【第一章:背徳の火種は、リビングに置かれたグラスから】
帰省の夜。
玄関の扉が開いた瞬間、家の空気がほんの少し変わったのを、私はたしかに感じた。
「紹介するね、矢崎さん。今お付き合いしてる方よ」
母の声はどこか張り切っていた。
私は大学3年生、21歳。
そして妹、紗世は今年大学に入ったばかり──まだ18歳。だけどあの子は昔から、男の目を引くことに関しては本能的だった。
リビングに並んだソファ。
グラスの水滴がテーブルに静かに染みを広げていく中、
彼──矢崎さんは、母の横に少し距離を空けて座った。
「真由ちゃん、紗世ちゃん、はじめまして。お母さんには、いつもお世話になってます」
低くて落ち着いた声、眼差しの奥に熱を隠したまなざし。
白いシャツの袖をまくる仕草に、私は一瞬息をのんでしまった。
──この人、母の彼氏なのに。
なのに、どうしてこんなに、目が離せないの。
視線を逸らしても、身体の奥で何かがじわりと滲み始める。
それはたぶん、「女として」の本能だった。
もっと近づいてみたいという欲と、近づいてはいけないという理性のあいだで、私の太ももがじんわり熱くなっていた。
そのとき、ソファの反対側に座った紗世が、くすっと笑って言った。
「……お母さん、趣味いいじゃん」
矢崎さんが、少し照れたように笑った。
私はその笑みの意味を測りかねて、氷の溶けかけた水に口をつけた。
舌の上で、熱と冷たさが同時に広がる。
――はじまりの夜だった。
【第二章:妹の吐息が先に濡らした夜】
母が一泊で出張に出かけた週末の夜。
私はキッチンで氷を砕いていた。グラスの中でカランと音がして、静かな家にさざ波のように広がった。
「真由」
背後から呼ばれて、私は肩を跳ねさせた。
矢崎さんだった。シャワーを浴びた後なのか、髪がまだ少し湿っていて、白いTシャツの襟元が濡れて肌に張りついていた。
「氷、俺の分もある?」
「……はい」
グラスを差し出すと、指先がほんの一瞬触れた。
その接触が、雷のように全身を駆け抜けた。
彼の熱が、私の中の“濡れ”のスイッチを確実に押した。
「紗世ちゃん、シャワー中?」
「……たぶん」
会話はそれだけだった。だけど、それ以上のものが、私たちのあいだに流れていた。
数分後。
妹の部屋のドアが、わずかに開いたままだった。
なにげなく通りかかったとき、私は耳を疑った。
「……ん……もっと、触って……」
――紗世の声?
私は、ドアの隙間から覗いた。
月明かりに照らされたベッドの上。
妹の太ももが彼の手の中でひらかれていた。
柔らかな吐息が、彼の口元に吸い込まれていくように落ちていた。
信じられなかった。
けれど身体は反応していた。
唇が乾き、脚のあいだがじんわりと疼く。
私は部屋に戻り、ベッドにうずくまった。
そして、誰にも見られないように毛布の下で、指先を静かに下ろした。
指が触れた瞬間、溢れていた。
姉として、女として、理性を壊す熱が、身体の奥を泳いでいた。
そして心の中で、はっきりとつぶやいた。
「……私も、触れられたい」
【第三章:姉妹で分けた、ひとりの男の匂い】
その次の夜。
彼は黙って私の部屋に入ってきた。
「話してもいいかな」
私は頷いた。
ベッドに座る彼の隣に、私はゆっくりと腰を下ろした。
「紗世とは……たまたま、そうなってしまった。だけど……真由のこともずっと、見てた」
私は言葉が出なかった。
でも、身体が先に答えていた。
彼の指が、頬に触れる。
次に首筋、鎖骨、そして、薄手のキャミソールの下へ。
「こんなに……熱いんだね」
私の乳首が、指の腹で転がされた瞬間、腰が勝手に動いてしまった。
キャミソールがずらされ、胸が露わになって、口元に含まれたとき、声が漏れた。
「……だめ、声……出ちゃう……」
でも止まらない。
私も彼のシャツの中に手を滑り込ませた。
腹筋の起伏、胸の鼓動、そして、その下にある欲望の形。
「触って、真由ちゃん」
彼の囁きに、私は震える指でベルトを外した。
熱くて、硬くて、でもどこか艶めいたそれを、私の手の中で確かめた。
「こっちも……見てほしい」
私は下着を抜き、自分の中心を彼の視線にさらした。
すでにとろとろに濡れていた。
彼の目が細められ、指先がそこへ──。
「やらしい音、してるよ」
舌が触れたとき、腰が跳ねた。
ベッドの軋む音と、私の濡れた音が交じり合って、意識がどこかに飛びそうになった。
「入れて……もう……無理……」
彼がゆっくりと腰を沈めた。
全身が貫かれる感覚。
苦しくて、でも心がほどけていくような悦び。
腰が自然に動き出す。
「気持ちいい……気持ちいいの……」
指を絡め、胸を吸われ、脚を抱え上げられて奥を何度も突かれた。
絶頂はまるで波のように押し寄せてきた。
「出して……中に……」
彼の熱が奥で弾けたとき、私は声にならない声を上げていた。
そのあと、彼はそっと私を抱きしめた。
「……どうする? これから」
私は小さく息を吐いた。
「どうもしない。……ただ、好きになっただけ」
そのとき、ドアの外から、妹の足音が聞こえた。
そして、ノックもなく、ドアがそっと開いた。
「……ねえ、ずるいよ、ふたりだけなんて」
妹は笑っていた。
そして、その場に自然と腰を下ろした。
その夜、
私たちは姉妹として、女として、
同じ男を抱いた。
それは歪んだ愛かもしれない。
けれど、あの夜の熱と濡れと悦びは、
いまも私の中で、確かに息をしている。



コメント