「欲しかったのは、触れられることじゃなくて、認められることだったのかもしれない。」
そんな言葉が胸をよぎったのは、三人目の男性に抱かれた夜の帰り道だった。
タクシーの窓から見える街は静かで、けれど私の中だけがざわめいていた。
あそこには、彼の形を思い出すような湿り気がまだ残っていて。
でもそれ以上に、満たされたのは“心の奥”だった。
私は26歳。結婚して三年、子どもなし。
夫は優しくて、まじめで、どこにでもいる「いい人」。
でも、ここ一年以上、私に触れてこない。
キスも、抱擁も、まるでルーティンのような作業にしか見えなかった。
欲しかったのは、「抱かれる」ことではなかった。
「女」として欲されること。
だから私は、ある夜、夫が夜勤に出たあと、
クローゼットの奥にしまっていた、勝負下着に袖を通し――
スマホの求人欄から、「デリバリーヘルス」の番号に電話をかけた。
その日、三人目の男性はホテルのスイートルームで私を待っていた。
ドアを開けると、彼はソファに座り、電話をしながら目だけで私を見た。
「脱いで、待ってて」
それだけ。
それだけで、私は女として“存在を認められた”気がした。
震える手で、ひとつずつ服を脱いでいく。
レースの下着一枚になり、部屋の空気に肌が晒されたとき、
羞恥とともに、下腹部がじんわりと濡れていくのを感じていた。
「そこで、ひとりで触ってて」
洗面所の奥から、彼の低い声が届いた。
私はベッドに座り、震える指で胸を撫でた。
硬くなった乳首を指先で弾きながら、脚を少しずつ開いていく。
指が蜜に触れたとき、目の奥がじわりと熱くなった。
私の中にまだ、こんなに欲望が残っていたなんて――
やがて彼が戻ってくる。
濡れた髪をタオルで拭きながら、私を見下ろしたその視線。
ひとことも言わず、私の手を止め、ベッドに押し倒した。
唇が触れたのは、私の鎖骨。
舌先がなぞるように乳房へと移り、
指は太腿を開いて、私の“蕾”へと沈んでいく。
そして――
舌が私の奥を掬い、吸い上げた。
クンニ。
けれどそれはただの愛撫じゃない。
まるで私という存在を舐め取り、味わい、肯定するような行為だった。
「んっ、あ……そこ…ダメ、そんなの…」
濡れた音が部屋に響き、私の吐息がそれを包む。
「上に乗って」
彼のひとことで、私はゆっくりとその身体に跨った。
初めて会ったはずなのに、まるで何年も待っていた相手のように。
熱く脈打つものを、私自身で導き、
少しずつ沈み込む――
まるで儀式のように。
「……っ、すごい…奥…当たって…」
背を反らせ、胸を張り、ゆっくりと腰を揺らす。
擦れ合うたび、奥の奥から痺れるような快感が波のように広がった。
それは快楽ではなく、“目覚め”だった。
「気持ちいい…女って、こんなに……」
彼の手が私の腰を導く。
私はその流れに身を任せながら、何度も絶頂を迎えた。
やがて体位を変え、私はベッドに膝をつき、
彼の熱を口に含んだ。
フェラチオという行為が、こんなにも愛おしいなんて。
唇を使って、舌を這わせて、喉の奥にまで届くように――
彼の息遣いが荒くなっていくたびに、私の快感も高まっていった。
「奥、気持ちいい…もっと……」
彼が囁くと、私の中の奉仕欲が燃えるように高まった。
背後から、彼の熱が再び私に入る。
後背位。
奥を突かれながら、シーツを握りしめて喘ぐ自分がいた。
「そこ、だめ…っ、でも好き…っ」
そして――
彼の指が、私の“後ろ”へと伸びた。
ローションを垂らし、指がそっと開いていく。
初めての感覚に身体が跳ねたが、
彼の声が優しく囁いた。
「お尻も、慣れたら気持ちいいよ。任せて」
ゆっくりと。
けれど確かに、彼のものが私の中で満ちていく。
異物感、羞恥、そして快感――
すべてが混ざり合って、私はもう、何も考えられなかった。
シャワーを浴びたあと、彼の胸に抱かれてベッドで眠った。
何も言わない。
でも、何かが確かに満たされた夜だった。
今、夫が隣で静かに眠っている。
私は主婦としての顔に戻る。
でも、あの夜。
私は騎乗位の中で確かに、“女神”として、世界の中心にいた。
その記憶は、もう誰にも奪えない。
奥に、深く、熱として――今も、私の中に残っている。



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