左遷先で出会った彼と、雨の夜に交わした赦し──孤独な女が再び“女”になる瞬間

田舎に出向を命じられた僕は、営業をサボって女上司と毎日SEXしている―。 山口珠理

都会から地方支店へ飛ばされた若い営業社員と、彼を静かに見守る上司の女性――。
この作品は、単なる男女の関係ではなく、孤独や再生を描くヒューマンドラマとしての深みを持っている。
山口珠理の演じる上司は、包み込むような優しさと抑えきれない情熱の狭間で揺れる大人の女性。
映像は丁寧で、地方の光や雨の質感までが登場人物の心情を映し出している。
見る者は次第に、彼女の瞳に宿る哀しみと官能の共存に引き込まれていくだろう。



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【第1部】沈黙の支店──午後の光が肌をなぞるように

長野県の小さな支店に、六月の湿った風が流れ込んでいた。
古いビルの三階。蛍光灯は半分が切れ、午後の陽が斜めに差す。
書類の匂いとコピー機の熱、それに混じって、わずかに彼のシャツから漂う洗剤の甘い香りがした。

私の名は早瀬美佐子。三十八歳。
東京本社では営業事務として十年以上勤めていたが、去年の冬に夫と別れ、異動を願い出た。
表向きは「環境を変えたくて」。けれど本当は、何かを失ったまま東京にいるのが苦しかった。

彼が支店に来たのは春の終わりだった。
名は藤村隼人。二十六歳。
都会的な顔立ちをしているのに、視線を合わせるのが少し下手な男だった。
配属初日、彼が名刺を差し出す指先を見たとき、私は胸の奥で、何かが小さく軋む音を聞いた。

支店の午後はいつも静かだった。
遠くの国道の車の音、窓際に置いた観葉植物の葉が揺れる音。
その静けさの中で、私は時々、自分の呼吸の速さに気づく。
彼が隣の席で見積書を打つキーボードの音――そのリズムが、まるで心臓と重なって聞こえる瞬間があった。

昼過ぎ、誰もいない給湯室で彼とすれ違った。
熱いコーヒーを注ぐ私の背後で、彼が小さく言った。
「……この支店、落ち着きますね」
その声は、窓の向こうの雨雲のように柔らかく低かった。

私は笑ってうなずこうとしたが、喉が乾いて言葉にならなかった。
その代わり、背筋をかすめた空気が、妙に生々しく感じられた。
彼が一歩近づくたびに、湯気の向こうで世界がぼやける。
湯呑を持つ指先から、鼓動がこぼれていた。

その日の帰り道、夕立に濡れたアスファルトの匂いを嗅ぎながら、私は思った。
――あの沈黙の中に、何かが芽吹いている。
それが罪かどうかなんて、まだ考えたくなかった。

【第2部】車内の静寂──触れられぬ距離の熱を感じながら

七月の終わり、午後の陽がガラスに溶けていた。
支店を出て、山間の得意先へ向かう営業車の中。
蝉の声がエアコンの風にかき消され、車内には二人の呼吸だけが漂っていた。

ハンドルを握る彼の横顔は、光と影の境にあった。
頬に走る汗が、首筋を伝ってシャツの襟を濡らす。
それを見ているうちに、私の胸の奥がじわりと熱を帯びた。
抑えようとすればするほど、心臓が耳のすぐ下で脈を打つ。

「珠理さん、こっちの道で合ってますか?」
ハンドルを少し切りながら彼が言う。
私は地図を見つめるふりをして、頬を撫でた風のような声で答えた。
「ええ……そのままで」

視線を合わせたわけではない。
ただ、彼の指先がギアを握る瞬間、車が揺れた。
それだけで、脚の付け根まで微かな震えが走る。

帰り道、窓の外では夕立が始まっていた。
ワイパーが雨粒を追い越すたび、車内は白い霧に包まれる。
その中で、彼の腕が私の肩にかかるように見えた。
錯覚かもしれない。けれど、もしそのまま触れられていたなら、私はきっと何も言えなかった。

エアコンの風が湿気を運び、二人の間の温度を奪っていく。
それなのに、指先が燃えるように熱かった。
彼がブレーキを踏むたび、身体がわずかに前へ傾く。
そのたびに、頬と頬の距離が、呼吸ひとつ分ずつ狭まっていった。

信号待ち。
彼は無言のまま、窓の外を見ていた。
その瞳の奥に映る自分の姿が、どこか別の女のように思えた。

「……藤村くん」
気づけば、名前を呼んでいた。
呼んだだけで、舌の裏が甘く疼いた。
彼がこちらを向く。
その瞬間、世界がわずかにたわんだ。

車が再び動き出す。
でも、私の中では時間が止まっていた。
次の信号までの数十秒が、永遠に続けばいいと思った。
触れないまま、触れてしまったように。

【第3部】雨の余白──触れてしまった後の静かな呼吸

夜が降りていた。
支店に戻る道、山裾に立ちこめる霧のような雨。
街灯の下で、車のボディが濡れた花弁のように光っていた。

彼は無言のまま、鍵を差し込んでエンジンを切った。
車内の静寂は、鼓動の音だけを際立たせた。
ほんの少し、視線が重なった瞬間、
何かが崩れ落ちる音が、確かにした。

気づけば、彼の肩に手が触れていた。
意識していなかった。
それでも、その温度が伝わったとき、身体が震えた。
誰かの温もりがこんなにも残酷だなんて、知らなかった。

沈黙の中で、唇が重なった。
それは口づけというより、救いのようだった。
息が絡まり、世界が遠のく。
指先が頬に触れるたび、
そこに“言葉では触れられない場所”があると知った。

どれほどの時間が経ったのか、覚えていない。
雨が止む音がした。
フロントガラスの水滴が、彼の横顔を歪ませていた。

「……このままじゃ、ダメですよね」
彼がそう言ったとき、私は笑った。
涙が滲んで、笑いと区別がつかなかった。

「ええ、そうね。ダメね」
けれど、その声の奥では、
“それでも構わない”という別の言葉が静かに息をしていた。

外に出ると、夜気が肌に張りついた。
雨上がりの匂いが、甘く濃い。
彼の手が私の手を取った。
その瞬間、胸の奥で何かが弾けた。

ホテルでも自宅でもない。
ただ、雨の残る暗がりの中で、
二人は互いの体温に縋るように立っていた。

触れたのは一度きり。
けれど、その一度で、
私は“女としての自分”がまだここにいることを知った。

翌朝、彼はいつものように支店に現れた。
何もなかったような顔で。
それが、少しだけ嬉しく、少しだけ痛かった。

雨のにおいがまだ髪に残っていた。
その香りを嗅ぐたびに、
あの夜の静けさが、身体の奥から蘇る。

【まとめ】赦しの温度──罪の中でしか触れられなかった優しさ

あの支店の日々を思い出すと、胸の奥が静かに疼く。
罪という言葉で切り取るには、あまりにも柔らかく、
愛という言葉で呼ぶには、あまりにも脆い。

彼と過ごした時間は、
誰にも見せられない影のように私の中で生き続けている。
手を伸ばせば届かない距離。
けれど、その距離こそが、私を保たせてくれた。

人は、赦しを外に求める。
けれど本当の赦しは、他人ではなく自分の奥にある。
欲望と孤独の境で私はそれを知った。

あの夜、濡れた掌で触れたのは彼ではなく、
愛するという行為の痛みそのものだったのかもしれない。
抱き合うたび、壊れていくのではなく、
少しずつ、何かが癒えていった。

「頑張らなくていいのよ」
あの言葉は今も胸の中に残っている。
あれは、彼にではなく、
何年も抱えたまま乾いていた自分自身への言葉だった。

愛はいつも、正しさとは違う場所に咲く。
そしてその花は、朝露のように短くても、
確かに誰かの心を潤すことがある。

彼が東京へ戻ったあの日、
私は初めて、自分を少しだけ好きになれた。
罪の重さよりも、
その温度を覚えている自分の生を愛おしく思えたから。

いまも時々、雨の午後になると、
デスクの上に指を置き、
あの夜の呼吸を思い出す。
それは懺悔ではなく、祈りに近い。

――人は誰かを抱きしめるたび、
ほんの一瞬、世界を赦しているのかもしれない。

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