【第1部】帳場に忍び寄る影──女将の身体に値札が貼られた夜
私の名は 篠宮 沙耶子、四十二歳。
東北の山峡、奥羽山脈のふもとにある古びた温泉地で、細々と旅館を切り盛りしている。雪深い土地柄、冬のあいだは客足が遠のき、帳場に座る時間がやけに長く感じられる。
夫と二人で営んできた宿は、かつては都会からの旅人や湯治客でにぎわった。欅の帳場や檜の湯殿は、今なお手をかければ艶を返す。だが、空いた客室の多さは私の胸に冷たい穴を開けていた。
──このまま沈んでしまうのではないか。宿も、そして私自身も。
そんな夜だった。
帳場に灯る行灯の淡い光の下、閉じた障子の向こうから重い足音が響いた。湿った夜気と共に現れたのは、見慣れぬ男たち。先頭に立つ一人は滝沢と名乗り、その背後には無言の影が二つ控えている。
滝沢の眼差しは、帳場の木目ではなく、女将として座る私の身体を射抜いていた。
「……いい女将じゃないか」
その低く擦れた声に、胸の奥で何かが震える。長年「美しい」と言われ、誉め言葉のように受け取ってきた容姿。それが今、この場では冷たい値札のように突きつけられた。
逃げたいのに、畳に足が縫いつけられたように動かない。
「夫を守らねば」「旅館を守らねば」──そう思うほどに、背筋は硬直し、声は喉で乾いてほどけていく。
なのに、不意に背筋を走った震えが下腹の奥で熱へと変わり、羞恥と恐怖と、理解できぬ疼きが絡み合ってゆく。
滝沢が一歩近づくたび、革靴が畳を沈ませる音がやけに大きく響いた。
「震えてるな……怖いのか? それとも」
耳もとに近づいた吐息は夜気より熱く、私の耳朶を濡らす。ぶるりと走った震えに、思わず太腿がわずかに寄り合った。
──違う。私は怖れているだけ。
そう言い聞かせながらも、ふとももの奥で芽吹く湿りを確かに感じてしまった。
【第2部】巨根に絡め取られる夜──羞恥と疼きの深淵
滝沢の視線が、帳場に縫いつけられた私の身体を舐め回す。
その眼差しに絡め取られるたび、背筋が硬直するのに、胸の奥からは熱がじわじわと噴き出してくる。
「いい声を出すじゃないか……まだ隠しているんだろう?」
囁きが耳に滴り落ちる。次の瞬間、帯が解かれ、着物の合わせ目が音を立てて崩れ落ちた。
冷えた夜気が素肌を撫でたはずなのに、そこは灼けるように熱く、乳房は自分でも驚くほど張りつめていた。
指先に弄ばれる乳首が、硬く尖っていく。羞恥に顔が火照るほど、甘い疼きは下腹へと沈み込んでいく。
「や……やめ……っ」
否定の言葉は細い吐息に変わり、抗いの形をとりながらも、甘やかな湿りを含んでいた。
その時、滝沢の着流しの下から膨れ上がる影が、私の視界に落ちた。
──息を呑む。
そこには、畏怖すら抱かせるほどの逞しさが、衣の下で鼓動を刻んでいた。
巨根。
それ以外の言葉を探せなかった。
あまりに太く、長く、存在そのものが圧力を持って迫ってくる。畳に落ちる影だけで、私の心臓は早鐘を打ち、下腹が勝手にきしむ。
「見えるだろう……これを、おまえの奥で受けとめられるのか」
挑発するような声に、足が震え、ふとももが無意識にすり寄った。羞恥で頭を振っても、視線は逸らせず、喉は乾いて声にならない。
指が秘部に触れる。すでに濡れに濡れた襞は、男の指先を吸い込むように迎え入れた。
「ほら……おまえの身体は正直だ」
低い声と共に、巨根の存在感がさらに近づく。
──怖い。
けれど、奥底から湧き上がるのは恐怖だけではなかった。
羞恥に震えながらも、確かに私は、その途方もない太さと長さに、奥を満たされる未来を想像してしまった。
「あぁ……っ、だめ……っ」
掠れた声は拒絶のはずなのに、吐息に混ざる甘さが自らの裏切りを暴いていた。
【第3部】巨根を受け入れた夜──絶頂と崩れ落ちる矜持
帯がすべて解かれ、私の身体は夜の帳場の行灯に照らされて晒されていた。
羞恥に涙がにじむのに、乳房は硬く張り、秘部は濡れに濡れて滴り落ちている。
──その時。
滝沢の腰布が乱され、彼のそれが露わになった。
「……っ」
思わず息が止まる。
視界に飛び込んできたのは、信じられないほどの逞しさ。
脈打つように蠢く巨根は、私の手首ほどの太さを持ち、先端にはすでに熱を滴らせていた。
「これを、受け入れられるのか……女将」
耳もとに低く落とされた声と同時に、その影が私の太腿を押し分けてくる。
布越しに想像していた圧力が、現実となって肌に触れた瞬間、背中が畳を弾くように反り返った。
「いや……っ、そんな……入らない……っ」
震える声で否定する。だが、濡れに濡れた奥はすでに、巨根を待ちわびるように疼いていた。
ぐっ、と腰を押し込まれる。
入り口に触れただけで、灼けるような熱が全身に走り、喉から掠れた声が洩れた。
「ひぁっ……あっ……!」
先端が押し割っていく。
狭く柔らかな襞を無理やり広げながら、太く硬い塊が奥へと侵入してくる。
「だめ……っ、大きすぎる……っ、あぁ……っ」
涙混じりの声は必死の拒絶のはずだった。
だが、その声の奥に震える悦びを、自分自身が一番知っていた。
「ほら……もう半分は飲み込んでる」
低い囁きに、腰が勝手に揺れる。
痛みに似た充満感と、快楽に似た熱が混ざり合い、全身の血が下腹へ流れ込む。
ずぶり、と一気に奥まで貫かれた瞬間──
「──あぁぁぁああああっ!」
悲鳴とも喘ぎともつかぬ声が帳場を揺らし、背筋が仰け反って崩れ落ちた。
その巨根は、奥の奥まで容赦なく突き立ち、私の存在を女将ではなく「女」そのものへと変えていく。
羞恥に涙を零しながらも、腰は抗えずに震え、秘部からは蜜がとめどなく溢れた。
「……っ、や……め……て……もっと……っ」
否定と欲望が入り混じる言葉が勝手に口を突き、畳に爪を立てる。
そして、何度も奥を突き上げられるうちに、胸の奥で熱が爆ぜ、全身が痙攣する。
「だめ……あぁっ……来る……来ちゃう……っ!」
絶頂は濁流のように押し寄せ、身体を飲み込み、声を夜に散らした。
「──あぁぁああああああっ!」
巨根に貫かれたまま、私は女将としての矜持を完全に崩され、一人の女として快楽に溺れ落ちていった。
まとめ──女将が知った濡れの真実
東北の山峡にひっそりと佇む古びた旅館。
女将として守るべきものがあるはずだった私の夜は、滝沢の影と共に裂け、巨根によって塗り替えられてしまった。
恐怖で震えていたはずの身体は、羞恥に染まり、やがて抗えぬ悦びに溺れていった。
「なぜ濡れてしまうのか」──その問いは最後まで消えなかった。
だが確かに、私は濡れ、声を震わせ、奥底から絶頂を迎えてしまった。
女将としての矜持を脱ぎ捨てたその瞬間、私はただ一人の女として生きていた。
恐怖も羞恥も、すべては官能の炎に姿を変え、濡れの真実を刻み込んだ。
──帳場に灯った行灯の揺らめきと共に、あの夜の記憶は今も私の身体に残り続けている。



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