スワッピング趣味の変態夫婦にNTR性癖を植えつけられる！純粋ウブな庶民妻を金持ち夫妻に貸出したことでインモラルな快楽に沼ってしまう 小湊よつ葉
豪邸を舞台に始まる交流は、やがて“信頼”と“好奇心”の境界を試す不思議な物語へと変わっていく。
純粋な妻・よつ葉の心に芽生えるのは、知らなかった自分の感情。
優しさ、嫉妬、そして覚醒──。
何気ない会話や視線の交錯が、静かに心理を揺らす構成は見応えがあり、
“夫婦とは何か”“愛のかたちとは何か”を問いかける。
上質なドラマとしても、人間の奥底に潜む欲と理性のせめぎ合いを丁寧に描いた作品。
【第1部】静かな幸福──新しい家に灯る影
引っ越してきたばかりの街は、まだどこか他人の匂いがしていた。
玄関の木の香りも、カーテン越しの風も、私たちのものになりきれない。
それでも、夫の結弦が微笑んで「ここからまた始めよう」と言ったその夜、
私は静かに湯を沸かしながら、新しい人生の輪郭をなぞっていた。
隣家の篤史さんと美砂さんは、そんな私たちを最初に迎えてくれた。
手土産のフルーツワインを抱えて現れたその二人は、
どこか映画のワンシーンのように洗練されていて、
言葉の端々に“余裕”のようなものが滲んでいた。
美砂さんの指先には、いつも香水より淡い金の光があった。
あの人の笑みは、見る者の心をすくい上げるように柔らかく、
同じ女性である私でさえ、少し息を呑むほどだった。
彼女たちのリビングに招かれた夜、
グラスの中で氷が溶ける音を聞きながら、私はふと思った。
──私の人生は、まだ何かを知らないままだ。
そんな予感が胸の奥で静かに疼いた。
【第2部】誘い──境界の曖昧さに触れる
ある晩、篤史さんが言った。
「夫婦って、不思議ですよね。信頼が深くなると、
時々、境界がなくなる瞬間がある。」
その言葉をどう受け止めていいのか分からなかった。
けれど、あの声には温度があった。
誰かの痛みを知っている人だけが持つ、沈黙のような温度。
その夜、帰り道の足取りが少し重く感じたのは、
きっとその言葉が胸の奥に落ちたからだ。
私たちの夫婦関係は穏やかだった。
けれど、穏やかであることは、時に“動かない”ということでもある。
結弦の笑顔の奥に、どこか自分を責める影が見え始めたのはいつからだろう。
そして私は、ただ寄り添うことしかできずにいた。
欲望も、痛みも、どこへ置けばいいのか分からなかった。
そんな時、美砂さんがぽつりと囁いた。
「よつ葉さん、自分を見失うほど誰かを想ったこと、ある？」
その言葉が、どこか遠くから私を呼んでいた。
心の奥の、誰にも触れられたくない場所を、そっと撫でるように。
【第3部】覚醒──揺れる心の真ん中で
ある雨の夜、
私はリビングの窓越しに、隣家の光をぼんやりと見つめていた。
カーテンの隙間から漏れる灯が、
まるで呼吸のように揺れている。
そのとき、胸の奥で何かがほどけた。
誰かに許されたいわけではない。
ただ、自分という輪郭を確かめたかった。
“欲”という言葉には、いつも罪の匂いがついてまわる。
けれど本当は、それは生きることの中にある最も静かな叫びなのかもしれない。
夫を裏切りたいわけじゃなかった。
ただ、私は“感じたい”と思った。
心が、触れ合う瞬間の熱でしか確かめられない何かを。
──あの夜の雨音は、まだ耳の奥に残っている。
朝が来て、隣家の庭に光が差し込む。
その瞬間、私は少しだけ笑った。
もう誰の妻としてでもなく、
“私”として息をしている気がした。
【あとがき】
この物語は、裏切りの話ではなく「境界の物語」です。
愛とは何か、信頼とはどこまでが共有で、どこからが孤独なのか。
よつ葉の揺れは、欲望ではなく“生の実感”を求める声。
それは、誰の心の中にもある、小さな炎なのかもしれません。
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