「見つめられ、ほどけてゆく——視線が私を女にした夜」**
会社の昼休み。食堂の白い照明が、私の足元をやわらかく照らしていた。
長テーブルの端。いつもの席に座ると、視線がふと交差した。
──彼らの目が、私の脚に触れたように感じた。
40歳になって間もない私は、年相応に落ち着いていると自分では思っていた。
高校生の息子はもう手がかからず、夫は仕事一筋で、家庭に温度はなくなっていた。
けれどある日、制服のタイトスカートの裾がわずかに上がっただけで、
その下にある“私”が男たちの目を引いたことに、心がざわついた。
それは羞恥というより、じんわりと熱を帯びるような——
見られることで、身体の奥がゆっくりと濡れていくような、甘い錯覚だった。
その中のひとり、佐々木くんは特に目立つ存在ではなかった。
けれど、どこか人懐こく、それでいて目の奥に静かな欲望を湛えた人。
仕事中にふと視線が合うと、彼は目を逸らさずに、まっすぐこちらを見た。
その視線に、私は少しずつ慣れていき、やがて求めるようになっていた。
ストッキングの中で、ふとももが湿るのを感じるたびに、
誰かの目に見つめられていたいと願ってしまう——そんな自分がいた。
金曜の夜。
夫は出張、息子は友達の家に泊まりに行く。
「飲みに行きませんか?」と誘ってきた佐々木くんの言葉に、私はためらいもなく頷いた。
待ち合わせ場所の居酒屋には、彼と、ふたりの同僚——中澤くんと田中くん。
皆、30代半ば。穏やかに笑う彼らの視線が、ひとつひとつ私の身体をなぞっていく。
グラスの縁に指を滑らせる仕草にさえ、熱の含みを感じた。
カラオケの個室。ソファに並んで座ると、
自然と彼の手が私の太腿に触れた。とてもゆっくりと、確かに。
私は声を出さずに息を吸い込む。
スカートの奥が、ぬるく濡れていくのを止められなかった。
唇を重ねたのは、彼の部屋に着いてすぐだった。
それは突然ではなく、ずっと前から予感していたことのようだった。
彼の指先がシャツのボタンを外すたび、胸元に夜の空気が触れて、
私は言葉にならない喘ぎを洩らした。
レースの下着の上から、乳房が押し上げられるたびに、
見られている…という実感が甘美に全身を支配していく。
「全部、見せて」
そう囁かれた瞬間、私は脚をゆっくりと開いた。
ランジェリーの奥、すでに濡れきっていた秘めた部分に、彼の視線が吸い寄せられてゆく。
彼の舌が、ゆっくりと私の奥へ滑り込んでくる。
花の蜜を探す蝶のように、やわらかく、執拗に。
まるで視線で味わうように、ひと舐めごとに目が合うたび、私は震えた。
唇が芯に触れるたび、震えるほどの甘い電流が背骨を駆け抜ける。
腰が勝手に浮き、彼の顔を求めてしまう。
「お願い……そのまま……」
恥ずかしいほどに声が洩れる。
その舌はまるで、私の奥を知り尽くした愛人のように、
一番感じる場所を、何度もなぞり、吸い上げてくる。
次に、私の手が彼のものに触れたとき——
その熱さと太さに、思わず喉が鳴った。
その大きさが、私の口元に触れた瞬間、
「すごい……」と小さく漏らしてしまった。
私は唇をそっと開き、ゆっくりと含んだ。
舌を絡め、唇を滑らせ、彼の吐息が荒くなるのを感じながら、
喉の奥まで、彼を招き入れる。まるで、自分が欲望そのものになったかのように。
見られている——
彼らの視線が、私の頬、首筋、唇の動きに注がれている。
その視線に包まれて、私はより深く、彼を咥え込んでいた。
ベッドに押し倒され、最初は正面から。
彼が私を見下ろす姿が、どこか神聖にさえ見えた。
大きく開かれた脚の間に、彼がゆっくりと沈んでくる。
奥まで満たされるその感覚に、私は震えながら、腕を伸ばした。
次は、身体を反転されて、後ろから。
背中にかかる熱い掌。
彼が深く打ち込むたびに、胸がソファに押しつけられ、声が勝手に漏れてしまう。
そして、騎乗位。
私は彼の上に跨がり、ゆっくりと自ら腰を落とした。
その巨きさを、奥で確かに感じながら、私は何度も上下に動き、
濡れた音と甘い吐息が部屋に響いていく。
彼の手が胸に伸び、もう片方の指が奥の壁をなぞった瞬間、
身体が跳ね、私は壊れるように絶頂へと導かれた。
朝、静まり返った部屋。
乱れたベッド、脱ぎ捨てられた下着、そして私の中に残る彼の温度。
見られることで始まった興奮が、
ここまで私を変えるとは、思っていなかった。
欲望は、抑えるものではなかったのかもしれない。
見られて、触れられて、ほどかれて——
私はようやく、本当の“女”として、再び呼吸を始めたのだ。


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