第一章:夫の提案と、心に芽生えたざわめき
私は41歳。結婚13年目の看護師。
東京郊外の総合病院で主任として忙しい日々を送っている。夫は私より3つ年上で、小さな会社を経営しているが、ここ数年はお互いの忙しさにかまけて、夫婦の会話も、触れ合いも減ってしまっていた。
夜の営みも、もういつだったか思い出せないほど前──
そういうものが必要だという気持ちはある。でも、仕方のないことだと思っていた。自分の身体の疼きは、自分でどうにかすればいいと、そうやってやり過ごしてきた。
そんな私に、ある晩、夫が言ったのだ。
「他の男に、抱かれてみないか?」
何かの冗談か、疲れによる戯れ言かと思った。
けれど、彼は何度も同じ言葉を繰り返した。
その声は静かで、むしろ真剣だった。
「俺、多分…寝取られ願望っていうのがあるんだと思う」
「自分で選んだ男に、あやこを抱かせてみたい」
「嫉妬もするだろうけど、それ以上に…興奮する気がする」
私は戸惑った。
けれど、不思議なことに嫌悪感は湧いてこなかった。
「いい人がいれば…考えるわ」
その場を濁すように言った私の心の奥には、ほんの少し、
火種のような好奇心が、確かにあった。
第二章:見知らぬ男の部屋で、ほどけてゆく私
あれから数ヶ月、夫からその話は出なかった。
私も多忙な毎日に追われて、すっかり忘れかけていた頃──
3月のある夜、夫が言った。
「良い人が見つかったよ。大阪の人で、50代後半。会社役員で、紳士的な人。…それに、“アレ”がすごいらしい」
スマホに映し出されたのは、穏やかな眼差しの男性。
優しそうな笑顔の裏に、どこか静かな自信が滲んでいた。
「…本当に、この人と、そういうことをしてもいいの?」
私が問い直すと、夫は一言。
「…あやこに、この人に抱かれて欲しい」
その言葉に背中を押されるようにして、私は承諾した。
そして数日後、仕事帰りに向かったのは、品川のシティホテル。
お相手のKさんは、既に部屋で私を待っていた。
ノックに応えて現れたのは、まるで銀行員のように真面目そうな男性。
けれど、その声には落ち着きと、温かみがあった。
少しの雑談の後、彼は私の手をとってベッドに誘った。
その瞬間から、私の身体は、まるで別のスイッチが入ったように熱を帯びていた。
「…キス、好きなんだね」
彼の舌が、私の中で踊るように動き、息が上がる。
久しぶりの深いキス。もうそれだけで、身体の奥が疼いていた。
手際よく外された下着、乳首をくすぐる指先、
スカートの奥に伸びる手…濡れているのが、自分でもわかって恥ずかしかった。
「シャワー…先に浴びたい…」
思わずそう口にすると、
「今のあなたが、いちばん綺麗だよ」
そう囁きながら、彼は私の下腹部をそっと撫でた。
あとは、流されるようだった。
彼の舌が、恥ずかしい場所を這い、吸い、音を立てて私を味わう。
「そんな…だめ…」と口では言いながら、私は彼の指を受け入れていた。
そして、ついに目にした彼のモノは、
今まで見たどの男よりも大きく、太く、堂々としていた。
「入れるよ」
その瞬間、私は叫んでいた。
裂けるような痛みと、打ち上げられるような衝撃。
そして──深く、深く突き上げられる感覚。
「すごい…全部…入ってる…」
彼は余裕のある動きで私を貫きながら、乳首を愛撫し、
下の蕾を指でなぞった。
そのすべてが連動して、私は何度も絶頂を迎えていた。
彼の言葉が、私の奥の淫らな本性を引き出す。
「このまま抜こうか?」
「…嫌、このままがいい…もっと、欲しい」
我を忘れて答えた私に、Kさんは微笑んでこう言った。
「いやらしい奥さんだね」
何度も果てたあと、二人は身体を寄せ合い、
時にキスを交わしながら、また深く繋がった。
第三章:許されないはずの快楽に、心がほどけていく
約束の時間が近づいた頃、Kさんは言った。
「そろそろ、シャワーしようか」
私たちは並んでバスルームに立ち、互いの身体を洗い合った。
その触れ合いさえ、もう快楽の余韻で震えが走るほどだった。
最後にもう一度…どうしても感じてみたくて、私はお願いしてしまった。
「…コンドーム、外して欲しいの」
Kさんは一瞬だけ躊躇したが、私の頷きに応じて、
生身のまま私の中に入ってきた。
あのときの熱さ、張り詰めるような密着感。
私はもう、自分で腰を動かしていた。
「…もっと…奥まで来て…」
最後はお腹の上に精を吐き出してくれたKさんに、
私は口づけながらフェラをした。
その行為自体が、なぜか愛しく、尊い儀式のように感じられた。
「…こんなこと、夫にもしたことないのに」
ホテルを出て、電車の中でメールを打った。
「終わりました。今から帰ります」
けれど、その指の余韻はまだ震えていた。
私は今夜、夫に会えるだろう。
でも──この出来事を素直に伝えるべきなのか、まだ答えが出ない。
ただ、確かなのは。
私は、Kさんに、もう一度抱かれたいと思っている。
そして、
「こんなはずじゃなかった」と言いながら、
それでも心のどこかで、また疼き出す自分がいるのだ。


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