夫の隣で友人と…背徳の夜に濡れた私の本音

第一章:湿った床と、グラス越しの予感

「今夜は泊まっていくからな」と彼が笑ったのは、深夜0時を回った頃だった。

夫の大学時代からの友人である悠人(ゆうと)さんは、私たちの家に来るたび、いつも同じように無防備だった。
酒に強い夫はいつも通りのペースで焼酎を空け、真っ赤な顔のまま、リビングのソファで泥のように眠ってしまった。隣では悠人さんが、まだグラスに口をつけている。時間の流れだけが、少しずつ輪郭を失っていった。

私は37歳。札幌の住宅街に暮らす専業主婦で、結婚して13年目。子どもはおらず、日常はいつも、きれいに畳まれた洗濯物のように、整っていて退屈だった。
けれどその夜、なぜか私は、グラス越しの彼の目線に、汗のにじむような視線の熱を感じた。
それが錯覚か、欲望の予感だったかは、今となっては思い出せない。けれど、確かに私の中で、何かがじんわりと融けていったのだ。

「旦那、完全に落ちたな」
悠人さんが笑ったとき、私は反射的に小さく笑い返した。
でもその瞬間、自分の笑顔が、どこか震えていることに気づいた。
そして――その揺れに、自分で濡れていくのを、感じていた。


第二章:夫の隣で、指の湿度に囁かれて

悠人さんのグラスが空になった頃、私は台所に立ち、水を差し出した。
「ありがとう。…あのさ、ちょっと背中、張っててさ。揉んでもらえたりする?」

酔った身体の軽さのせいか、私は頷いていた。ソファの前、ラグにうつ伏せになる彼の背中を、そっと押すと、彼の皮膚がTシャツ越しに生き物のように波打った。

「……気持ちいいな」

その言葉が、少し低く、湿っていた。
私は手のひらで彼の肩甲骨のあたりをなぞりながら、夫の寝息を確認した。浅く、規則的な呼吸。絶対に起きない酔いの深さ。

そのときだった。
悠人さんが、腰を少し浮かせて言った。

「……ごめん、ちょっと、下が……反応してて」

私は息を止めた。けれど、やめる理由はどこにも見つからなかった。
彼の下腹部に手を伸ばし、ゆっくりと、スウェットの上から確かめると――熱く、脈打っていた。生き物のように私の手に訴えてくる硬さ。

私の指先に、少し湿り気がにじむ。

「……そのまま……動かして……」

彼の声が微かに震えていた。私は無言で、手をスウェットの中へ滑らせる。
体温の高い肉が、指先にぬるく馴染んだ。夫の寝息が、すぐ横で響いている。
――ダメだ。いけないことだ。
けれどその「いけなさ」こそが、私を駆り立てた。

やがて、悠人さんが仰向けになると、私は彼の腰の間に顔を落とした。
吸い寄せられるように、その奥へ。香り、味、汗と皮膚の複雑な温度――

そして、私の唇は、彼の後ろへと沈んでいった。
見たことも触れたこともない、彼の“奥”に。

舌を這わせると、彼の呼吸が喉の奥でねじれたように鳴る。
快感に耐えるその音が、私の背骨を震わせた。
手は動き続け、舌は深く吸い、私は何度も、夫の名を心の中で呼んでいた。
けれどもう、私の身体は、夫のものではなかった。


第三章:快楽のあと、赦しのような虚無で満ちて

彼が息を吐きながら震え、私の指に温かいものが零れ落ちたとき、私はようやく、自分が何をしていたのかを理解した。

ソファにはまだ、夫が眠っている。
無防備な背中。何も知らない安堵の寝息。
そのわずか数十センチ横で、私は、友人の奥を舌で愛していたのだ。

彼の手が私の髪をなでる。「ごめん。こんなこと……でも、止められなかった」
その言葉に、私は何も返せなかった。ただ、首を横に振った。

罪悪感と快楽の重なりに、身体の奥がまだ痺れていた。
でも、その痺れの中に、なぜか妙な静けさがあった。
まるで、自分自身の奥に触れてしまったような感覚――

「奥さん、きれいだった」

その声に、私はかすかに笑った。
もはや“奥さん”という響きに、何のリアリティも感じなかった。

あの夜以降、彼とは会っていない。
けれど、あのとき舌に残った“彼の記憶”は、私の内側のどこかで今もずっと、熱を帯びて残っている。

誰にも言えないけれど、あの夜の私は、確かに生きていた。
背徳の中で、赦しのような快楽に抱かれていたのだ。

それは――
女としての私を、もう一度目覚めさせる、終わりと始まりだった。

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