【第1部】揺らぐ絆の始まり──不安と期待が同時に疼く瞬間
私の名前は美沙(みさ)、三十六歳。職場では広告代理店の営業をしている、ごく普通の女性だと周りには映っていると思う。
けれど今夜、私は大阪のとあるマンションの一室に足を踏み入れ、普段の自分からは遠く離れた「秘密の自分」を解き放とうとしていた。
その部屋は、誰かのリビングを改造したような温かさと、ホテルラウンジのような艶やかさが混ざり合った空間。照明は柔らかく、壁にはアートポスターがいくつも飾られ、ワインの赤がテーブルの上で鈍く揺れていた。
私は隣にいる彼女──遥(はるか)、三十四歳の恋人──の手を握りしめながらも、心臓は暴れるように鳴っていた。
ここは「レズカップル交姦スワップパーティ」。
女同士で愛し合う私たちが、互いの絆をわざと揺さぶり、より深い確かさを見出そうとするための場。
「ねぇ、美沙…手、震えてる」
「……緊張してるの。けど、それ以上に…」
吐き出そうとした言葉は、喉の奥で熱く絡まり、声にならなかった。
「失うかもしれない」という不安と、「もっと深く結ばれるかもしれない」という期待が、胸の内で火花を散らす。
他のカップルが視線を絡め合い、指先をそっと触れ合わせているのが見える。
吐息がこぼれるたび、空気が湿り、香水と汗とワインの甘苦い匂いが混ざり合っていく。
その匂いだけで、私の太腿の内側は、かすかに熱を帯びはじめていた。
遥の指が私の掌をきゅっと握り返す。
その小さな力に、私は一瞬、すべてを委ねたくなる。
でも同時に、彼女の吐息が他の誰かに奪われる未来を想像してしまい、胸の奥で嫉妬の鋭い棘が疼いた。
「美沙、今日は…確かめようね」
遥がそう囁いた瞬間、背筋を電流のような快感が走る。
その言葉は、私にとって刃物のようでもあり、蜜のようでもあった。
私たちは互いに深く結ばれるために、あえて他者の腕に揺らぐ。
その矛盾に、身体が勝手に震え、息が荒くなるのを抑えられなかった。
【第1部】揺らぐ絆の始まり──不安と期待が同時に疼く瞬間(続き)
部屋の奥から、軽やかな笑い声とグラスの触れ合う音が響いていた。
他のカップルが互いの頬を撫で合い、唇を重ね、まるで「試し合う」ように身体を寄せているのが視界の端に映る。
その光景は美しいはずなのに、私の胸の奥では不安と嫉妬が鋭くきしんだ。
遥の横顔を盗み見る。
彼女の瞳は、その光景をほんの少し憧れのように追っている。
その瞬間、喉が焼けるように乾き、太腿の内側はじっとりと湿り始めていた。
「遥…見ないで」
「ふふ…見ちゃダメなの?」
彼女の声は、挑発と愛情が入り混じった甘さを帯びていた。
その声を聞くだけで、私の心臓は痛みと快楽の両方で締めつけられる。
誰かに彼女を奪われるかもしれない恐怖。
それなのに、彼女が他の女に抱かれる姿を想像しただけで、身体が疼き始める矛盾。
視線の隙間から、別の女性が遥のほうに近づくのが見えた。
ワイン色のドレスを纏い、深い谷間をわざと見せつけるように歩く彼女。
一歩ごとに、私の鼓動は早鐘のように乱れ、吐息が胸の奥で熱を持って溢れていく。
「失いたくない…」
心の奥でそう叫びながらも、下腹部では別の声が囁く。
──「見たい。確かめたい」
その相反する感情は、二重螺旋のように絡み合い、私の奥を締めつけてほどいていく。
ワインの香り、重なる吐息、擦れ合う衣擦れの音。
五感すべてが濡れの予兆へと導かれていくのを、私はどうすることもできなかった。
遥が私の手を解き、グラスを受け取る仕草をした瞬間。
その白い指が他の誰かの手と一瞬触れ合い、ふっと小さな笑みが浮かんだ。
──胸の奥が焼ける。
でも同時に、股間の奥からじわじわとした熱が滲み出す。
「美沙…そんな顔してる。嫉妬してるの?」
「……っ、わかるでしょ」
囁く声が掠れ、呼吸は乱れ始める。
嫉妬と欲望が重なり、濡れの予兆はもう、私の身体を完全に支配していた。
【第2部】嫉妬と欲望の二重螺旋──彼女の吐息に濡れていく私
遥の指先に触れたのは、先ほどから視線を投げかけていた赤いドレスの女性だった。
その女は、挑むような微笑みを浮かべながら、遥のグラスをそっと自分の唇へ運び、残りの赤ワインを一口だけ含んだ。
グラスの縁に残った薄紅が、まるで遥の唇を侵食したかのように見え、私の胸は思わず締めつけられる。
「…っ」
「美沙、そんなに睨まないで」
遥がこちらを見て小さく笑った。
その笑みは、安心させようとしているのか、それともわざと嫉妬を煽っているのか。
どちらにせよ、その瞬間に私の体温は急激に上昇し、下腹部がじくじくと疼き始める。
赤いドレスの女は、遥の髪をそっと耳にかけ、そのまま頬に指を滑らせた。
遥の喉から、抑えきれない吐息が漏れる。
その音は、まるで私の秘部を直撃するかのように甘く、熱い。
──あぁ、やめて。
そう叫びたいのに、声にならない。
嫉妬に焼かれながらも、その吐息に濡れていく自分がいる。
その矛盾が、私をますます深みに沈めていく。
「…ん…」
遥の唇から漏れた微かな声。
その声に呼応するように、私の太腿の内側はすでに濡れ、パンティ越しに熱が染み出していた。
赤いドレスの女が、遥の首筋に唇を落とす。
舌先が肌を掠める瞬間、遥の身体が小さく震えた。
その震えが私の目に焼き付いた途端、胸の奥で嫉妬が鋭く疼き、同時に子宮の奥から甘い痙攣が走った。
私は息を荒げながら、堪らず囁く。
「……遥、もっと…感じてる顔を見せて」
その言葉は命令でもあり、懇願でもあった。
嫉妬と欲望が混ざり合い、心の奥に潜んでいた支配欲までもが顔を覗かせる。
遥の瞳が潤み、こちらに向けられる。
赤いドレスの女に抱かれながらも、遥は視線だけを私に注いでいる。
その事実が、嫉妬を凌駕するほどの快楽となり、私の奥をさらに濡らしていった。
喘ぎ声が重なり、部屋の空気は熱を増していく。
遥の声、他の女の吐息、ワインの香り、衣擦れの音。
そのすべてが二重螺旋のように絡み合い、私の感覚をほどき、同時に締め上げていく。
私はすでに、嫉妬と欲望の境界を見失っていた。
ただ一つわかるのは、濡れの予兆がもう限界を超え、次の瞬間には全てが解放されてしまうということだけだった。
【第3部】解き放つ愛──絶頂と確認の余韻
赤いドレスの女が遥の胸元をなぞるたびに、彼女の喉から甘い声がこぼれ落ちる。
「……あぁ、んっ……」
その声を聞いているだけで、私の奥は痙攣を繰り返し、脚の内側はとめどなく濡れていく。
嫉妬で胸を裂かれながら、欲望で体を支配される。
矛盾の中で、私は自分が何者なのかさえ忘れていった。
遥の瞳が、突き刺すように私を捉える。
他の女に抱かれ、背を反らせ、汗に濡れた頬を紅潮させながら、それでも視線だけは私に注がれていた。
その一瞬で、私は確信した。
──彼女は誰にも奪われない。
むしろ、解き放つことで、より強く私のものになる。
「……美沙、見てて……」
遥が泣き笑いのような表情でそう囁いた瞬間、私の内側が弾けた。
彼女の喘ぎ声と私の鼓動が重なり、快感の奔流が同時に押し寄せる。
赤いドレスの女が遥を揺さぶるたび、私は見ているだけで絶頂の淵に追い込まれる。
胸の奥で嫉妬が燃え上がり、その炎が欲望へと変わり、全身を焼き尽くす。
「……あぁっ、もう……だめっ……!」
遥の声が裏返り、身体が大きく震えた。
その瞬間、私の奥も同時に痙攣し、全身を突き抜けるような絶頂が襲う。
シーツを握りしめる指先が震え、吐息は声にならず、ただ波のように身体を揺らした。
彼女は他者に抱かれながら、私を見つめ、私の名を唇に乗せる。
その光景は、嫉妬を凌駕するほどの官能であり、愛の証明だった。
絶頂の余韻に包まれながら、私は静かに気づく。
これは奪い合いではなく、むしろ「確認」なのだと。
愛する人を失わないために、私は彼女を解き放った。
その背中を見届けながら、私は自分自身の愛をもまた確かめていた。
まとめ──嫉妬すら愛に変わる、交わりの証明
この夜、私は知った。
交姦の場は、肉体を貪る遊戯ではなく、むしろ愛の強度を測る儀式であることを。
嫉妬に焼かれながらも、その痛みの奥に快楽を見出し、欲望に沈みながらも、その先に確かな愛を確認する。
それは矛盾に見えて、実は最も純粋な形での「愛の確認」だった。
遥を解き放ちながら、私はより深く彼女を抱きしめることができた。
嫉妬すら愛に変わる──その事実こそ、私たちが交わりの中で掴み取った、最も官能的で最も確かな答えだった。



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