【第1部】雨上がりの街に潜む影──管理人の眼差しに絡め取られて
私は 高瀬 美沙(たかせ・みさ)、三十八歳。
夫と共に、夫の父を介護するために神奈川県横浜市の新築バリアフリーマンションへと引っ越してきた。
広い廊下、低く抑えられた段差、車椅子でも通れる大きなエレベーター──新しい暮らしを支えるために設計されたその空間は、たしかに便利で住み心地も悪くない。
だが、私の胸に灯ったのは安堵ではなく、拭いきれぬ不穏なざわめきだった。
原因は、このマンションの管理人──長谷川 修二(はせがわ・しゅうじ)。
五十五歳、日に焼けた顔には皺が刻まれ、口調は穏やかで愛想も悪くない。けれど、その瞳には濡れたような光があり、私を射抜くたびに全身の皮膚が粟立った。
「奥さん、横浜の暮らしには慣れましたか?」
「ええ……なんとか」
交わす言葉はありふれた日常の挨拶。けれど、その眼差しはまるで私の衣服の奥を剥ぎ取ろうとするようで、背筋をつたう冷気に思わず肩をすくめた。
夜、夫と義父が眠ったリビングの隣で、私は一人キッチンに立つ。冷蔵庫の灯りに照らされた自分の影が壁に伸び、その黒い輪郭に彼の眼差しを重ねてしまう。
──なぜだろう。
恐怖であるはずなのに、胸の奥はじわじわと熱を帯びていく。
「……私、どうして……」
声にならない独白は、台所の闇に溶ける。
羞恥と恐怖の狭間で、私の身体はすでに知らぬうちに濡れ始めていた。
【第2部】夜の共用廊下で絡みつく影──管理人の圧倒的な肉体に囚われて
その夜、横浜の街は小雨のあとを引きずり、廊下の窓ガラスに水滴が並んでいた。
義父の薬を取りに行こうと、私は夜遅くエントランスへ向かった。誰もいないはずの共用廊下に、低い声が響く。
「……美沙さん」
振り返ると、長谷川が立っていた。作業着の胸元は少し開き、厚い胸板から漂う汗の匂いが湿気と混じり合って押し寄せる。
その視線に捕らえられた瞬間、私は足を止められた獲物のように身動きできなくなった。
「遅い時間に……危ないですよ」
そう言いながら近づく彼の手が、私の肩を掴む。ざらりとした指先に背筋が震え、声を発する前に壁際へ追い込まれた。
「やめて……誰かに見られたら……」
震える囁きは、空しく闇に吸い込まれる。
長谷川の体温が覆いかぶさり、息遣いが耳を焦がす。唇が触れる直前、私はわずかに顔を背けた──だが次の瞬間、強引に顎を掴まれ、熱が押し込まれてきた。
湿った舌が絡み、逃げ場のない口腔を蹂躙する。苦しさに涙が滲むのに、喉奥がじわじわと疼いていくのを感じてしまう。
彼の下腹部が押し当てられた瞬間、私は息を呑んだ。
硬く猛る塊が布越しに脈打ち、まるで存在そのものがひとつの生き物のように暴れていた。
──大きい。
比べることなど愚かだが、夫のものとは桁が違う圧力。
押し付けられるだけで腰が引け、脚が震え出す。
「感じてるんだろう……? 奥さん」
耳元で囁く低い声。否定したかった。だが、腿の奥は熱に濡れ、理性を裏切るように下腹が痺れていく。
「ちがう……私は……」
声にならない声の隙間から、かすかな喘ぎが零れた。
長谷川の手がブラウスの隙間に滑り込み、乳房を包み込む。厚い掌の温もりが乳首を捕らえた瞬間、全身から力が抜けてしまった。
「……あぁっ……やめて……」
拒絶の言葉と同時に、背中は壁に沈み込み、腰が無意識に前へ突き出していた。
圧倒的な質量と熱を誇示するその存在感。
それは恐怖であると同時に、抗えない悦びの種子となり、私の奥を濡らし始めていた。
【第3部】絶望と快楽の交錯──抗えぬ圧力に溶けてゆく人妻の夜
廊下の蛍光灯が一瞬、ちらついた。
その淡い光の下、私は長谷川の影にすっかり飲み込まれていた。
「もう……逃げられないだろう、美沙さん」
背後の壁に押し付けられた身体は硬直しながらも、内側では波打つ熱が暴れていた。
彼の下腹部──衣服越しでも形を隠しきれないほどの巨大な脈動が、私の下腹を圧している。まるで生き物そのものが押し寄せるようで、逃げることも忘れさせる圧力だった。
「だめ……夫に……義父に……」
口にした言葉は、抑えきれない喘ぎ声に塗り替えられる。
長谷川の指が下着の奥に滑り込み、濡れた証をあっけなく暴き出す。
「ほら……奥まで潤ってる。拒んでるようで、身体は正直だ」
羞恥に震えながらも、否定できなかった。
腿の奥は熱に溶け、既に彼を受け入れるために開き始めていた。
──そして。
一息に押し込まれた瞬間、私の口から悲鳴のような声が漏れた。
「……あぁぁっ……!」
圧倒的な太さと長さ。
狭い私の奥をこじ開け、深部を突き抜けるその衝撃は、痛みと快楽の境を壊し、意識を白く染め上げる。
「きついな……全部入るまでに時間がかかりそうだ」
低く唸るような声と共に、彼の腰が押し寄せる。
「……んっ……もう……無理……」
必死に訴える声は、次の波に呑み込まれる。
奥底に到達するたび、熱い衝撃が火花のように散り、背筋が反り返る。
「やめて……あぁ……そこは……っ」
自分でも知らなかった敏感な部分を容赦なく突き立てられ、声は甘い喘ぎへと変わっていく。
やがて、全身を打ち破るような律動が始まった。
肉と肉がぶつかる湿った音、喉奥から零れる声、そして耳元に落ちる彼の荒い息遣い──。
そのすべてがひとつの旋律となり、私を絶頂へ導いていく。
「イ……くっ……だめ……!」
腰が勝手に迎え入れ、内側がぎゅっと締め付ける。
その瞬間、熱い奔流が奥底に注ぎ込まれ、喉から悲鳴に似た快感が迸った。
「……あああっ……!」
時間が止まったかのような白い閃光。
羞恥と背徳のすべてを抱えたまま、私は震え、声を押し殺しきれずに果てた。
そして、余韻に包まれる私の唇に再び彼の熱が押し付けられる。
喉を満たす濃厚な味わいに、涙が滲む。
──耐えなければ。夫と義父のために。
そう心で叫びながらも、身体はもう抗えぬ悦びを知ってしまっていた。
まとめ──背徳の扉を開いてしまった人妻の余韻
横浜での新しい暮らしは、介護を支えるための安らぎの場であるはずだった。
けれど、そこで待っていたのは、管理人という男の執拗で圧倒的な肉体に絡め取られる背徳の夜。
高瀬美沙は、夫と義父のために声を押し殺し、耐えようとした。
だが、拒絶の奥で芽吹いた熱は、やがて抗えぬ快楽に変わり、彼女の全身を震わせた。
羞恥と罪悪感に泣き濡れながらも、そのたびに身体は覚えてしまう──恐怖と背徳の狭間で芽生える、決して望まなかった悦びを。
人はときに、逃れられぬ状況にこそ、新たな扉を開いてしまうのかもしれない。
そして一度踏み込んだその深淵は、もう二度と閉じることはないのだろう。



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