「あなた、ごめんなさい…」絶倫男の種付け中出し濃厚SEXで清楚人妻が乱れ堕ちるまで 橘メアリー
夫の願いに応えようとする彼女の純粋な祈りが、思いがけない他者との出会いによって崩れ、再構築されていく。
愛とは何か、身体とは何を記憶するのか――メアリーの視線を通して描かれるのは、女性が「母」「妻」「ひとりの人間」として生きようとする姿である。
静かな絶望と、そこに灯る微かな光。そのコントラストが、観る者の心を深く揺さぶる。
【第1部】午後の光が指す部屋──胸の奥でほどけていくもの
午後の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋の奥で揺れていた。
洗い立てのシャツの白が、風に膨らんで、少しずつ影を伸ばしていく。
私はテーブルに両肘をつきながら、グラスの水滴がゆっくりと滑り落ちるのを見ていた。
あの音を聞いているだけで、どうしてこんなにも胸が締めつけられるのだろう。
夫は今朝も早く出かけた。
不妊治療の話をした日の夜、彼の背中はどこか遠くを見つめているようだった。
あの距離を、私はどうにも埋められない。
カーテンを揺らす風が頬に触れるたび、
触れられたいという感覚が、身体のどこかで蠢く。
庭の向こうで、シャッターの金属音が鳴った。
借りているガレージの前に、若い男が立っていた。
陽を受けた腕の筋肉が光り、額を伝う汗が顎でひと粒、落ちた。
彼は私に気づき、軽く会釈した。
その瞬間、胸の奥がきゅっと鳴った。
――あれほど何も感じなかったはずなのに。
彼が振り返るたび、白いTシャツが背に張り付き、
布越しに形を変える肩の動きに、
目を逸らすことができなかった。
息を吸うと、洗剤の匂いと、熱を含んだ金属の匂いが混じりあう。
その混合された香りが、私の体内の奥深くにまで染みこんでくる気がした。
私はただ、縁側に立ち尽くしていた。
ほんの数メートルの距離なのに、
その間に、何か目に見えないものが満ちていくのが分かる。
「暑いですね」
声がした。
それだけの言葉なのに、私の中で何かがひび割れた。
唇が、乾いている。
息をするたびに、喉の奥に熱が溜まっていく。
目の前の青年の姿が、まるで蜃気楼のように揺れて、
現実と夢の境目がぼやけていった。
心のどこかで、誰にも知られてはいけないと思いながら、
それでも私は、その熱から目を離せなかった。
【第2部】夜の湿度が心を侵す──静かな飢えの呼吸
夜の帳が降りた。
窓の外で、遠くの工場の灯が瞬いている。
夫からのメッセージはまだ届かない。
リビングの時計が二十二時を指したとき、
私はゆっくりと冷蔵庫から水を取り出し、
グラスに注いだ音に、奇妙な安堵を覚えた。
その音が、どこかで聞いた呼吸のリズムに似ていたからだ。
昼間、あの青年が立っていた場所を思い出す。
金属の匂い。
陽に焼けた腕。
笑ったときに見えた喉仏。
その一つひとつが、私の記憶の中で熱を帯び、
輪郭を持たないまま、身体の内側に落ちていく。
私はソファに身を預けた。
窓を開けると、夜風が肌を撫でた。
その風は生ぬるく、まるで誰かの吐息のように頬に触れた。
瞼を閉じると、音がすべて遠のいていく。
時計の針の音だけが、まるで心臓の拍動のように耳の奥に響いた。
「……どうして、あんなに見つめてしまったんだろう」
呟いた自分の声が、暗闇に吸い込まれていく。
理性の皮が一枚ずつ剝がれていくような感覚。
肌の表面に意識が浮き上がり、
何も触れていないのに、誰かに見つめられているような錯覚が広がった。
胸の奥が、波打つ。
指先に微かな震え。
それを抑えようとするたび、
息が浅くなる。
外で風鈴が鳴った。
ひとつの音が、夜の静寂を割る。
その一瞬、私は自分の身体が誰かに見られているような気がして、
思わず両腕で胸を抱いた。
触れているのは自分なのに、
そこに別のぬくもりを感じる。
――孤独の中で、欲望は形を持ち始める。
私はその夜、灯りを消しても眠ることができなかった。
風がカーテンを揺らすたび、
心の奥で何かが「まだ終わっていない」と囁く。
【第3部】沈黙のあとに残るもの──ひとつの終わりと始まり
夜が深まるにつれ、空気の密度が変わっていった。
月明かりが床をすべり、私の足もとをゆっくりと撫でていく。
体温が、その光に吸い取られていくようだった。
窓を開けたまま、私はソファの背にもたれかかった。
庭の向こうに、また灯りが見えた。
ガレージの中で、青年が何かを整えている。
金属を拭う音、布が擦れる音。
そのひとつひとつが、心の奥の柔らかい場所に届く。
私たちは、言葉を交わさなかった。
けれど、その沈黙の中には
何千もの会話が流れていた気がする。
見つめ合うことすら、危うい。
視線を交わした瞬間、
もう戻れなくなることを、
互いに理解していたのだと思う。
彼がふとこちらに顔を向けた。
月の光を背に受け、
その輪郭が淡く浮かび上がる。
風が頬をなでたとき、
私は息を吸うことすら忘れた。
身体が、声にならない声を上げていた。
誰かを求めるのではなく、
自分の奥深くに眠っていた「生きたい」という原始的な渇きが、
ようやく目を覚ました。
指先が震えた。
その震えが、胸を伝い、喉へと登っていく。
私は目を閉じた。
闇の中で、
あの昼の光と、彼の姿と、夫の遠い背中が、
ひとつに溶けていった。
――私の中で、何かが確かに変わった。
翌朝、蝉の声で目を覚ますと、
空気はすっかり乾いていた。
いつもよりも軽く感じる身体に、
昨夜の熱がまだ微かに残っている。
キッチンで水を飲みながら、
私はカーテンの向こうを見た。
ガレージは静かで、誰の気配もなかった。
けれどその静けさの中に、
確かに彼の存在が残っている気がした。
胸の奥に、
痛みとも安堵ともつかない温度が宿っていた。
それは、罪ではなく、再生のはじまりのように思えた。
【まとめ】触れずに満たされる──官能の本質は“生きている”という感覚
篠原真紀が辿り着いたのは、快楽の果てではなかった。
あの夜、彼女の中で起きたのは“他者への欲望”ではなく、
“自分という存在の再起動”だった。
人は長い結婚生活の中で、
知らぬ間に「安心」と引き換えに「熱」を手放していく。
それは裏切りでも怠惰でもなく、
生きるための自然な鈍化なのだろう。
けれど――ふとした瞬間に、その静けさの中で
心がもう一度、疼く。
それは、身体がまだこの世界の中で
“感じられる”ことを思い出す証拠だ。
真紀は誰のものにもならなかった。
けれど、確かに誰かに見つめられたことで、
長い眠りから目を覚ました。
官能とは、肌を重ねることではない。
言葉にならない渇きを、
誰かのまなざしによって照らされる瞬間――
そこに、人が生きている証が宿る。
朝の光が部屋を満たしたとき、
真紀は静かに微笑んだ。
何も終わってはいない。
むしろ、ここから始まる。
それは、
誰にも見せられない形のまま、
彼女の奥底で、ゆっくりと呼吸を続けている。




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