【第1部】沈黙の奥で濡れてゆく──家庭教師の午後、視線が肌を撫でていた
この家に来るのは、もう十回目だったと思う。
玄関のベルを押すと、奥から足音がして、やがて彼──その家のお父さんが現れる。
ドアが開いた瞬間、むわりと湿った夏の空気が肌にまとわりつく。
でも、それよりも重く、熱く、私を包むのは、彼の視線だった。
「暑かったでしょう」
そう言って差し出された麦茶のグラスに、私の指先が触れるより早く、
私の身体の奥は、微かに収縮していた。
教えるのは中学三年の男の子。けれど、私の目の端に、彼の“父親”が映るとき、
私は妙に背筋を伸ばしてしまう。喉が渇き、下着が汗ばむような、そんな感覚に支配される。
教科書をめくるたび、何気なく肩が触れるたび──
でも、本当は知っていた。彼の目が、後ろからずっと私を見ていたこと。
ガラス戸越しに差し込む西日。汗が喉元を伝い、シャツの襟を少し開けたとき、
ふと、視線が重なった。
ソファに座っていた彼の目が、一瞬、ゆっくりと、私の鎖骨のあたりを舐めた。
獣のような目つきだった。
威圧ではない。
欲望でもない。
ただ、静かに、「知っている」という目。
──この身体が、触れられていないのに、もう濡れてしまっていることを。
教える声が震えていたのは、熱のせいじゃない。
視線の下で、私の乳首はずっと硬くなっていた。
背中に注がれる“気配”に、
私は──許したくなっていた。
あの目のまま、見られ続けたいと思っていた。
【第2部】見られながら、濡れてゆく──シャワーの音に溶けて重なる指
授業が終わったあと、少年が部屋を出た。
私は汗ばんだシャツの背中を気にしながら、鞄をまとめる。
「シャワー、よかったら使っていって」
そう声をかけたのは彼だった。
ほんの冗談だと、最初は思った。けれど、
「タオルは新しいのを置いてあるから」
そう言って微笑んだ彼の声は、
どこか深く、低く、肌の奥を撫でるようだった。
浴室に入り、シャツを脱ぎ、下着を滑らせるたびに、
私は感じていた。
──見られている、という錯覚。
それは錯覚ではなかった。
湯気の奥に、ほんの微かに空いた扉の隙間。
その奥に、確かに──彼の影があった。
私は、あえてタオルで胸を隠さず、鏡に向かった。
鏡の奥に映る自分の姿を、彼が“見る”ように。
濡れていくのは、肌ではなかった。
喉、乳房、脚のつけ根──
なにもかもが、視線だけで熱を孕んでゆく。
そして、ドアが開いた。
言葉もなく、彼の手が、私の髪を掴んだ。
背後から抱かれるまま、
私は濡れた床に膝をついた。
彼の指が、私の舌に触れ、
そのまま喉の奥へと沈む。
そして、次の瞬間。
彼の舌が背中を這った。
膝をついたままの体位で、
私は、初めて──音を漏らした。
羞恥と快楽が交差し、
それでも抗えなかった。
奥が疼き、震え、求めていた。
私は、抱かれたのではない。
あの目に、濡らされたのだ。
【第3部】壊れてゆく理性と、身体の奥に残された熱──最後に見たのは、あの目
「まだ、止まれない」
耳元でそう囁かれた声が、
そのまま私の脚の奥で波紋を描いていた。
ベッドの上、仰向けになった私は、
すでに幾度も達していた。
でも、終わらせてもらえなかった。
太ももを開かされ、膝の裏に腕を通され、
奥の、奥の、そのさらに奥まで、
彼は私を「見ながら」動いた。
視線が絡むたび、私は潤み、反応した。
首筋に流れる汗が、胸を伝い、
その雫がシーツに落ちる頃──私は、また絶頂していた。
あれほど理性を守っていたはずなのに、
いつの間にか、彼に懇願する声を出していた。
「もっと…」
「見てください、私を……」
腰が跳ね、喉が震え、
目の奥が熱くなるたび、
私はこの快楽の意味を知った。
──この目に、堕ちたのだ。
そして終わったあと。
重なった身体の下、
私の脚の奥から、静かに雫が伝っていた。
浴室の鏡の中、
肌に刻まれた指の跡と、
泣いたように赤く濡れた目を見つめながら、
私は知っていた。
もう戻れないということを。
彼の目が、私の性感帯になってしまったことを。



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