彼女が不在中。密かにずっと大好きだった親友の彼氏を寝取ってヤリまくった32時間 宮城りえ
【第1部】友達の彼氏が一番かっこよく見える理由──27歳OL・真帆の乾いた日常とひそかな遊び方
わたしは、27歳。東京の片隅のワンルームで暮らす、普通の事務OL。
仕事はそれなり、友達もそれなり、彼氏は…ここ一年、いない。
同世代の女の子たちは、みんな当たり前みたいに「彼氏との週末」とか「記念日ディナー」とかをインスタにあげる。
タイムラインを指先でスクロールするたび、胸の奥がすこしだけチクンとする。
「いいなぁ…」
そう思うと同時に、わたしの頭の中には、いつも決まってある種類の妄想が浮かぶ。
──友達の彼氏って、どうしてあんなにかっこよく見えるんだろう。
合コンで初めて会う男の人よりも、街でナンパしてくる人よりも、
高校からの親友・百合(ゆり)が紹介してくれる彼氏や、会社の同期・沙織の恋人の方が、
どうしようもないくらい、魅力的に見えてしまう。
彼女が「ねぇ、うちの彼、ほんと優しいんだよ」って笑いながら話すたび、
わたしの中のどこかが、くすぐられる。
(その優しさ、わたしにも向いたらどうなるんだろう)
(百合と同じように、抱きしめられたら、どんな感じなんだろう)
別に、奪いたいわけじゃない。
百合の泣き顔なんて見たくないし、沙織の信頼を裏切りたいわけでもない。
ただ、**「共有してみたい」**のだ。
友達が「大好き」と言いながら抱きしめられている、その腕の温度を。
好きな人の名前で震えるその唇を、そのまま自分に向けたらどうなるのかを。
そういう自分に気づいたのは、24歳のときだった。
社会人になって少し経ち、一人暮らしにも慣れて、
夜の寂しさをごまかすために適当なアプリで男の人と会ってみたこともある。
でも、ナンパくんやアプリの彼らは、いつもどこか「安い」。
体温はあっても、物語がない。
その点、「友達の彼氏」は違う。
彼女が話してくれたエピソードや、みんなで行った飲み会でのクセ、
ささいなLINEのスクショまで、全部を知っているからこそ生まれる“立体感”がある。
(この人、百合にどんなキスをしてるんだろう)
(沙織を抱きしめるとき、どんな声で名前を呼ぶんだろう)
そんな妄想をする自分を、「性欲強すぎでしょ、わたし」と笑い飛ばしながらも、
心の奥では、どうしようもなく、その好奇心が膨らんでいった。
そしてある夜、わたしは自分のその欲望に、
名前をつけて、ルールを決めることにした。
「奪わない。壊さない。ただ、“一度だけ”共有させてもらう。」
彼女たちの恋人を“盗む”んじゃなくて、
週末の予定のすき間に、わたしだけの小さな秘密を滑り込ませる。
きっかけは、くだらない一通のLINEから始まる。
「テレビが映んなぁい(涙)誰にも頼めないし…」
このメッセージに反応する「友達の彼氏」は、
これまでに、八人。
みんな、いい人そうで、ちょっとおバカで、
そして、どこかで寂しそうな目をしていた。
わたしの「遊び」は、いつだって、
週末の、恋人と会う予定のない彼氏くんを、静かに探すことから始まる。
【第2部】テレビが映らない夜の招待状──ミニスカと網タイツで待つわたしと、揺れる彼氏たちのまなざし
金曜日の夕方、オフィスのパソコンをシャットダウンするとき、
わたしはまず、百合と沙織にさりげなく聞く。
「ねぇ、今週末、彼氏とデート?」
ごく自然に。昼休みの延長みたいな顔で。
「土曜日は仕事らしいから、日曜に会うかな」
「今週はお互い予定合わなくてさ〜、会えないんだよね」
その「会えないんだよね」が、わたしには合図になる。
(じゃあ、土曜日の夜は“空いてる”んだ)
彼女たちのスケジュール帳に書かれていない、
誰にも知られていない“余白”を見つけてしまった瞬間。
わたしの指先は、もうスマホに伸びている。
──百合の彼氏・亮(りょう)くん。
百合の惚気話を何度も聞かされてきた、あの真面目で、ちょっと抜けてる彼。
仕事終わり、部屋に着くなり、わたしは部屋のテレビの前にしゃがみ込み、
アンテナコードを軽く抜いて、わざと中途半端に差し込む。
パチ、パチッ。
音だけはきちんと出るのに、画面には「受信できません」の文字。
(うん、これでいい)
軽くシャワーを浴び、髪をまとめ、
クローゼットの奥から、**今日の“制服”**を取り出す。
黒のミニスカート。
素肌を透かす網タイツ。
シンプルなニットだけど、身体のラインだけはそっと強調してくれるグレーのトップス。
鏡の前でくるりと一回転した自分を見て、
思わず苦笑いがこぼれる。
「…ほんと、性欲強いよね、わたし」
でも、その自覚があるからこそ、
ちゃんとルールを決めている。
──彼女の悪口は言わない。
──「今日だけ」とはっきり線を引く。
──避妊をしない人とは、なにもしない。
──終わったあと、彼のLINE履歴を覗かない。
心の中でその四つを反芻してから、
ようやく、最初の一通を送る。
「ねぇ、亮くん、ごめん、いま大丈夫?
テレビが急に映んなくなっちゃって…(涙)
誰にも頼めなくて…どうしたらいいのかわかんなくて…」
数分もしないうちに、画面が光る。
「まじか。大丈夫?
俺、近くだし、見に行こうか?」
──男の人って、本当に、単純で優しい。
「…お願い、してもいい?」
そう打ち込んで送信ボタンを押した瞬間から、
わたしの心臓は、もう仕事モードじゃない。
玄関のチャイムが鳴るまでの十分が、
たぶん、一日のどの時間よりも、長くて甘い。
ピンポーン。
「…はーい」
ドアを開けると、
コンビニのビニール袋片手に、亮くんが立っていた。
「あ、これ。とりあえずビール持ってきた。
緊急出動手当ってことで」
いつも百合が写真で見せてくれる、
あの笑い皺のある横顔が、
いまはわたしの玄関灯の下にいる。
「ごめんね、ほんと。助かる…」
部屋に入ってもらい、テレビ台の前へと案内する。
亮くんは、ため息まじりにしゃがみこんで、
アンテナの裏側を覗き込む。
「えーっと…ああ、これかな。
ちょっと抜けてただけだわ」
指先でコードを押し込みながら、
視線だけが、ちらりと、わたしの太ももをかすめる。
網目をすり抜けるような、遠慮がちなまなざし。
その一瞬を、わたしは見逃さない。
「さすがだね。
男の人って、こういうの、すぐ分かるんだ」
わざと、ソファの背もたれに腰かけて、
片膝を立てるように座る。
網タイツ越しの肌が、照明に淡く光る。
テレビの画面がふっと明るくなり、
ちょうど流れ始めた深夜番組の笑い声が、
わたしたちの間の沈黙を埋めていく。
「ほら、直った。意外と簡単だったよ」
「すごーい。
ね、せっかくだし…一本だけ飲んでいかない?」
わたしは冷蔵庫から缶ビールを二本取り出し、
テーブルにトン、と置く。
プシュッという音が重なったタイミングで、
わたしは、さりげなく言葉を落とす。
「ねぇ、亮くん。
百合、幸せだよね。
こんな彼氏いて」
「急になに」
「だってさ…
もし、亮くんがわたしの彼氏だったらなぁって、
ちょっと、思っちゃうもん」
そう言いながら、
わざと、ふざけてるみたいなテンションで、
彼の肩に、ぽすっと頭を預ける。
「ちょ、真帆ちゃん。
それ、冗談きついって…」
口ではそう言いながらも、
わたしの腕の下で、彼の身体がほんの少しだけ固くなる。
胸の奥が、静かに高鳴る。
わたしは、自分の指先が震えているのを知りながら、
さらに、一歩だけ踏み込む。
「ねぇ。今日だけでいいからさ。
亮くんが…わたしの彼氏だったら、って想像させて?」
目を上げて、真正面から見つめる。
彼の瞳の奥で、迷いと欲望が、
薄い膜みたいに揺れている。
「…だめだって。
俺、百合の──」
「分かってるよ。
だから“今日だけ”。
あの子には、絶対秘密にするから」
そう囁きながら、
わたしはそっと、彼の胸元に腕を回す。
その瞬間、
わたしの太ももに触れる彼の視線が、
はっきりとした熱を帯びた。
ソファの上で、距離が、音もなく溶けていく。
みんな、一度はかならず拒む。
「ダメだって」「そんなことしたら」って。
でも、わたしの腕の中で、
彼らの鼓動だけは、いつも正直だ。
ビールの缶がテーブルの上で汗をかき、
テレビの光がぼんやりと揺れる。
やがて、言葉が役目を終えて、
沈黙だけが残ったとき。
その先に何が起こるのかは、
わざわざ語るまでもない。
ただ、
あの夜から数えて、わたしのもとに来た友達の彼氏は、八人。
みんな、最初は「ダメだ」と言いながら、
最後には、同じように、わたしの名前を低く呼んだ。
【第3部】「今日だけ」「秘密だよ」──罪悪感と快楽が溶け合う、土曜の夜の余白
始まってしまえば、
わたしたちは、ただの男女になる。
ソファのきしむ音も、カーテンのわずかな揺れも、
誰も知らない、土曜の夜の“余白”の中に沈んでいく。
亮くんの指先が、最初はおそるおそる、
やがて、確信に変わるようにわたしの背中をなぞるとき。
その指がいままでは百合の腰を抱き寄せていたのだと想像すると、
胸の奥で、何かがぱちぱちと火花を散らす。
(ああ、この手で百合は抱きしめられてるんだ)
(この腕の中で、あの子はどんな顔してるんだろう)
そんな情景が、頭の片隅をよぎるたび、
わたしの中の罪悪感と快楽は、
白と黒の渦みたいに混ざり合っていく。
「…真帆ちゃん、ほんとに、今日だけだからな」
耳元でそうつぶやく声は、
どこか言い訳みたいで、どこか祈りみたいでもあった。
「うん。今日だけ。
明日からは、何もなかったみたいな顔してるから」
約束を口にするたび、
その約束がどれほど軽く、
どれほど重いものなのかを、わたしは知っている。
ベッドに沈み込むシーツの感触、
汗ばんだ肌に触れる夜風、
遠くで走る救急車のサイレン。
そういう、何でもない音たちが、
わたしたちの秘密に、現実の輪郭を与えてくれる。
亮くんだけじゃない。
百合の前の彼氏も、沙織の元カレも、
みんな、最初はほとんど同じことを言った。
「こんなこと、絶対バレちゃいけないよな」
「でも…真帆ちゃんが、そんな顔するから…」
そのたびに、わたしは心の中で、同じ言葉を返す。
(大丈夫。バレないよ。
ここは、わたしの部屋で、土曜の夜で、
“テレビが映らなかっただけ”なんだから)
やがて、激しく高鳴っていた鼓動が、
少しずつ落ち着きを取り戻していく。
乱れた呼吸が整って、
静かな夜の音が戻ってくる時間が、
わたしは、案外いちばん好きなのかもしれない。
ベッドサイドの時計の針が、午前二時を指すころ。
亮くんは、名残惜しそうにため息をつきながら、シャツのボタンを留める。
「…ほんとに、誰にも言わないでな」
「誰に?
ここにいたのは、わたしと“テレビ直してくれた人”だけだよ」
わざと、からかうように笑ってみせると、
彼は、困ったように眉を寄せながらも、
どこか安堵した顔で玄関に向かう。
ドアが閉まる直前、
ふと、彼が振り返る。
「真帆ちゃんさ…
こういうこと、よくやるの?」
一瞬、答えを迷う。
わたしの頭の中には、
これまでわたしの部屋に来た、八人の男の人の顔が浮かんでいる。
けれど、口から出たのは、
ほんの少しだけ、嘘を混ぜた本音だった。
「さぁ。
“テレビが映らない”ことなんて、
そうそう起きないでしょ?」
ドアが閉まる音がして、
廊下の足音が遠ざかっていく。
リビングに戻って、
亮くんが飲みかけのまま残したビール缶を手に取る。
わずかに残った炭酸が舌の上ではじけて、
遅れてやってきた寂しさが、胸の奥にしみ込んでいく。
「…ほんと、わたし、性欲おばけだよね」
声に出して笑ってみせる。
誰もいない部屋で。
でも、その笑いの裏側には、
誰にも触れられない、本当の孤独が潜んでいることを、
わたし自身がいちばんよく知っている。
ベッドに横たわりながら、
わたしはスマホの画面を開く。
LINEのトーク一覧には、
百合のアイコンが、何事もなかったように並んでいる。
──この週末、彼女とデートしないのは、誰なんだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら、
まぶたを閉じる。
わたしの「テレビが映らない夜」は、
きっと、これからも、ときどき訪れる。
誰にも知られないまま、
友達の恋人たちのスケジュール帳の、
小さなすき間をすり抜けながら。
【まとめ】友達の彼氏を欲しがる性欲女子の本音──「奪わない」と決めたわたしが、それでも求めてしまう理由
わたしは、友達の彼氏が欲しい。
でもそれは、彼女から奪いたいからじゃない。
百合が惚れ込んだ「優しさ」や、
沙織が自慢する「まっすぐさ」を、
**「体験として共有してみたい」**という、
わがままで、子どもっぽくて、そしてとても大人げない欲望だ。
ナンパくんやアプリの彼では満たされないのは、
そこに「物語」がないから。
友達が話してくれたエピソード、惚気、喧嘩の相談、
そういうもの全部が織り重なってできた“彼氏像”に、
わたしはどうしようもなく惹かれてしまう。
だから、ルールを決めた。
奪わない。壊さない。
今日だけ。秘密。
そして、終わったあと、なにもなかった顔で友達に会う。
それが、正しいかどうかなんて分からない。
きっと、多くの人にとっては「最低」なのかもしれない。
でも、
土曜の夜、テレビが映らないふりをして、
ミニスカと網タイツで友達の彼氏を待つ、
そんな自分を、わたしは完全には嫌いになれない。
あの玄関のチャイムの音、
アンテナコードを直す真剣な顔、
わたしの太ももに落ちる、ためらいがちで熱い視線。
そのすべてが、
乾ききった日常にだけぽつりと落ちてくる、
甘くて、危険な雨粒みたいに感じられるから。
人に言える恋じゃない。
胸を張って語れる恋でもない。
でも、
誰にも見せないこの欲望と孤独を抱えながら、
わたしはまた、週末の予定表を眺める。
──この週末、デートしないのは、誰かな。
その問いを胸に抱いたまま、
わたしは今日も、
“テレビが映らなくなる夜”のタイミングを、
静かに、冷静に、そして少しだけ熱っぽく、待っている。




コメント