禁断の鼓動——保健室で交わるふたりの秘密　　その2

再び訪れる痛み

季節が変わり、秋の気配が忍び寄る頃だった。

その日、保健室の扉が静かに開いた。

「先生……また来ちゃいました」

低く響く声。私の鼓動がわずかに乱れる。

直人が、再び怪我を負ってここへやって来た。足を引きずりながらベッドへと向かう彼を見つめ、私は思わず息を飲む。

「また、無茶をしたの？」

「ちょっと踏み込みをミスって……でも、大丈夫です」

私はいつものように彼の足を診ようと近づいた——その時。

保健室の静寂を破るかのように、扉の向こうから女性の声が響いた。

「直人……大丈夫？」

その瞬間、私の中の何かがひび割れた。

知らなかった存在

戸口に立っていたのは、彼の彼女だった。

長い髪が揺れ、心配そうに彼を見つめるその姿。

私は目をそらせなかった。喉の奥に、言葉にならない感情が押し寄せる。

「彼女……がいたのね」

言葉にした途端、苦いものが口の中に広がる。

直人の表情がわずかに揺れる。

「……先生、違うんです」

違う？　何が？

彼は私のものじゃない——それなのに、胸の奥が燃えるように熱くなる。

嫉妬と支配

私はゆっくりと微笑んだ。

「そう……なら、治療をしましょうか」

彼女が戸口に立ったままの状態で、私はカーテンを引いた。

「ちょっと待っていてね。しっかり治療するから」

彼女の声が戸惑いを含んでいたが、私は動じなかった。

カーテンの向こうに彼と私だけが残る。

空間が切り取られ、時間の流れが変わる。

私の指が彼の足に触れる。いつもより少し強く、支配するように。

私の指が彼のペニスを捉える。

彼が微かに息を詰める。

「先生……？」

「大丈夫よ。私に任せて」

指先を滑らせるたびに、彼の身体がこわばるのがわかる。

吐息が乱れ、喉がかすかに震える。

外では、誰かが廊下を歩く音がした。

私は彼の最高に勃起したものを口に含んだ。

その気配が、彼の鼓動を速める。

私はふと、胸の奥に燃える嫉妬の熱を感じた。

彼の意識が外へ向くたび、それを引き戻したくなる衝動。

彼が自分のものであることを、刻みつけたくなる欲望。

「静かにして。外にいるでしょう？」

彼の喉がわずかに震えた。

窓の外、夕陽が赤く染まり、カーテンの端に揺れる影をつくる。

彼は私の中に大量の精子を放った。

私の心の奥底に燃える炎のようだった。

愛と嫉妬が絡み合い、私は彼を逃がさないと誓った。

縛られた熱

その夜、彼は再び保健室を訪れた。

「先生……」

扉を閉める音が、静寂の中に響く。

私は微笑み、手を伸ばした。

「あなたは、ここにいればいいのよ」

彼の手首をそっと掴み、静かに引き寄せる。

「もう逃げられないわ。わかっているでしょう？」

彼の瞳は揺れ、けれど抗おうとする気配はすでにない。

「……先生、どうして……？」

「直人、あなたは私のものよ」

ささやくように言葉を紡ぎながら、彼の手をほどく。

彼の鼓動が速まるのが、掌を通じて伝わってくる。

「感じて？　私だけを」

指先がそっと彼の髪をなぞり、ゆっくりと首筋をすべる。

夜の静寂が二人を包み込む。

「何も考えなくていいの。私がすべて導いてあげる」

彼の喉が震え、息遣いが乱れる。

私は彼の反応を確かめるように、ゆっくりと指を絡ませる。

彼の肌が熱を帯び、わずかに震えた。

彼が今、何を思い、何を感じているのか。

私の目の前にあるのは、抗いがたい支配と欲望の交錯。

窓の外では、夜風がカーテンを揺らし、月の光がほのかに差し込んでいる。

沈黙の中で、時間がゆっくりと溶けていく。

影が重なり、熱が伝わる。

言葉は要らない。ただ、感じるだけ。

彼のまぶたがゆっくりと閉じられた。

彼の目が揺れ、すべてを受け入れるように伏せられる。

彼の背筋がわずかに反り、息遣いが高鳴る。

まるで波が寄せては引くように、二人の鼓動が交差する。

「直人……いいわ、そのまま……」

張り詰めた空気が一瞬にして弾け、静寂が支配する。

私は彼の髪を優しく撫でながら、ゆっくりと息を吐いた。

「もういいのよ……」

嫉妬も、支配も、すべてが混ざり合いながら、私は彼を掌の中に閉じ込めた。

彼はもう、逃げられない。

私の手の中で、永遠に——。

夜風がカーテンを揺らし、影がゆっくりと溶け合った。