほか私を昂らせた。
一ヶ月という時間は、思ったより長く、思ったより近かった。
名前を呼ばれ、笑われ、些細な世間話を交わすうち、
私は妻である自分より先に、女である自分が前に出てくる瞬間を覚え始めていた。
最終日。
片付けの合間、田代が少し躊躇うように言った。
「……もし良かったら、連絡先、交換しませんか」
理由は聞かなかった。
断る理由も、見つからなかった。
その夜、山の別荘で一人になった私は、
スマートフォンの画面を伏せたまま、しばらく動けずにいた。
静けさの中で、
自分がもう、以前の自分ではないことだけは、はっきりと分かっていた。
【第2部】境界線の向こう側で、私の身体が先に答えを出した
八月の終わり。
昼間の山は蝉の声で満ちているのに、夕方になると、世界は急に静かになる。
その日、私は別荘で一人、本を読んでいた。
ページをめくる指先が、どうにも落ち着かない。
文字は目に入っているのに、意味が身体に降りてこない。
――ブルッ。
スマートフォンが震えた。
画面に表示された名前を見て、心臓が一拍遅れて跳ねた。
田代。
「お元気ですか」
それだけの、短い文。
なのに、胸の奥がじんと熱くなるのを感じた。
返事はすぐにしなかった。
少し考えるふりをして、実際には、自分がどんな声で返すべきかを探っていた。
数日のやり取りは、驚くほど穏やかだった。
天気の話、仕事の愚痴、山の近況。
何も起きていない――はずなのに、
私はやり取りのたび、夜になると妙に身体が冴えた。
そして、誘いが来た。
「今度、みんなで飲みに行きませんか。
よかったら、ご主人も一緒に」
その一文を見た瞬間、
私は自分の中に微かな期待が芽生えたことを、否定できなかった。
当日。
東京・神楽坂の居酒屋。
私は、少しだけ背中の開いたワンピースを選んだ。
理由はない。
ただ、そうしたかった。
店には、見覚えのある顔が揃っていた。
作業着ではない彼らは、別人のようで、
笑顔の角度や距離感が、妙に生々しい。
彼女や奥さんを連れた女性たちは、
私とはまるで違う世界の匂いがした。
強い香水、露出の多い服、遠慮のない笑い声。
最初、私は場違いだと思った。
それでも、酒が進むにつれ、
彼女たちの率直さと、迷いのなさが、私の中の何かを溶かしていった。
「真知子さんって、綺麗な人だよね」
唐突に、誰かが言った。
褒め言葉に慣れていない私は、
どう返せばいいか分からず、ただ微笑んだ。
帰り際、二次会の話が出た。
迷った。
――けれど、帰る理由も、そこにはなかった。
アパートの中は、人の熱と酒の匂いで満ちていた。
笑い声が壁に反射し、どこか現実感が薄い。
そして、告げられた。
「ここから先、ちょっと過激だよ」
冗談だと思いたかった。
でも、彼女たちの目は、冗談を言う目ではなかった。
私は一度、逃げた。
階段を降り、夜風に当たり、
自分が何をしようとしているのか、分からなくなった。
――怖い。
――でも、寂しい。
その二つが、同じ強さで胸に迫った。
再びチャイムを鳴らしたとき、
私はもう、以前の自分には戻れないと、どこかで分かっていた。
「覚悟、ある?」
そう聞かれ、私は小さく頷いた。
失うものを、頭では理解していた。
それでも、身体の奥が、静かに肯定していた。
薄暗い廊下。
遠くから聞こえてくる、押し殺す気のない声。
低く、湿った、理性を削るような響き。
私は立ち尽くし、
自分の呼吸が、いつの間にか速くなっていることに気づいた。
境界線は、もう足元になかった。
私は、すでにその向こう側に、片足を踏み入れていた。
【第3部】声と熱だけが残り、私は引き返せない場所に立っていた
薄暗い部屋の奥で、空気がゆっくりと揺れていた。
照明は落とされ、輪郭だけが曖昧に浮かび上がる。
誰がどこにいるのか、はっきりとは分からない。
それなのに、気配だけは異様なほど濃密だった。
私は壁際に立ち尽くし、
自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえるのを感じていた。
逃げようと思えば、今ならまだ間に合う。
そう頭では理解しているのに、足は動かなかった。
「……大丈夫?」
背後から、低く抑えた声。
振り返ると、そこにいたのは田代だった。
作業着でも、居酒屋の明るさの中でもない、
夜に溶け込んだ彼の姿は、別人のようだった。
私は、ただ頷いた。
言葉にすると、何かが壊れてしまいそうだったから。
誰かの笑い声。
誰かの、押し殺しきれない吐息。
それらが重なり合い、空間そのものが鼓動しているように思えた。
田代の視線が、私の顔から、ゆっくりと下りていく。
触れられてはいない。
けれど、その視線だけで、
私は自分の内側が熱を帯びていくのを、はっきりと感じた。
「無理なら、ここまででいい」
その一言が、優しさなのか、
それとも最後の確認なのか、私には分からなかった。
私は、小さく首を振った。
次の瞬間、距離が縮まった。
肩が触れ、呼吸が混じる。
その近さに、思わず息を呑む。
――こんな距離で、夫以外の男性と向き合ったことなど、なかった。
誰かが照明をさらに落とした。
暗闇は、安心と不安を同時に連れてくる。
私の耳元で、誰かが囁く。
意味のある言葉ではない。
それでも、その音が、私の背筋を震わせた。
自分の中で、何かが静かに崩れていく。
それは恐怖ではなく、長い間、必死に守ってきた境界線だった。
触れ合いは、はっきりとした形を取らない。
熱、重さ、息遣い。
それらが重なり、私は次第に、
「考える」ことをやめていった。
――もう、いい。
その瞬間、胸の奥で、何かが解けた。
私は、自分がどんな表情をしているのか分からない。
ただ、声にならない息が、何度も喉を通り過ぎていった。
やがて、波が引くように、周囲は静まった。
誰かの手が離れ、誰かの気配が遠ざかる。
私は床に座り込み、
自分の体温が、まだ下がらないことを確かめていた。
田代が、少し離れたところから、私を見ていた。
何も言わない。
その沈黙が、かえって重かった。
――私は、戻れない。
別荘に帰る道すがら、
夜明け前の空は、不思議なほど澄んでいた。
罪悪感がないわけではない。
【まとめ】あの夜を越えて、私は私として息をしている
あの出来事から、私は日常へ戻った。
山の別荘も、夫との生活も、表向きは何一つ変わっていない。
朝は起き、食事をし、誰にも知られないまま一日が終わる。
けれど、私の内側だけが、確実に違ってしまった。
あの夜は、快楽や刺激だけの記憶ではない。
それ以上に強く残っているのは、
「私はまだ感じる存在だった」という、
取り戻してはいけないはずの実感だった。
妻として、誰かの伴侶として、
無意識に縮めていた呼吸。
抑え込み、見ないふりをしてきた渇き。
それらが、一度だけ、確かに解放された。
後悔がないと言えば、嘘になる。
同時に、あの一歩を踏み出さなければ、
私はきっと、自分を責めながら年を重ねていたとも思う。
あの夜が、正しかったのかどうか。
答えは今も出ていない。
ただ一つ分かっているのは、
私はあの瞬間、自分の意思で選んだということだ。
誰かに語ることはない。
理解される必要もない。
それでも、胸の奥に残る微かな熱は、
私が私として生きている証のように、今も消えずにいる。
静かな日々の中で、
ふとした拍子に思い出す、その記憶を抱えながら――
私は今日も、何事もなかった顔で、日常を歩いている。




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