SMバー体験談:女性が快楽と覚醒に導かれた衝撃の夜

【第1幕】仮面を脱ぐためのドアが、音もなく開いた夜

私は28歳、広告代理店に勤めるOL。
日々、笑顔と丁寧な言葉を武器に、取引先や上司の機嫌を読みながら働いている。
でも誰にも知られたくなかった。
私が夜、ひとりきりになるたび、胸の奥で疼いている衝動のことを。

その夜、打ち上げの席で隣になったのが、取引先のマネージャー、深町さんだった。
45歳くらいだろうか。シンプルなグレースーツに黒ぶち眼鏡。決して派手ではないけれど、指の動きが妙にしなやかで、笑ったときに一瞬だけ、獣のような匂いがした。

「…君、飲んでも崩れないタイプだね」
「気を抜いたら、飲み込まれそうで」

少し間を置いてから言った私の言葉に、彼は静かに笑った。

「じゃあ、ちょっとだけ…心をほどく場所、行ってみる?」

駅の階段を降りる途中、私は自分のヒールの音が妙に軽く感じられた。
迷いがなかったわけじゃない。
でも、怖くなかった。
むしろ、誰かに「怖がっていい」と言われたくて、ここまできたのかもしれない。


【第2幕】ほどかれていく声、見られていく悦び

ビルの最上階。鍵のかかった黒い鉄扉の奥に、その場所はあった。
赤いベルベットの壁、吊るされた鞭と革の装具、低く流れるチェロの音。
けれど、それは下品ではなく、どこか儀式のような空間だった。

「ここでは、君の“いい子”の仮面は必要ないよ」
深町さんの手が私の背中に触れる。その指先の温度に、心の奥がぞくりと震えた。

私は、店のスタッフに導かれながら、ゆっくりと衣服を脱いでいく。
ショーツ一枚を残し、仄暗いライトの下で立たされると、絹の縄が手首に優しく巻かれた。
ぎゅっと結ばれた瞬間、私は息を吐いた。まるで、その締めつけに安心するように。

鏡の前、私は吊られたまま、少しだけ脚を開くように指示された。
羞恥。けれどその感覚すら、どこかで待っていたものだった。

深町さんの指が、膝裏から太ももへ、そして脚の付け根をなぞる。
息が乱れる。けれど逃げたくはなかった。
むしろ、彼の目に“私のすべて”を映していてほしかった。

「…君、泣きそうな顔が、一番きれいだ」

そう囁かれた瞬間、心が崩れて、涙が一粒、頬を伝った。


【第3幕】沈黙の悦び、その後に残された真実の感触

縄の痕がまだ手首に残るまま、私はベッドの上、仰向けに寝かされた。
彼の身体が、私に重なってくる。
触れるたび、まるでその指先が、皮膚ではなく心の内側に触れてくるようだった。

ゆっくりと、あたためるように。
肌を、胸を、脚の内側を撫でるたびに、私は自分の「感覚」が開いていくのを感じた。
彼の舌が、首筋から胸へ、腰骨へと這うたびに、声が漏れた。
けれど、その声は悲鳴ではなく、赦しのようだった。

最初は浅く、やがて深く、彼の動きが私の奥へと入りこんでくる。
腰が打ちつけられるたびに、過去に誰かのために押し殺してきた“私”が、少しずつ剥がれていく。

「どうして、こんなに…感じるの?」

自分でもわからない。けれど、確かに私は、快楽の頂きで一度、静かに壊された。

絶頂のあと、私はただ深町さんの胸に顔を埋めていた。
彼の指は、もう縄ではなく、私の髪をゆっくりと梳いていた。


【余韻】

その夜、私ははじめて、「される」ことが「選ぶ」ことでもあると知った。

SMという言葉に、縛りや痛みだけを想像していた自分はもういない。
あの夜ほど、自分で“感じること”を許せた夜はなかったから。

手首にうっすら残った縄の痕は、
しばらくのあいだ、
シャツを着るたびに、
「もうひとつの私」の存在を教えてくれていた──

コメント

タイトルとURLをコピーしました