誘いの言葉
「森の中で写真を撮りたいんだ」
颯真の言葉に、胸が静かにざわめいた。彼とは仕事で知り合い、撮影のたびに距離が縮まっていった。それでも、私は超えてはいけない一線があるはずだった。
私は出版社に勤める編集者で、27歳の人妻。結婚生活は平穏そのものだけど、どこか満たされないものを感じていた。一方の颯真は32歳、独身のカメラマン。落ち着いた雰囲気を持ちながらも、情熱的な目をしていた。
「どうして森なの?」
「自然の光が、君をいちばん綺麗に見せてくれると思うから」
彼の言葉は真剣で、私はそれを断る理由を見つけられなかった。
森の中の撮影会
東京都内とは思えないほど静かな森。鳥のさえずりと木々のざわめきだけが響く。
カメラが向けられると、思わず肩をすくめてしまう。結婚してからというもの、自分が誰かの視線の中にいることが減っていた。
「リラックスして。いつもの笑顔で」
彼の声が、優しく包み込むようだった。シャッター音が何度も響く中、彼の視線が私を捉え続ける。
「もっと自然に、ほら、風を感じて」
彼の言葉に従い、目を閉じた。そよ風が頬を撫で、髪を揺らす。
「そのまま……いいね」
シャッター音がまた響く。
近づく距離
「少しポーズを変えようか」
そっと手を取られた瞬間、心臓が跳ね上がった。
「力を抜いて」
彼の声が近づく。指が頬を撫でる。
「……っ」
息を呑んだ。彼の手のひらが、頬を包み込むように優しく触れる。
「こんな表情、普段の君からは見られないな」
彼の低い声が、肌をくすぐる。
「颯真さん……私、どうしたらいいの?」
「感じるままに……」
熱が体の奥から込み上げる。気づけば、私の手がそっとシャツのボタンへ伸びていた。理性がかすかに警告を発するが、彼の視線があまりに熱くて、抑えきれなかった。
シャツの前をそっと開く。白い肌が月明かりに照らされると、彼の瞳がさらに深くなった。
「美しい……スレンダーで、しなやかで……君の身体は本当に魅力的だよ」
「そんな風に言われると……恥ずかしい……」
彼の指がそっと私の肩から腕へと滑る。
「肌もすべすべで……小ぶりだけど、形が綺麗な胸……完璧だ」
「颯真さん……そんなに見つめないで……」
スカートの裾をゆっくりとたくし上げる。風が肌を撫で、ひんやりとした夜の空気がまとわりつく。
「もっと見て……颯真さんだけに……」
自らを晒す快感に震えながら、静かに微笑んだ。
森の奥へ
彼の指が髪をかき上げ、頬を撫でるたびに、体の奥から熱が湧き上がる。風が木々を揺らし、葉擦れの音が耳をくすぐる。
「颯真さん……お願い……」
彼の腕が私の腰を引き寄せる。彼の体温が服越しに伝わり、全身が震える。
「誰にも邪魔されない場所だよ」
彼の囁きが耳元をくすぐる。
私は彼の上に身を預けるようにゆっくりと動いた。自ら彼を包み込み、その瞬間、すべての理性が溶けていく。
「……すごい……こんなの……」
ゆっくりと揺れながら、私たちは波のように高まり、やがて深く、甘美な頂へと辿り着いた。月明かりが私の肌を優しく照らし、彼の手が私の腰を抱く。その感覚に酔いしれる。
「颯真さん……私、壊れちゃいそう……」
木々の揺らぎと風のざわめきの中、彼の鼓動が私の胸の中に響いていた。
「……美しいよ」
彼の囁きに、涙がにじんだ。何かが満たされていく。人妻という枠に囚われず、ただひとりの女として、彼と一つになった幸福感が溢れていた。
「こんなに幸せな気持ち……忘れたくない……」
二人きりの森の中。誰にも見つからない秘密の場所で、私は彼の腕の中に沈んでいった。
—触れられるたびに、私は確かに女になっていく。
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