【第1部】家事に追われる人妻の孤独──マッサージ師を呼んだ夜に始まった秘密の序章
私は34歳、専業主婦・川島玲奈。結婚して十年、兵庫の静かな住宅街に暮らしている。夫は都心の大手企業に勤めており、平日はほとんど深夜に帰宅、休日も接待やゴルフで家にいることは滅多にない。
息子は小学生になり、日中の私は家事と孤独に包まれている。
毎朝、洗濯機の回転音とともに始まる一日。掃除、夕飯の準備、そしてまた洗濯。窓の外に広がる青空は、私を祝福するようでいて、どこか冷たく突き放す。
「これが“幸せな専業主婦”なのだろうか」
ふと、そんな疑問が胸をよぎる。
最近は肩こりが酷く、腰の奥も重たい。体だけでなく、心まで凝り固まっているようだった。そんな時、夫が不意に言った。
「玲奈、最近疲れてるだろう? 派遣のマッサージ師でも呼んでみたらどうだ?」
──それは、気遣いに見せかけた彼の安堵でもあった。
「妻の心身を整えておけば、家庭は安定する」そんな都合の良い理屈が透けて見える。だが私は、それ以上に「誰かに触れられたい」という密かな欲望を、自分の中に見つけてしまった。
夜七時。
チャイムが鳴り、ドアを開けると、黒いシャツに身を包んだ長身の男が立っていた。名を高村翔、36歳と名乗る。深みのある低い声が、玄関先で湿った夜気に溶け込んだ。
「本日はよろしくお願いします。体の奥に溜まった疲れを、丁寧に流していきますので」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥でざわめきが走る。
私はなぜか、エステでも整体でもなく、“この男に触れられること”を想像してしまったのだ。
リビングのソファに横たわり、ワンピースの裾を整える。翔の手が温かなオイルを垂らした瞬間、肌が微かに震えた。
オレンジとローズマリーが混じる香り。背筋をなぞる指先の熱。
そのすべてが、私を「主婦」から「女」へと呼び戻していく。
「少し強めにしますね。痛かったら仰ってください」
「……んっ、だいじょうぶです」
抑えきれず、甘い吐息が漏れる。
心の奥で警鐘が鳴るのに、身体は彼の掌を求めてしまう。
──私は、ただのマッサージを受けているはずだった。
だがその夜、始まったのは「触れられることへの飢え」を満たす、危うい序章だったのだ。
【第2部】触れられぬはずの場所──オイルに濡れる秘められた疼きと囁き
ソファに横たわる私の背に、温かなオイルが静かに広がっていく。
透明な雫が肩から腰へと滴り落ちるたび、呼吸は知らず浅くなり、胸の奥で熱が脈打つ。
「筋肉が固まっていますね……深いところまで解していきます」
翔の声は落ち着いているのに、指先が描く軌跡はあまりに官能的だった。
肩甲骨を押し流し、背骨の両脇を辿り、腰骨のくぼみに沈む。
掌が動くたびに、身体は無意識に反応し、シーツに指を食い込ませる。
「ん……っ……あっ……」
抑えきれず漏れる吐息に、自分でさえ驚いた。
彼の手は、やがて腰から太腿へ。
布越しの境界を揺らしながら、オイルを纏った指が内腿をゆっくり滑り上がってくる。
「そこは……っ、だめ……」
弱く制する言葉とは裏腹に、心臓は速まり、秘部はひそかに潤み始めていた。
「安心してください。あくまで施術ですから」
囁きとともに、彼の指が寸前で止まる。
触れない。けれど、すぐ傍まで迫っては引く。その焦らしに、全身が痺れていく。
「膣奥を刺激しながらのオイルマッサージは、脂肪燃焼を促して……筋肉の疲れを解消する働きがあるんですよ」
低く響く声が耳の奥を震わせる。医学的な説明なのに、なぜこんなにも淫らに響くのだろう。
「ひぁ……あ……っ……」
絶え間なく滴るオイルが、太腿から秘部へと流れ落ちる。
まるで自分の欲望が形を持ったかのように。
──触れられていないのに、私は濡れていた。
息を呑むたびに、身体はますます熱を帯び、腰がかすかに揺れてしまう。
「奥様の身体は正直ですね」
耳元で落とされたその囁きに、背筋が震え、羞恥と快感が同時に押し寄せた。
「やめて……だめなのに……っ」
声では拒みながら、私はシーツを握りしめ、彼の手の次の動きを待っていた。
──焦らされるたびに、女としての本能が剥き出しにされていく。
この快楽を前にして、理性はもはや儚い影でしかなかった。
【第3部】絶頂寸前の焦らしとタイマーに奪われた結末──堕ちた人妻の涙と悦楽
「ここまで解してしまったら、あとは流れに身を任せるだけですよ」
翔の声は、静かな湖面に落ちる一滴のように穏やかでありながら、確実に私の理性を侵食していた。
太腿から腰、そして秘部へと導かれる指。オイルをまとった掌が、触れるか触れないかの距離を巧みに操る。
「だめ……そこは……っ……あぁ……」
拒むはずの唇から、懇願に近い吐息がこぼれ落ちる。
私の中はすでに濡れきっていて、ほんの少しの刺激で果ててしまいそうなのに、彼は決して決定的な一線を越えようとはしなかった。
寸前で止まる、掻き立てる、また離れる──その繰り返しが、狂おしいほどの快感と焦燥を生み出していく。
「もっと……もう……お願い……」
羞恥に震えながらも、自ら腰を突き出してしまう。
その瞬間、彼の吐息が耳にかかり、低い声が囁いた。
「奥様……その声、理性では止められないでしょう?」
「ああっ……もう……っ!」
背中を反らせ、喉から迸る声。
身体は絶頂へと駆け上がり、すべてを委ねようとしたその時──
「ピピピピッ……!」
無機質なタイマーの電子音が部屋を裂いた。
「終わりの時間です」
翔の指がするりと離れ、オイルの温もりだけが残された。
「いやっ……だめ……今、やっと……っ」
涙混じりの吐息で懇願しても、冷酷な現実は変わらない。
寸前で絶たれた身体は震え、果てることなく余韻に苛まれた。
オイルに濡れた太腿、脈打つ秘部、熱を持つ胸──。
解放を与えられないまま残されたそれらが、逆に私を快楽の亡霊へと変えていく。
翔はタオルを掛けながら、淡く微笑んだ。
「またご依頼いただければ、続きを」
私は応えられず、震える身体を抱きしめるように丸まった。
──女としての渇きを知った今、夫の無関心な眼差しだけでは到底埋められない。
この“中途半端な焦らし”は、かえって深い欲望を目覚めさせてしまったのだから。
甘美で残酷な終焉。
それは、専業主婦という仮面の下に眠っていた私の本能を、確かに暴き出してしまった。
【まとめ】焦らされ続けた人妻が知った残酷な快楽──オイルに刻まれた忘れられない余韻
専業主婦として日常に埋もれていた私は、派遣マッサージという名の偶然から、女としての本能を暴かれてしまった。
肩こりを癒すはずの手技は、秘部の寸前で止まる焦らしに変わり、絶頂を許さない残酷な快楽へと姿を変える。
──果てられないまま打ち切られる悦楽。
それは、単なる「終わらなかった快感」ではなく、むしろ身体の奥に渇望を刻みつける罰だった。
「ピピピピッ」という無機質なタイマー音が鳴り響いた刹那、私の身体は震えながらも欲望を宿し続けた。
終わりを告げられたのに、心も身体も終われない──その矛盾こそが、女としての私を完全に目覚めさせてしまったのだ。
夫の知らぬ場所で、私は確かに“寝取られた”。
けれどその体験は、裏切りではなく、むしろ自分の中に潜む「女の飢え」を知るための通過儀礼だったのかもしれない。
この物語に描かれたのは、ただの官能ではない。
焦らされる悦び、堕ちていく羞恥、果てられない残酷な終焉──。
それは読む者の呼吸を乱し、鼓動を速め、そして余韻のなかで自らの本能を静かに震わせるだろう。



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