夫の実家に暮らすようになって、もう三年になる。
義母が亡くなり、しばらく空き家だった家に、私たち家族は戻ってきた。
夫と私、そして中学生と高校生の娘たち。
それに、義父。
六十代になっても腰を曲げず、日に焼けた顔で野菜を育て続ける人だ。
ここでは、季節が時間を決める。
田んぼに水が入る音が春を知らせ、カエルの声が夜を運び、
夏には土の匂いが朝から熱を持ち始める。
夫は毎日、朝早く出て夜遅く帰る。
子どもたちも学校に行けば、午後までは帰ってこない。
私と義父。
家に残されるのは、そのふたりだけだった。
けれど、不思議と気まずさはなかった。
義父は言葉の少ない人で、黙って縁側に座っているだけでも、居心地がよかった。
ある日から、私は昼になると、義父の畑まで弁当とお茶を届けるようになった。
畑は家から少し離れていて、小さな坂を下り、裏山のふもとに広がっている。
きゅうり、なす、とうもろこし、そして甘いトマト。
「このあたりじゃ、一番うまい野菜を作る」と言われていた義父の畑には、
汗と誠実と土の匂いが、ぎゅっと詰まっていた。
畑の隅には、ぽつんと休憩用の小屋がある。
六畳ほどの広さで、畳は日に焼け、壁には荷縄と麦わら帽子。
小さなトイレと、外に古い蛇口。
ひとりで過ごすには十分で、ふたりで過ごすには、少しだけ近すぎる。
その“少しだけ”が、きっとすべてだったのだと思う。
最初はただ、昼をともにするだけだった。
私はお弁当を広げ、義父は「いただきます」とだけ言って、もくもくと食べた。
彼の食べ方は静かで、無駄がなくて、どこか色っぽかった。
畳に響く箸の音さえ、私には心地よかった。
昼食が終わると、彼はうつぶせになって横になる。
私はその横で、洗った食器を拭きながら、ぽつぽつと話をした。
夫のこと。
子どもたちの進路のこと。
そして、自分のこと。
「夜、ひとりで寝るの、寂しくないですか?」
ある日そう尋ねたら、彼は静かに笑った。
「……そらな。けど、もう慣れた」
笑ったときにできる目尻のしわが、私は昔から好きだった。
それからだった。
彼の手が、ぽんと私の膝に乗るようになったのは。
最初は驚いたけれど、拒むほどでもない、
むしろどこか懐かしさのようなものがあって、私はその手を払いのけなかった。
次第に、肩に触れ、背中に滑り、腰のくぼみに指が沈む。
私の身体は、毎日少しずつ、彼の手に慣らされていった。
その日、小屋には夏の熱気がこもっていた。
外では蝉がけたたましく鳴き、風が一瞬だけ窓をくぐった。
食べ終えた私に、義父がぽつりと言った。
「……マッサージ、してくれや」
声は低く、乾いていた。
けれど私の中の何かを、確かに震わせた。
喉がからからになりながら、私は頷いた。
正座をして、彼の前に身を移す。
日焼けした太ももが、目の前にある。
ズボンの中から引き出したそれは、熱を帯びて、脈打っていた。
私は、唇を近づけた。
舌の先で下からそっとなぞり、甘く噛むように口に含むと、
彼の息が、喉の奥で震えた。
手が私の髪をとき、頭を撫でる。
「うまいなぁ……」
くぐもった声に、私の脚がわずかに震える。
そのまま畳に押し倒され、腰に巻いた布がめくられる。
汗を吸った下着が、するりと剥がされる。
義父の指が、あの場所に触れたとき――
私はすでに、とろとろに濡れていた。
音を立てて入ってくる指に、身体が跳ねる。
それでも拒まない。
むしろ、もっと奥へ。もっと深く。
そう願っていた。
やがて彼が私に重なる。
太く硬いものが、熱を帯びて、私の中をゆっくり満たしていく。
「ん……っ、ああっ……」
声を殺しきれず、唇を噛む。
彼の腰の動きとともに、畳がぎしぎしと揺れ、
私の身体の奥から熱が込み上げてくる。
私が求めていたのは、
男としての夫ではなく、
女としての私を思い出させてくれる、
この義父の身体だったのだと、
そのときはじめて、認めてしまった。
絶頂の瞬間、視界が白く染まり、
息が止まり、脳がしびれる。
全身が波のように揺れて、私はすべてを許してしまった。
それから、私たちは何度も交わった。
昼になるたび、小屋が私たちの密室になった。
そして今では――
夜、家族がくつろぐリビングを横目に、
あぐらをかいた義父の前に正座することが、私の日常になっている。
テレビの音の向こうで、
私は静かに、義父のそれをしゃぶり、時にはそのまま、抱かれる。
罪と快楽の狭間で、
私は女として、何度も、果てた。
「マッサージしてくれや」
その声が聞こえた瞬間に、
私の身体は、もうすでに濡れている。
この感覚を手放すことなど、できそうにない。
私は今日も、
“あの小屋”の熱と、あの汗と、あの沈黙のなかで、
女として――果ててゆく。


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