三年前の夏、蝉の声も忘れそうな、熱を孕んだ夜。 私は好きなバンドのライブを観るために、隣県までひとり旅に出ていた。会場の熱気がまだ身体の奥に残ったまま、深夜の夜行列車に揺られて帰る道すがら、私はある男の子に出会った。
「ライブ帰りですか?」
思いがけず隣に座ったその彼は、黒縁メガネに白い肌、細身で中性的な顔立ちをした草食系男子だった。けれどその目だけが、妙に熱を帯びていて、話していると時折、無防備なこちらをじっと観察しているような、獣のような光を宿していた。
話はすぐに弾んだ。
ライブの話、音楽の話、旅の話、そして恋愛の話。 彼の喋り口は柔らかく、どこか女性的で、でもふとした瞬間に見せる無遠慮な視線や鋭さが、逆に私を惹きつけた。
3時間の道のりは、まるで15分のように過ぎた。
降り際、彼は名刺を一枚差し出してきた。 「よかったら、連絡して。なんか、話しやすかったし」
当時の私は、長年付き合っていた彼と別れたばかりで、寂しさと新しい何かを求める気持ちが入り混じっていた。彼のような少し変わった男の子に、私は無意識のうちに惹かれていた。
数日後、私は彼にメールを送った。そこからは、毎日のようにやり取りを重ねる日々。
そして9月、私は大学時代の同窓会で、彼の住む街に行くことになった。 宿泊先がなく困っていると、彼に軽い気持ちで尋ねた。 「泊めてくれたりする?」
彼は一瞬の間もなく「全然いいよ。襲ったりしないし」と、あっさり答えた。
その言葉に安心しつつも、私の中には微かな期待と緊張が芽生えていた。
駅まで迎えに来てくれた彼は、あの日と同じ笑顔だった。 部屋に入り、2人で夕飯を作り、テレビをつけたままお酒を飲んでいた。
次第に言葉が減っていく。 テレビの音だけが流れる静かな空間で、彼の指がそっと私の足に触れた。
──ツン、と。
裸足の足裏に、彼の指先が滑り込む。 くすぐったくて反射的に身をよじると、彼がいたずらっぽく笑った。
「感度、いいね」
その一言で、部屋の空気が変わった。
彼の指は、足からふくらはぎへ、そして背中や脇へと忍び込んでいった。 私は体をよじって抗うふりをしながら、その柔らかで挑発的なタッチに内心、身体の奥がじわりと疼いていた。
けれど突然、彼は「そろそろ寝よっか」と言って電気を消した。
──まだ22時。お風呂も入っていないのに。
戸惑っている間に、彼はせんべい布団を一枚だけ敷き、無理やり私をその中に引き込んだ。
「ちょっ…待って、やっぱり襲う気…?」
胸に手が伸び、服越しに揉みしだかれる。 その手は強引で、けれどどこか的確で、私の身体のスイッチを知っているかのようだった。
「襲わないなんて言ったっけ? 泊まりに来たら、普通そうなるよね」
その言葉に、理性の糸が一気に緩んだ。
服の中に忍び込む手。ブラのホックが外され、乳首が彼の指先に擦られる。
「ん…っ、だめ…」
でも口では拒みながら、私の身体は熱を帯び、肌はぬめるように湿っていた。
そして彼のズボンの中から現れたそれは──
私がこれまで見たどんなものよりも、圧倒的だった。
──太い。長い。濃い。
その存在感に、私は一瞬、息を呑んだ。
「…そんなの、入るわけ…」
言い終わる前に、彼はゆっくりと私の中へ、熱く硬いその塊を押し込んできた。
初めての感覚だった。
ギリギリと奥をこじ開けるように、私の中を進んでくる。
「んあっ……くぅ、入って…きた…」
膣壁が伸ばされる感覚。 熱が、肉を押し広げて、すりつぶすように進んでくる。
それでも彼は止まらず、一気に根元まで突き込んできた。
「あっ、待って…っ、奥…っ」
「すごい締まる……え、めっちゃ気持ちいい」
彼は腰を打ちつけるたびに、私の脚を開かせ、持ち上げ、責め立てる。
正常位、バック、騎乗位、そして立ちバック。
「こっちも…好きでしょ?」
耳元で囁かれるたび、快楽の波が押し寄せてきて、頭が真っ白になる。
「も、もうダメ…っ、いっ…ちゃう…」
何度も絶頂し、汗に濡れ、喉が枯れるほど喘ぎ、私は彼の下で何度も崩れていった。
そのたびに、彼の巨根が奥を貫き、私の意識を刈り取っていく。
そして最後──
「そろそろ、出していい?」
「うん、あっ、でも…っ、中は……」
「大丈夫、ちゃんと着けてるから」
そう言いながら彼は最後の一突きを深く、深く、私の最奥へ届けた。
その瞬間、全身が震え、息が止まり、私は静かに絶頂を迎えた。
──白く眩しい空間で、ただ一人、溶けていくような感覚。
その夜、私たちは何度も何度も交わった。
終わりの見えない快楽のループ。 唇と舌が絡み、指が髪を梳き、膣がまた彼を欲しがる。
朝になって、彼の部屋を出る時、私は一歩、後ろを振り返った。
その背中はもう、私のものではなかった。
──でもあの夜、確かに私は、彼に抱かれた。
熱く、深く、濃密に。
それだけで、充分だった。
……そう、自分に言い聞かせながら。



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