第一章:「教壇の下、視線が触れ合う午後」
札幌市。六月の終わり。まだ夏には遠いのに、教室の窓から差し込む光は眩しく、空調の効かない教室では生徒たちの体温が空気をじわじわと濃くしていた。
私は大学4年。中学校に教育実習で来ていた。夢だった教職の現場は、想像以上に忙しく、朝から晩まで授業準備や部活指導に追われ、睡眠は毎日3時間がやっと。身体の芯が熱を持ち始めているのに、それを冷ます余裕すらなかった。
そんな私の担当教員は、社会科の主任──41歳の既婚男性、田所先生だった。背が高く、声に独特の低さと艶があり、教壇に立つ姿はひとつの演技のように洗練されていた。
最初に気づいたのは、私が初めて授業をした日。緊張で手が震え、板書すらままならない私の後ろで、田所先生は静かに見守っていた。放課後、指導を終えた彼がぼそりと言った。
「……肩、少し震えてたね。でも、声は、悪くなかったよ」
その声が、喉の奥にしみた。耳に残って離れなかった。
金曜の夕暮れ、「よかったらご飯でも」と彼は自然に誘ってきた。断る理由はなかった。むしろ、その誘いをどこかで待っていた。
けれど、夕食のあと、彼の車が向かったのは私の家ではなく、郊外のラブホテル街だった。
「性教育も、現場で学ばないとね」
冗談のように言って助手席から私を見たとき、私は言葉を失った。けれど──身体は拒んでいなかった。
第二章:「脱がされる制服、ほどかれる正しさ」
鍵が閉まる音。淡い照明。シーツの皺。
「大丈夫?」と聞かれて、私はただ首を振った。大丈夫ではないのに、行き場のない熱が、どこかに噴き出したくて仕方がなかった。
彼の手が、スカートのプリーツをなぞる。胸元にそっと触れて、第一ボタンが外された。制服のシャツが脱がされ、実習生という立場が剥がれていく。彼の目に映る私は、もう“教える側”ではなかった。
ブラのホックが外される音がやけに大きく感じた。空気が乳房に触れ、彼の掌がすぐに熱を持ってそこに重なった。息が、細くなる。抵抗しようとしても、指先が彼のシャツのボタンを外している。
「ここ、もう……濡れてる」
ショーツの上からなぞられた指に、私は思わず腰を揺らしてしまった。あたたかく、いやらしい軌跡。まるで私の“心”の場所を撫でるように。
「は、あ……っ」
声が漏れた瞬間、彼の唇が私の喉元に這い、乳首を強く吸った。脈打つ音が聞こえるほど、身体は正直に反応していた。指が布の内側に入ってきた。かき混ぜるように、濡れた奥を探られる。
「こんなに感じやすいなんて……」
言葉にされて、全身が弛緩する。彼はそのまま私の脚を開かせ、唇をそこに重ねて──
「や……ダメ……そんなの……っ!」
羞恥と快感がない交ぜになり、私は何度も波の中に攫われた。気づけば彼は自分の服を脱ぎ、私の腰を掴み、そっと入り口に自身を添わせてきた。
「避妊、してますか……?」
「任せて」
その言葉のあとの挿入は、思っていたよりも静かで、でも深かった。
制服のスカートだけが残ったまま、私は彼の身体の中で揺れ、声をあげ、そして──何度も果てた。
第三章:「愛と教室、その狭間で濡れる日々」
実習の残り一週間、私はまるで秘密の恋人のように彼と夜を過ごした。
夕方になると、「送ってあげるよ」と声をかけられ、車に乗る。それはやがて、合図となった。公園の駐車場。学校裏の人気のない坂道。ラブホテル。どこでも私たちは求め合った。
「君の身体、忘れられなくなった」
「先生……私、教育実習で来たんですよ?」
「……でも、これはもう勉強じゃない」
シャツの裾から手を入れられると、私の理性も教職への使命感も、すべて彼の熱の前では溶けていった。
声を殺して、でも濡れる音が部屋に響いた夜。背中に爪を立てながら、私は何度も何度も彼を迎え入れた。ゴムがなくなった夜、生で繋がったことさえ、私には罪ではなく赦しだった。
実習最終日、朝まで彼に抱かれた私は、帰り際に問うた。
「……先生って、みんなこんなに激しいんですか?」
「違うよ。君だけ。俺が、欲しかったのは」
──その言葉が、私の中に火を灯した。
それから三年。今は教師として別の学校に勤めている。でも、週に3〜4日、彼は“部活指導”の名目で私の部屋に来る。時にはラブホテル、時には露天風呂の宿。
彼の奥さんが実家に帰るお盆は、私たちの「年に一度の旅行」。
観光もしない。浴衣のまま、浴衣を脱がされ、お湯の中で抱かれ、窓の外に朝が差してくるまで──ただ交わる。
快楽の中に虚しさはなかった。むしろ、私はこの関係に生かされているとさえ感じる。
教師という肩書の裏で、私はまだ“実習生”のままかもしれない。
欲望に学び、快楽に迷い、愛の名前すらつけられない関係を、それでも続けている。
──けれど、彼が私の名前を呼ぶとき、私はなぜか、少しだけ安心するのだ。




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