残業がなくなって、私は少し浮かれながら最寄り駅を降りた。
冷たい風に頬を撫でられながら、「今夜はゆっくりできる」と思った。
大好きな親友の美月と、彼と――三人で仲良くしていたあの時間を、当たり前に思っていた。
マンションのドアを開けると、何かがおかしい。
空気が――熱い。湿っている。
まるで、風呂上がりのような、いや、それ以上に肌をざわつかせる何かが漂っていた。
寝室の扉が、ほんの数センチだけ開いていた。
その隙間から、かすかに――艶やかな吐息が漏れ聞こえてくる。
まさか――
そんなはず、ない。
足音を殺して、私はその扉を押し開けた。
そこにいたのは、彼と――美月。
ふたりは、私のベッドで、全裸のまま絡み合っていた。
彼の腰が、美月の脚の奥に深く沈み込むたびに、
ベッドが軋み、シーツが波打つ。
美月のあの甘ったるい声が、私の耳を貫いた。
「……うそでしょ」
その声は、自分でも驚くほどに静かだった。
まるで感情がすべて凍りついたような――冷たい諦めと絶望。
二人がこちらを振り向いた時、彼の下半身が――
生々しく美月の身体から抜けていくのが、見えてしまった。
その太さ、その長さ、
私が愛していた男の身体が、今、美月の奥で熱を吐いていたという事実に、
足が震えた。
何も言わず、私はそのまま部屋を出た。
その夜、私はなぜか達也の連絡先を探していた。
美月の元カレ。何度か会ったことのある、物静かな男。
なぜ彼だったのか。
たぶん――自分と同じ傷を知っていると、直感で感じたから。
「今、会ってくれない?」
そう送ると、すぐに返事が来た。
「いいよ。今、空いてる。俺んち来る?」
達也の部屋に入った瞬間、私は涙を堪えることができなかった。
声にならない嗚咽がこみ上げて、喉が締めつけられる。
彼は何も言わず、私を抱き寄せた。
広い胸板に顔を押し当てると、涙が彼のTシャツにじんわり染みていった。
「悔しいよね」
「……うん」
「俺も、美月のこと……裏切られた時、死にたかった」
その声が、私の胸を深く撫でた。
「でも……そういう夜だからこそ、救われることもある」
そう言って、彼が私を見つめた。
その目は、決して哀れみではなかった。
私という存在を、いま、まっすぐに見ていた。
唇が触れ合ったのは、その直後だった。
最初はそっと。
でも、彼のキスには明らかな熱がこもっていた。
触れ合うたびに、私の中の怒りと悔しさが、
火のように燃えていった。
「……脱がせても、いい?」
囁かれた声に頷くと、彼の手が服の隙間から入り込んできた。
冷たい指先が、胸元を撫で、ゆっくりとボタンを外していく。
服を脱がされ、下着が剥がされたとき、
私は恥ずかしさよりも、彼に触れて欲しいという欲求が勝っていた。
「……すごく、綺麗だ」
そう言いながら、彼が私の胸に口づけを落とす。
唇と舌が、私の敏感な場所をゆっくり愛撫するたびに、
呼吸が不規則になり、脚が勝手に震えた。
彼の手は慎重に、でも明確に私の身体の奥へと進んでいく。
そして――
目を見張るような熱の塊が、私の下腹部に触れた。
「……入れていい?」
見上げると、彼の股間には、信じられないほど大きく、逞しく張り詰めた欲望があった。
彼氏のものとは、比較にならなかった。
長さも、太さも、鼓動の強さも。
それはまるで、野生の獣のように脈打っていた。
私は頷きながら、喉の奥でひとつ、呻いた。
初めて味わう、深さ。
膣奥が軋むような快感に、涙が滲む。
ゆっくり、彼が腰を押し込むたび、
奥へ奥へと届いてくる感触が、脳を痺れさせた。
「っ……あ、深い……っ」
「大丈夫……ちゃんと、ゆっくりするから」
でも、そのゆっくりが、余計に甘くて苦しくて――
快感が、波のように身体を締めつけてくる。
ピストンが始まると、私の中の熱がさらに暴れ出した。
太くて硬いものが、擦るたびに蜜を溢れさせ、
溶けた音が部屋に響く。
「もっと……もっと突いて……」
いつの間にか私は、自分でも信じられない声を出していた。
愛なんていらなかった。
欲望だけが、すべてを洗い流してくれるようだった。
そして――
彼の手が私の脚を持ち上げ、角度を変えてきた瞬間、
それは、さらに奥の、私の知らなかった快楽の点を突いた。
「っ……そこ、だめ、すぐイく……っ!」
全身が痙攣して、何度も絶頂の波に飲まれた。
まるで全細胞が、快楽という稲妻に貫かれていく。
涙がまた、止まらなくなった。
朝、私は彼の腕の中で目を覚ました。
そのとき、心の奥でひとつ、はっきり感じた。
あの夜、私を裏切った二人に、もう未練はなかった。
私は自分の欲望と向き合い、
あの逞しい彼の熱で、すべてを燃やし尽くしたのだから。
そして私は、静かに笑った。
「ありがとう……」
たぶん、この夜を、私は一生忘れない。
この体験談で興奮したら必見!!
彼と美月がベッドで絡み合っていたあの夜から、私の中の何かが確かに変わった。
泣き崩れ、怒り狂い、何もかもが壊れたように思えたあの瞬間。
でも――私の中に芽生えた新しい感情、それは「復讐」だった。
彼らにとって私は、哀れな女だったのだろう。
親友と寝取られた、滑稽な女。
だけど、私は哀れまれたまま終わる気など毛頭なかった。
あの夜、私を包み、貫いてくれた男――達也。
彼がいなければ、私はまだあの夜の布団の中で、何もできないまま泣いていただろう。
でも私は、立ち上がった。
そして、私と達也は「ある計画」を実行するために、ふたたび肌を重ねた。
数日後。私は、あえて元彼にLINEを送った。
《話したいことがあるの。直接会えない?》
食いつかないはずがなかった。
あの男は、快楽に溺れやすく、後悔に弱い。
指定したのは、私の部屋。
――かつて、彼と私が愛し合っていた空間。
そこに、彼がやってきた。
「……久しぶり」
バツの悪そうな顔。けれど、目の奥には下心が見え隠れしていた。
「話って?」
私はゆっくりと赤ワインをグラスに注ぎながら、彼の方を見つめた。
「美月と付き合ってるの、もう別にいい。でも――なんで、こんな裏切り方したの?」
「ごめん…俺も、ちょっと魔が差したっていうか……お前のこと、本当はまだ――」
その瞬間、私は笑った。
「まだ? 本気で、私が何もしてなかったと思ってるの?」
彼の顔が凍りついた。
「……え?」
「あなたの“親友”に抱かれたの。あの夜。あなたの代わりに、私を“ちゃんと”愛してくれたのは、達也だったわ」
彼の表情が怒りとも嫉妬ともつかない、歪んだものに変わる。
「は? お前、何考えて――」
「考えてたわ。すごく。あなたのあの巨根よりも、達也の方がずっと長くて、深かった」
私はわざとゆっくりと言った。
唇を濡らしながら、彼の劣情を逆撫でするように。
「どんな風に、抱かれたか――聞く?」
そう言った瞬間、リビングの奥の扉が開いた。
達也が姿を現したのだ。
黒のシャツに、濡れたような艶のある眼差しで、私の元彼を見下ろすように立っていた。
「やあ、久しぶり」
「……達也?」
「君の代わりに、彼女を満たしてあげたよ。いい身体だった」
その言葉に元彼の拳が震えた。
「なに勝手なこと――」
「勝手? お前のしたことに比べたら、ずっと紳士的だろう?」
私はソファに座り、静かにワンピースの裾をたくし上げた。
「ほら、見せてあげる。私がどう堕ちたか。どう、快楽に目覚めたか」
その瞬間、達也が後ろから私に手を伸ばし、太ももを撫で上げた。
「彼女、ここ、すごく感じるんだよな」
「っ……!」
背筋に快楽の火花が走る。
元彼の前で、私は達也の手によって、再び開かれていく。
羞恥と興奮がないまぜになって、身体が勝手に疼いていく。
達也は、私の胸元に唇を落としながら、耳元で囁いた。
「いいよね? 見せつけてやろう。君の女がどう啼くか」
彼はズボンを下ろし、あらわになったそれは――
何度見ても、異様なほどに大きく、太く、脈打っていた。
「……っあ……っ」
ぐっ、と達也のそれが私の中に沈んでいくと、
思わず脚が跳ね、ベッドの縁を掴んだ。
「ひとつ、ふたつ、数えながら犯してやろうか」
「……あ、ああっ、やだ、言わないで……」
でも、言葉とは裏腹に、身体は止められなかった。
太いものが奥に届くたびに、脳が揺さぶられ、理性が削がれていく。
「おい……やめろ……っ」
元彼の声は、すでに怒りとも哀れみともつかぬものになっていた。
「やめたくても……無理なの」
私は彼を見据えながら、達也に腰を打ちつけられるたび、吐息を洩らした。
「あなたのせいで、私、狂ったの」
達也の熱が奥で弾けるたび、快楽が腹の奥に火花を散らしていた。
こんなふうに堕ちていく自分を、私は――快感に震えながら、悦んでいた。
その夜の終わり。
彼は何も言えず、唇を噛みながら、玄関を後にした。
達也は、私の髪を優しく撫でながら、耳元で囁いた。
「君が望むなら、もっと深くまで連れてってあげるよ。快楽の底まで」
私の復讐は、始まったばかりだった。
それは、復讐のはずだった。
裏切った彼に、そして親友だった美月に、思い知らせてやりたかった。
私を捨てたことが、どれほど愚かだったか。
でも――あの夜、達也の逞しい身体に貫かれながら、
私の中で芽生えた感情は、復讐心とはまったく別の、もっと本能的なものだった。
「もう一度……お願い」
気がつけば、私はそう口にしていた。
達也の部屋は、生活感のないモノトーンの空間だった。
まるで感情を排したような静けさ。けれど、そこにあるベッドだけが異様な存在感を放っていた。
そこは、女が本能をさらけ出すためだけの檻――。
「今日も、ちゃんと濡れてる?」
達也の声は、穏やかなのに有無を言わせぬ強さがあった。
私はうなずく代わりに、脚をそっと開いた。
恥ずかしいほどに、すでに蜜は溢れていた。
「素直で、いい子だ」
達也はそう言って、私の顎を持ち上げ、ゆっくりとキスを落とした。
けれど、その優しさとは裏腹に、彼の指先は一切の迷いなく私の奥へと入り込んでくる。
「んっ……あ……」
指先が、敏感な壁をくすぐるたび、快楽の波が体中を走り抜ける。
息が詰まり、背筋が反る。
だけど、彼は許してくれない。
「勝手にイっちゃダメ。ちゃんと、命令するまで我慢して」
彼の言葉に、全身がビクリと震えた。
支配されるという感覚が、こんなにも甘く、切なく、熱いなんて知らなかった。
「これ、つけてみようか」
そう言って取り出されたのは、細い首輪と、目隠し。
心臓が跳ねた。
でも、私は拒めなかった。むしろ――試されることが、嬉しかった。
目隠しをされると、世界が音と感触だけになる。
どこに触れられるか分からない、その不確かさが、より一層、感覚を研ぎ澄ませていく。
肌に何かが触れた瞬間、私は小さく喘いだ。
達也の舌が、胸元をゆっくり這っていた。
「ねぇ……君って、本当に敏感だよね。
触れられたい? それとも、弄ばれたい?」
言葉の責めだけで、腰が跳ねる。
自分が自分でなくなる感覚。
私は、完全に達也の支配下に置かれていた。
「声、出してごらん。どれだけ欲しいか、ちゃんと俺に伝えて」
「……ほ、しい……達也さんの、それ……奥まで……っ」
「よく言えました」
その瞬間、太く熱い彼のものが、私の中へとゆっくり沈んできた。
何度も感じたはずなのに――その存在感は、やはり異常だった。
「う、あ……っ、深……っ」
彼の腰がゆっくりと動き出すたびに、私は言葉を失った。
太さと長さが、私のすべてをこじ開けるように進んでくる。
「快楽は、痛みのすぐ隣にあるんだよ。知ってた?」
囁かれながら、角度を変えて突き上げられた瞬間――
思考が真っ白に飛んだ。
「だ、め……だめ、もう……っ」
「まだだよ。俺がいいって言うまで、我慢して」
達也の腕が私の腰を引き寄せる。
何度も、何度も、奥を突かれて、
私は泣きながら必死に絶頂を堪えていた。
「もう無理……お願い、イかせて……」
「よく言えた。じゃあ、全部、俺の中で溺れて――」
その言葉と同時に、彼の動きが激しさを増し、
私の身体は快楽の大波に飲み込まれていった。
「あああっ……あ、あ……っ!」
絶頂は、もはや単なる快感ではなく、支配への服従だった。
達也に抱かれるたびに、私は“女”として再定義されていく。
夜が明けても、私はベッドから起き上がれなかった。
達也の指先が、まだ微かに震える私の髪を撫でる。
「次は、もっと深く。快楽の底まで、連れていってあげるよ」
その囁きが、私の背中をぞくりと這い、また新しい渇きを呼び起こした。
私の復讐は、もう目的を終えていた。
残っていたのは――彼による支配と快楽への、甘く危うい依存。



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