夫の寝息が、静かにリズムを刻んでいる。
ソファに体を横たえ、うつ伏せ気味に顔を埋めるその姿は、まるで安心の象徴のようだった。
けれどその寝息は、今夜だけは私にとって“許し”ではなく、“背徳”への入り口となった。
白く煌めくリビングの照明をひとつ落とし、ランプだけを灯した。
ワイングラスを指で転がしながら、私はすぐ隣に座る青年――准一をちらりと盗み見た。
彼は夫の甥、21歳の大学生。
身長が高く、顎のラインのシャープな整い方は、どこかモデルのような印象さえあった。
小さい頃はよく家族で遊びに来ていたが、最近はめっきり会うことがなかった。
「ずいぶん変わったわね。…あんなに可愛かったのに」
「変わって見えます? おばさんも…相変わらず綺麗です」
その目が、私をまっすぐに見つめた。
その瞬間、喉の奥でワインがひどく熱くなった。
夫がうたた寝を始めたのは、ほんの10分ほど前。
食後に少し強めの酒を口にしたせいか、早々にまどろみ始めた彼は、まるで“何も見ていない”壁のように存在していた。
その無防備な寝息が、私たちに与えたのは、理性を越える空白だった。
「准一くん…」
私が低く名前を呼ぶと、彼の視線が膝の上の私の手に落ちた。
私はゆっくりと、自分の膝を重ねていた脚からほどき、わざとらしく組み直した。
スカートの奥、太腿の白さがちらりと灯りの中に浮かぶ。
その一瞬に、彼の喉が微かに鳴るのを私は聞き逃さなかった。
「…おばさん、そんな目で見られたら…」
「見るだけよ。本当に触れてないでしょう?」
彼の手が、テーブルの下でそっと私の膝に触れた。
冷たい指先だった。けれど、心の奥が熱を持ち始める。
「ねえ、起こさないでね…」
私は囁くように言いながら、自分の指先を彼の頬に触れさせた。
「大丈夫。もう…戻れないけど」
准一はそう言い、迷いなく私の太腿をなぞりながら、スカートの奥へと手を滑らせてきた。
その指先がショーツに触れた瞬間、私はぞくりと震えた。
柔らかな布地越しに感じる愛撫。
それは優しさではなく、若さと欲望の塊だった。
指がショーツの脇をずらし、直に私の熱へ触れる。
ぬるりと滑ったその瞬間、喉の奥から熱い息が漏れるのを抑えるのに、歯を食いしばった。
「すごい、もう…こんなに」
「し…声…」
「おばさん、こんなに濡らして…ダメじゃないですか」
その悪戯っぽい声すら、私の内側をくすぐった。
准一の指が、濡れた襞をなぞり、時にそっと探り込む。
その指が動くたび、身体の奥で火花が弾けるようだった。
私は思わずソファの背に身体を預け、片足をそっと彼の膝に触れさせながら囁いた。
「お願い…入れて」
目の前では夫が静かに寝息を立てている。
その背後で、私は夫の甥を欲していた。
准一はすぐに、ズボンのチャックを降ろした。
若々しい、それでいて堂々とした硬さが、空気を裂いてあらわれる。
私は手を伸ばし、その熱を確かめた。
「おばさん、今度は俺が我慢できないです」
「いいの。もう、何も聞かないで…」
彼は膝をついて私の身体に覆い被さると、そのままゆっくりと入ってきた。
広がっていく。
押し広げられ、濡れた熱がすべてを包み込む。
ソファの影。夫の腕のすぐそば。
その至近距離で、私たちは罪にまみれて繋がっていた。
「奥まで、来てる…」
「気持ちよすぎて、もう…止まんない…」
彼の腰が、深く、深く押し寄せてくるたび、ソファが微かに軋む。
その音を、夫の寝息がかき消していく。
私は彼の首に腕を絡め、耳元に吐息を吹きかけながら囁いた。
「ねえ、もっとして…壊れるくらい、して…」
彼はそれに応えるように、動きを速め、強め、深くなっていく。
音も、声も、許されない。
だからこそ、身体の感覚がすべてを上書きしていった。
奥が擦られるたびに、下腹の奥が震える。
快感が押し寄せ、私は唇を噛みながら、無音の絶頂へと駆け上がっていく。
「出そう…中に…」
「いい…私も…一緒に…」
波が押し寄せ、ふたり同時に沈み込む。
背中に汗がにじみ、指先が震え、ふたりの心拍が乱れる。
その瞬間、夫が寝返りを打った。
ふたり同時に息を呑み、凍りつく。
けれど、夫はまたすぐに深い寝息へと戻っていった。
私は准一の胸に額を預け、そっと目を閉じた。
ああ、こんなにも感じてしまうなんて、
夫の寝息のすぐそばで、私は“女”として蘇ってしまった。


コメント