第一章:名前を知らないまま、惹かれていく
世田谷の閑静な住宅街に越してきて半年、私は28歳、二児の母。
毎日が同じようなリズムで過ぎていくなか、唯一、日常にさざ波を立てる存在がいた。
それは、いつも荷物を届けてくれる若い宅配業者の彼だった。
背は高く、輪郭が綺麗で、目元にどこか色気がある。
……どこかで見たような――あぁ、最近ドラマに出てる人気俳優、目黒蓮くんに似てる。
年はたぶん、二十歳そこそこ。けれど、その視線だけは、妙に男としての熱を帯びていた。
最初に彼がこちらを見たのは、たぶん“あのとき”。
朝、洗濯物を干していたとき、たまたま胸元の広く開いたTシャツから下着の縁が見えた。
目が合った彼は、一瞬驚いたように目を逸らしたけれど、その耳は真っ赤だった。
それを見た私も、なぜか胸の奥が、チクリと疼いた。
“見られた”――その感覚が、何かを呼び起こしてしまった。
次に彼が来たとき、私はわざとノーブラにカーディガンを羽織り、しゃがむときに隙を作った。
彼は何も言わなかったけれど、視線がほんの一瞬だけ、胸元を這ったのを私は見逃さなかった。
“私を女として見てる”
その事実が、たまらなく背徳的で、同時に快感だった。
第二章:誘いと抵抗のあいだで
その日も再配達の荷物が届く時間、私はソファに座りながら、わざと前のボタンをひとつ外した。
胸の谷間が、自然と覗くような角度で。
ピンポンが鳴き、彼が現れた。
「こんにちは。今日も、再配達で…」
「ありがとう。暑い中、大変ね」
わざと胸元を押さえながら身を乗り出すと、彼の喉仏が動いた。
「あの……」
彼の声が低く、どこか緊張していた。
「はい?」
私は微笑んで見つめ返す。
ほんの数秒、静寂が流れ――彼の口から、意外な言葉がこぼれた。
「奥さん……さっき、ベランダで…わざとですよね?」
心臓が跳ねた。
「……何のこと?」
「何回も…見えそうで。……いや、見えてて。あれ、たぶん、わざと…」
「違うって言ったら?」
彼は、言葉を詰まらせたまま、でも視線を逸らさなかった。
そのまなざしの熱に、私の奥がじんわりと濡れていくのを感じた。
私はゆっくりと、もう一つボタンを外した。
彼の瞳が、そこに吸い込まれていく。
「ちょっとだけ…触ってみたいって、思ったことある?」
彼は、驚いたように目を見開いたあと、唇を震わせた。
「……あります。ずっと、思ってました」
その瞬間、私の中で何かが崩れた。
「でも、ダメよ。私、人妻だから」
そう言いながらも、彼の指先が私のカーディガンの隙間に触れたとき、私は止めなかった。
彼の指が、そっとブラの内側へ滑り込む。
乳首に触れるか触れないかの距離で、何度も何度もなぞられ、やがて――
「やめないと…ダメって…」
小さく呟いた私の言葉に、彼は囁いた。
「ほんとは…やめたくないんでしょ?」
第三章:揺れる腰と、罪の味
そのまま私は、彼に押し倒されるようにソファへと沈んだ。
抵抗のふりは、もう通じなかった。
脚を割られ、タイトスカートの中に彼の手が差し入れられる。
「もう、濡れてる…」
そう言われた瞬間、全身が震えた。
ショーツをずらされ、舌が滑り込んでくる。
「そんな…や、だめ…」
でも声は裏返り、太ももが自然と彼の頭を挟む。
舌先で焦らされながら、私は必死に理性を繋ぎとめようとしたけれど――
「イく寸前の顔、すごく綺麗ですね…もっと見せてください」
その一言に、何かが切れた。
彼は自らのズボンを下ろし、私の奥に――
ゆっくりと、押し入ってきた。
太くて、若くて、熱い彼の塊が、私の一番奥を突く。
「痛い…のに……気持ちいい…っ」
腰を打ちつけられるたび、私は女として壊れていく。
「俺、奥さんのこと…奥まで、いっぱい感じさせたい…」
汗が混じり合い、乱れた髪が頬にかかる。
クライマックスの瞬間、私は背を反らせて彼の名も知らない若い体にすがりついた。
叫び声を堪え、口元を手で押さえながら果てたあと――
部屋の中には、静寂だけが残った。
余韻:
彼は無言で立ち上がり、乱れた私の服をそっと直した。
「また…来ますね」
その言葉に、私は頷きもせず、ただソファに横たわったまま、天井を見ていた。
――見せたのは、私。
――壊れたのも、私。
けれど、あの視線の熱に晒されたことで、
私は確かに、“女”に還ったのだ。
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