【第1部】千葉の午後に揺れる人妻・紗季27歳──乾いた日常と妹の恋人の訪問
私の名前は紗季（さき）。二十七歳。
千葉の海辺にほど近い住宅街に暮らしている。二階建ての家は新築からまだ五年、白い壁に青い屋根が映えるが、その中にある私はすでに艶やかさを持て余していた。
夫は東京の外資系企業に勤め、早朝に家を出ては夜更けに帰る。休日さえもスマートフォンと睨み合い、会話は仕事の断片だけ。いつからだろう、私の肩に触れる手がなくなったのは。
夜、ベッドに並んで横になっても、私の身体はただの家具の一部のように扱われ、熱を交わすことはなくなっていた。女としての時間はまだ流れているのに、欲望は行き場を失い、胸の奥で燻り続けている。
鏡の前で服を脱ぐと、腰のくびれや張りのある胸、引き締まった太腿がそこに映る。二十七歳という年齢は、女として最も輝きを放つ時期のはずだ。それを確かめるたびに、私はむしろ孤独を強めていく。
──触れられたい。見られたい。そんな願いが、日々の乾きの中でひそかに育っていた。
そんな午後だった。妹が「バイトに行く前に彼を連れてくるね」と告げて、軽い足取りで出て行った。
「彼をリビングで待たせておいてね。すぐ帰るから」と言い残し。
深く考えもせず頷いたけれど、その言葉が私の運命を揺らすとは想像もしなかった。
玄関のチャイムが鳴り、私は何気なくドアを開けた。
そこに立っていたのは、妹の彼氏──悠斗だった。
夏の陽射しを浴びた髪が光を散らし、額にはサッカーの練習帰りだろう汗の粒が残っていた。均整のとれた長身、鍛え上げられた脚。まるで雑誌のグラビアから抜け出したような若々しさに、思わず呼吸が止まる。
「こんにちは、お姉さん」
白い歯を覗かせて笑うその声が、胸の奥に火を点けた。
リビングに通すと、悠斗はソファに腰を下ろした。妹の彼氏であるはずのその青年の存在が、狭い部屋を異様に熱くする。私は冷たい麦茶を差し出しながら、自分でも気づかぬうちに胸元を指で整えていた。
──わざとではない。けれど、彼の目線が一瞬だけ私の胸に滑ったことを、女の直感は確かに捉えていた。
「サッカーの練習帰り？」
「はい。妹から聞いてます、ここで少し待たせてもらえって」
軽い会話。だが、言葉の裏側で私の意識は常に彼の身体に絡みついていた。
汗を吸ったTシャツの布地が張り付き、盛り上がる胸筋と腹筋の陰影を描く。その逞しさと若さが、私の渇いた身体を刺激してやまない。
──妹の彼氏に、こんなにも惹かれてはいけない。
理性はそう告げるのに、心臓は熱を帯びて速く打ち始める。
窓から差し込む陽射しがカーテン越しに揺れ、リビングを淡い金色に染めていた。私の太腿を照らす光に、彼の視線がふと絡み、空気が重たくなった気がした。
「お姉さんって……ほんと、綺麗ですね」
その一言で、堰はわずかに崩れた。
頬が熱くなり、笑ってごまかそうとしたが、喉が乾いて声が掠れた。
夫に久しく言われていなかった言葉。忘れかけていた女としての価値を、妹の彼氏に認められてしまった。
心臓が跳ね、背中を汗が伝う。──危うい午後の幕が、静かに開いたのだった。
【第2部】妹が不在のリビング──露出と視線が絡み合う背徳の予兆
妹が「いってきます」と玄関の扉を閉めた瞬間、家の中は静寂に沈んだ。
二階建ての家の一階、リビングには私と悠斗だけ。時計の針の音さえも妙に大きく聞こえる。
ソファに腰掛ける彼の隣で、私はグラスをテーブルに置いた。
ほんの数十センチの距離が、どうしてこんなにも危うく感じられるのだろう。若さの匂い──汗と洗い立てのTシャツに残る柔軟剤の香りが、甘く私の鼻腔をくすぐる。
「……お姉さんって、やっぱり綺麗ですね」
低く囁かれたその声に、心臓が跳ねた。
夫に言われなくなって久しい言葉。──いや、もう何年も聞いていなかった。
胸の奥が疼き、身体の芯まで熱が広がる。
「そんなこと……妹が聞いたら怒るわ」
唇が勝手にそう答えた。だが拒絶の響きはなく、むしろ誘うように震えていた。
私は立ち上がり、台所にグラスを運ぶふりをした。
後ろ姿を見せるのが怖いのに、同時に見られたい衝動に抗えなかった。
ショートパンツの裾から覗く太腿が照明に浮かび、腰をわずかに捻ると布地が肌に張り付く。
背後から、熱を帯びた視線が絡みついてくるのを感じる。
「……見ないで」
声に出すと同時に、なぜか全身に鳥肌が立ち、股間がきゅっと疼いた。
その言葉こそ、彼の視線をますます引き寄せる魔法であることを、女の直感が理解していた。
ソファに戻ると、悠斗の太腿の間に視線が吸い寄せられた。
布地越しに盛り上がった形が、若さと正直さを隠しきれず自己主張している。
──息が詰まる。
一瞬でも見てしまえば、もう理性は後戻りできない。
「悠斗くん……」
名前を呼ぶ声が、自分でも信じられないほど甘く、震えていた。
彼が少し身を乗り出し、私との距離を縮めた。
互いの吐息が混ざり合うほど近づくと、私の胸の奥から熱が溢れ出す。
理性は「妹の彼だから」と叫んでいるのに、身体はもっと近づいてほしいと願っていた。
ソファに沈む私の手を、彼がそっと掴んだ。
熱を帯びた掌が触れた瞬間、全身を稲妻のような快感が走り抜ける。
「やめなきゃ……だめ……」
そう呟きながらも、手を振り払う力はどこにも残っていなかった。
私の視線は、彼の布地の下に隠された熱の中心へと吸い込まれていく。
その脈動を感じ取った瞬間、身体の奥底が震え、濡れ始めていることを自覚してしまった。
静かなリビングで、時を刻む時計の音と私の荒い呼吸だけが響いていた。
──禁断の午後は、すでに引き返せないところまで進んでいた。
【第3部】ソファで絡み合う吐息──人妻と青年が抗えず重なった瞬間
リビングの時計の針がひとつ進む音が、異様に鮮やかに響いた。
──その瞬間、悠斗の指先が私の手を強く握り、熱の中心へと導いた。
布地越しに触れた若さの脈動は、思っていた以上に硬く、熱く、恐ろしいほど生々しかった。
「……だめ……妹に知られたら……」
声は震えていた。けれど、指は逃げずに彼をなぞってしまう。
まるで乾いた砂漠に水を欲するように、私の身体はその熱を求めていた。
「お姉さん……綺麗で、たまらない」
低く熱を帯びた声が耳に落ちる。
首筋に触れる吐息が甘く痺れを残し、思わず声が漏れた。
「ん……っ……だめ……」
その喘ぎは拒絶ではなく、もっと深く踏み込んでほしいという懇願のようだった。
ソファに押し倒されるように沈み込む。
背中に布地の感触が広がり、胸元を覆う薄いカットソーが彼の手で乱される。
露わになった肌に、若い唇が触れるたび、脳裏が白く弾ける。
「やっ……声、出ちゃう……」
必死に抑えても、喉の奥から震える声が零れてしまう。
彼の舌先が胸をなぞり、腰が勝手に跳ねる。
濡れ始めた下着が太腿にまとわりつき、自分の熱を隠しきれない。
「感じてる……？」
問いかけに、答えの代わりにあえぎが零れる。
「ん……あぁ……だめ……でも……」
やがて彼の腰が重なり、私の中に熱が押し寄せた瞬間、息が止まった。
若さと勢いに満ちた衝撃が、深く、深く私を突き抜けていく。
ソファが軋み、窓越しの陽射しが揺れる。
「お姉さん……気持ちいい……」
「んっ……だめ……やめ……あぁ……」
言葉と裏腹に、腰は彼に絡みつき、逃げ場を失った。
繰り返す衝撃のたびに意識が飛び、全身が痙攣するように震える。
波が押し寄せては引き、再び襲い掛かる。
そして、不意に訪れた絶頂。
声を押し殺そうとしても抑えきれず、短い悲鳴のような声がリビングに響いた。
全身が白く塗りつぶされ、力が抜け、彼の腕にしがみつきながら果てていった。
汗に濡れた身体を重ねたまま、しばらく動けなかった。
窓の外では蝉の声が響き、時間だけが無情に流れている。
──これは過ちか、それとも女としての目覚めか。
答えはまだ出ない。ただ、妹の彼に抱かれたあの熱は、今も身体の奥で脈打ち続けている。
禁断の体験が残した余韻──人妻の心に焼き付いた午後
千葉の静かな住宅街。
いつものリビングで、私は妹の恋人に抱かれてしまった。
理性は罪を告げても、身体は歓喜で震えていた。
露出から始まった視線の戯れは、やがて抗えない衝動となり、女としての私を取り戻すような絶頂へと導いた。
──あの午後の光景は、もう消えない。
ソファに残る感触と汗の匂いに触れるたび、私は人妻でありながら、まだ女であることを思い知らされるのだ。
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