第一章:出会いは偶然の背中合わせ──養老渓谷、午後の風に誘われて
千葉県・養老渓谷。10月の終わり、紅葉にはまだ早いが、空気はひんやりと澄みわたっていた。
日帰りのひとり旅──家族に伝えることなく、私はただ、心を解放したくて電車に乗った。
駅前から出ていた観光バスに、たまたま空きがあり、私は申し込んだ。小さなグループ旅行。年配夫婦や友達同士に交じって、ぽつんと一人の若い男性がいた。
黒のキャップにカーキのブルゾン、細身のジーンズ。彼はスマホを片手に、風景の写真を撮ってはすぐにため息をつくような、そんな寡黙さをまとっていた。
私の隣の席に偶然座ったのは、バスが山道に入る手前だった。
「…ひとり旅、ですか?」
そう声をかけてきたのは彼のほうだった。柔らかい声、まっすぐな目線。
年齢を聞いていないのに、なんとなく“若い”と分かる肌の張りと、香水の代わりに洗剤のような清潔な匂い。きっと、まだ21か22歳──大学生だろう。
「ええ、そう。でも、少しだけ背徳の香りがする一人旅」
冗談めかしてそう返したら、彼は笑った。
その笑いのあと、窓に映る私の脚を見ていることに、私は気づいた。
第二章:誰もいない遊歩道、落ち葉の音に紛れて“見せた”私
渓谷の奥のほうにある「見晴台」まで、整備された山道が続いていた。ツアーの参加者たちは分かれて歩き、私はひとり、彼と並んでいた。距離は近すぎず、遠すぎず──けれど、視線はすでに触れていた。
「この先に、温泉施設あるらしいですよ。行きます?」
彼がそう言った。ガイドコース外の道だったが、私は「ええ、行ってみたい」と答えた。
舗装された道が途切れ、落ち葉がしっとりと敷き詰められた小道を、ふたりだけで進んだ。
誰もいない森の奥。
私は、わざとスカートの裾を引き上げ気味に歩いた。ヒップを包むタイツ越しの感覚に、風が肌をなでる。
「そのスカート…危なくないですか?」
「あなた、見てたの?」
「はい、ずっと。…ダメですよね、こんなこと」
その瞬間、私は振り返り、彼の目を見た。
言葉より先に、手が伸びてきて、私の腰に触れた。落ち葉が舞う音に紛れて、彼の手が私のヒップをなぞる。
「こんな若い子に、触られてる…」
私は囁き、自ら脚を開いた。
木の幹にもたれて、彼の指がタイツの隙間に潜る。下着の中へ、指先が濡れた粘膜に触れる。私は自分の息が荒くなるのを抑えられなかった。
静寂の森の中で、誰にも見られていないはずなのに、私は“見せつけるように”感じていた。
羞恥と快感が、同時に込み上げてくる。
「あなた、私のこと…興味本位で触ってる?」
「ちがいます。…見た瞬間から、ずっと想像してた」
その言葉が、私の何かを壊した。
第三章:バスの揺れと指の余韻、眠ったふりでは隠せなかった
帰りのバス、夕暮れのオレンジ色に染まる窓辺。
私たちは、また偶然を装って隣に座った。前方の席、他の乗客の視界の死角。カーテンを半分だけ閉めた私の膝の上に、彼の手がそっと置かれた。
「眠ってていいですよ。…バレないようにしますから」
その囁きに、私は目を閉じた。
スカートの奥、濡れた下着の上から撫でるような指の動き。タイツの上から、押しあててくる硬さ。私の身体がそれを受け入れるように、自然と腰がわずかに動いていた。
誰にも気づかれない、密室のような空間。
彼の指は、下着の隙間を探るように入り込み、ゆっくりと…私の中の奥、まだ誰にも触れられていなかった場所を、確かめるように動いていた。
私は、声を漏らしそうになるたび、唇をきつく噛んだ。
ふたりの間には、言葉はなかった。ただ熱と震えだけが、沈黙の中で交わっていた。
バスが駅前に戻ったとき、彼は何も言わずに立ち上がり、私の荷物を取ってくれた。
その手のぬくもりが、まだ指先に残っている。
第四章:見知らぬ部屋のベッドで、私は初めて“生き返った”
駅前の広場に到着したバスのエンジンが止まると、静寂が、身体の芯までしみ込んできた。
誰もが帰路に向かうなか、私はまだシートに座ったまま、彼の視線だけを追っていた。
車内の灯りが消えかけたころ、彼は私の荷物を手に取って立ち、静かに言った。
「このまま帰ったら、ずっと夢だったと思ってしまいそうです」
そして──
「近くにビジネスホテル、取ってあるんです。少しだけ、お話ししませんか?」
言葉は丁寧だった。でもその瞳の奥には、もう“話す”以上の願いが満ちていた。
私は首を縦に振った。唇を少しだけ噛んで。
ホテルの部屋に入ると、カーテンがきっちりと閉ざされていた。
白いベッドの上、空気が静止したように動かない。
「本当に、来てくれたんですね…」
彼はそう言って、私の頬に手を添えた。冷たくなった指先が、体温を探るように私の首筋をなぞり、そのまま顎を軽く引いた。
そして唇が重なる。
若さの甘さと、強さ。舌が触れた瞬間、背骨を這い上がるような震えが走った。
まるで、渓谷の水が岩肌を這うように、じわじわと私の奥まで濡らしていく。
彼の手がブラウスのボタンをひとつずつ外していくたびに、私は呼吸を飲み込み、羞恥の熱を帯びながらも抗えなかった。
見られている──裸になっていく私を、若い瞳が隅々まで撫でている。
ベッドに押し倒された瞬間、彼は私の太腿に顔をうずめ、ゆっくりと脚を開かせた。
黒いタイツを膝まで下ろされ、下着越しに熱い吐息が触れる。
そのまま、布越しに舌が、まるで意地悪なように長くゆっくりと撫でてきた。
「いや……恥ずかしい、そんな…」
言葉がこぼれた瞬間、布がずらされ、剥き出しになったそこへ、舌が直接触れた。
湿っていた。私のすべてが、欲望を知っていた。
舌は円を描くように、奥へ奥へ。
彼は指を一本、ぬるんだ入り口に滑らせ、そこに舌の先端を添えては吸い上げる。
脚が、勝手に震えていた。息が、止まらなかった。
私はシーツを握りしめ、腰を持ち上げていた。彼の舌を、もっと深く迎えるように。
次の瞬間、私は彼を押し倒していた。
ブラウスもスカートもずらしたまま、彼の腰の上に跨る。
シャツを脱がせ、腹筋の固さに指を這わせ、ベルトを外し、ジッパーを下ろす。
もう彼は、昂っていた。
私はその熱に唇を添えた。
濡れた吐息をまとわせ、ゆっくりと唇で包み込む。
喉の奥まで迎え入れながら、舌先で根元をなぞる。彼の指が髪をやさしくつかみ、身体が震えるのが分かる。
私は動きを止めない。
頬を這わせ、舌で形を確かめ、あの山道で私の中に指を入れたその手と同じ熱を、唇で記憶していく。
そして──
彼は私の腰を両手で支え、今度は彼が上に覆いかぶさってきた。
第五章:体位の中で目覚める“私”という本能
最初は、正常位。
彼が私の中に、ゆっくりと沈んでいく感覚。
濡れていた。私はもう、受け入れる準備ができていた。
彼が浅く、そして深く押し入るたび、シーツが汗に濡れていく。
彼の額が私の首に触れ、私の腰が彼のリズムに呼応する。
次は、後ろから。
私はベッドの縁に手をつき、彼の体温が背中に重なるのを感じていた。
そのまま、脚の間から彼の熱が押し寄せてくる。深く、奥まで届く。
何度も、奥の奥にぶつかり、身体がふるえる。
耳元で息を荒げながら、「ずっと、こうしたかった」と囁かれた。
私は、喘ぎながら頷くしかなかった。
最後は、騎乗位。
彼の胸の上に跨がり、自分で動きながら、彼の目を見下ろす。
彼は私の胸を両手で包み、舌で尖った先を舐めながら、私の動きを受け止めてくれた。
何度も、何度も、私は自分で腰を揺らし、最後の波が押し寄せるそのとき──
彼の中で私は崩れた。声を抑えきれず、涙が頬を伝った。
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