ラブホテルで再燃した女の性欲|43歳受付×54歳ラーメン店主の実話

第一章:会計ミスがほどいた心の襞(ひだ)

札幌の冬は、音のない静けさがしんしんと積もってゆく。
43歳になった私の生活もまた、決まったリズムで淡々と過ぎていた。
内科クリニックの受付という、清潔で控えめな職場に身を置きながら、私はどこか、ずっと眠ったままのようだった。

その人――マスターが初めて来院したのは、去年の秋だったと思う。
「ちわーっす、寒いねえ、風邪ひいたかも」
ざらついた声と、人懐っこい笑顔。
54歳、地元で人気のラーメン屋「福丸」の店主。
常連の患者さんというほどではなかったけれど、顔を合わせるたび、缶コーヒーや手作りのおにぎりをそっと受付台に置いてくれた。
「これ、余ったやつ。無理して食べんでいいから」
そのさりげなさに、何度となく心がきゅっとなるのを感じていた。

暮れの忙しい午後。私のミスで、彼の会計を誤ってしまった。
その夜、彼のカルテを確認してから、申し訳なさで胸が締めつけられた。
「……すみません、今日の会計に誤りがあって」
お詫びの電話。マスターは笑って「いいっていいって」と言ったが、その声の奥に、何かがわずかに揺れた。

それから、私たちは少しずつ距離を詰めていった。
ショートメール。そこからLINEへ。
家庭の話、過去のこと、好きな音楽、嫌いな食べ物。
20年前にした結婚、半年で田舎の暮らしに耐えきれず戻ってきたこと――私は正直に話した。
「届けは、出したかどうか、知らないの」
するとマスターはこう返した。
「そんでええんちゃう。今が本当なら、それで」
その一言が、胸の奥の何かをほどいていくのがわかった。

彼からの誘いで、すすきのの小さな居酒屋に行った夜。
最初は仕事の話や、子供のころ好きだったテレビ番組の話で盛り上がり、二杯目からは、少しずつ「触れてはならない熱」が話題に変わっていった。

「性欲ってさ、歳で変わるんかな」
「たぶん……もっと、奥にしみるようになる」
そう応えると、彼は一瞬だけ私を見つめて、グラスの縁を舐めた。


第二章:エレベーターの沈黙がほどく唇

夜が深まり、雪が路肩に鈍く積もる頃、私たちは店を出た。
「ホテルでも行く?」
その言葉に驚くほど心がざわめかず、私は頷いた。

すすきのの裏通りにある古びたラブホテル。
入り口のガラスが曇る中、エレベーターに乗った瞬間、彼が私のマフラーに指をかけた。

「苦しくない?」
そう言って、マフラーをふわりとほどき、口元にそっと唇を寄せた。
鼻先が触れあい、息が交わる。
「……ん」
思わず漏れた私の声が、密室の静けさを震わせる。
ドアが開くと、向こうには若いカップルが立っていた。
彼の唇がまだ私の唇の名残を抱いたまま、私はほんの少しだけ首をすくめて、笑った。

部屋に入ると、彼は決して焦らず、私の手をそっと取ってソファに座らせた。
「焦らんでもいいから」
その言葉の温度が、私の下腹部をじわりと熱くする。
指先が私の手をなぞるように、爪の根元まで撫でられたとき、背中が微かに震えた。

「ここ、感じるんだな」
頷くと、彼は私の手の甲にくちづけを落とした。
やがて、シャツのボタンがひとつずつ外され、肌に触れるたび、体の奥から記憶のような疼きが湧いてきた。
ブラの上から指がゆっくりと弧を描く。
胸の先がきゅっと立ち、脈がそこに集まるのを感じた。

彼は決して乱暴に触れない。
下着の布をずらすと、唇と舌で、あたたかな湿度をまといながら私の秘めた部分を確かめた。
私は、息を殺しながらも、彼の髪を指に絡めていた。
何年ぶりだろう。こんなにも、自分の身体が疼いて、潤んで、誰かを欲している感覚。

「ねえ……入れて」
そう呟いた声に、自分でも驚いた。
もう、我慢できなかった。
彼がゆっくりと私を貫いたとき、私は声にならない吐息とともに、しがみついた。
波が引いては打ち寄せるように、身体が、心が、打ち震える。

何度も、深く、奥まで確かめ合いながら、
私はようやく、閉じていた扉の奥がほどける音を聞いた。


第三章:余韻のなかで、女として再び目覚める

気づくと、シーツの上で彼に寄り添っていた。
肩越しに差し込むネオンの青が、冬の夜を照らしていた。

「……こんなに満たされたの、久しぶり」
呟くと、マスターは煙草に火をつけて、ふっと煙を吐いた。
「俺も。なあ……また会ってくれる?」
頷いた私の胸の奥に、確かな温度が残っていた。

家に帰ると、窓に映る自分の頬が赤いことに気づいた。
久しぶりに、女として見られ、触れられ、求められた夜。
忘れかけていた快楽が、まだこの身体に眠っていたことが、何よりも嬉しかった。

身体の奥で彼を受け入れたあの感覚。
触れられた場所すべてに、彼の熱が宿っている。
それは、後戻りできない悦びだった。

私は今、目覚めた女として、また冬の道を歩き出している。

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