社会人テニスサークルで出会った息子の友人と再会し、合宿に誘われた人妻の体験談【前半】
私は、もう長いあいだ“女性”という感覚を、肌の奥にしまい込んでいたように思う。
病院勤務の毎日、家庭の役割、母としての顔。
だからこそ──その招かれざる偶然は、どこか運命のように感じたのかもしれない。
きっかけは、職場の先輩に誘われた「社会人テニスサークル」。
体を動かしたい、日常から少し逃げたい──そんな曖昧な理由だった。
けれど、あの汗の香りが混じるコートで私は再会してしまったのだ。
高校時代、息子と同じクラスだった玲央くんと。
「……えっ、由美子さん? うそ、久しぶりすぎてびっくりです!」
まっすぐな笑顔に、無防備な筋肉のしなり。
テニスラケットを担いだままの姿が、少年と男の狭間で輝いていた。
私は一瞬、返す言葉を忘れた。
「俺、今大学でテニスやってて。夏の合宿の下見でこっち来てるんです。
よかったら……一緒にどうですか? 社会人の人も混ざってるし、コテージでBBQもしますし」
軽く、無邪気な声だった。
けれど、私の胸の奥に波打ったのは、それとは別の衝動だった。
― コテージにて。その午後 ―
夏の陽射しは、白いスコートの下から肌をなぞるように入ってくる。
合宿の初日。まだテニスという名の表情のまま、私たちはラケットを交わし、
視線を交わし、少しずつ距離を縮めていた。
「由美子さん、フォーム、すごく綺麗ですよね。あと……脚の筋肉、すごく色っぽい」
そのひと言が、決定的だった。
私はそのとき、ショートパンツの下に下着を身に着けていなかった。
というより、朝の着替えのとき、なんとなく「穿かないほうが気持ちいいかも」と思ってしまった。
汗ばむ太腿、布の擦れ、揺れるたびに生まれる微かな音。
誰かに見られているかもしれないというスリルが、内腿に火を灯していく。
「ここのシャワー、外なんですよ。よかったら一緒に…いや、冗談ですけど」
そう言ったのは、玲央の友人・柊くん。
彼は私の汗に濡れたシャツの透けを、ほんのわずか見上げるように見つめていた。
「冗談」ではない目つきで。
「ほんとに冗談?」
そう返した私の声は、少し掠れていたかもしれない。
自分でもわかる。私はもう、快楽の端に足をかけていた。
― 露出のスリル、欲望の兆し ―
その夜。バーベキューの後、男の子たちが後片付けをする横で、
私はひとり、木の陰に寄りかかっていた。
星が滲む夜空、火照った身体。
そっとスカートの裾をつまんで、太腿を広げる。
木の隙間からの風が、直接触れる場所を撫でるたび、
私は唇を噛んだ。
それを、誰かに見られているような気がしてならなかった。
物音。視線。空気の緊張。
足音もなく近づいてきたのは──やっぱり玲央だった。
何も言わず、ただ、私の視線の先に立ち、
そっと顔を近づけて、囁いた。
「由美子さん……明日、もっと動きたいですよね。身体、ほぐしておかないと」
その言葉が何を意味するかなんて、わからないはずがなかった。
私は、頷いてしまった。
もう、理性では止められなかった。
後半:堕ちてゆく夜、その熱のなかで──
あの夜、私は何度も自分の太ももをこすった。汗で張りついた短パンの生地の感触が、なぜかいつもよりも艶めいていたのを、いまでも思い出す。
コテージに戻ったのは夜の8時すぎ。夕食のあと、シャワーを浴びた男の子たちは、それぞれTシャツとジャージ姿でリビングに集まり、テーブルを囲んでいた。
「乾杯しよっか、おつかれ由美子さん!」
彼らに促され、私は缶ビールを受け取った。喉を滑る泡の軽さが、昼間の熱を静かに洗い流していくようだった。笑い声と、アイスの袋が破れる音。リビングに流れる音楽は、深夜ラジオみたいに気怠くて、いつまでもこの時間が続きそうな錯覚に包まれる。
「ねぇ……由美子さんって、なんでそんなに色っぽいの?」
最初にそう言ったのは、翔太だった。息子と同い年の、真っ直ぐな目をした子。
「え? 色っぽいって……私、もう……おばさんよ?」
笑って返したけれど、胸の奥に、なにか熱いものがぽたりと落ちた。
「今日のテニスウェア、正直ヤバかったっす……太ももとか……マジで」
冗談っぽく笑いながら、祐也がそっと私の肩に寄ってくる。少しだけ触れたその肌の温度が、思ったよりも熱い。
そのとき、理性はまだあった。でも、それがどこか薄紙のように、あまりにも儚いものだと知ったのは、それから数分後だった。
「……キス、してもいい?」
テーブル越しに座っていた拓真が、真面目な顔でそう言った。
空気が一瞬、凍りついたように静まる。
私の中にいた“常識”の声は、確かに警鐘を鳴らしていた。けれど、それはもう誰にも届かない深さに沈みかけていた。
気づけば私は、うなずいていた。
たったひとつの頷きで、すべての境界が溶けはじめた。
——
拓真の指が、私の髪にそっと触れる。祐也の手が、私の腰を包み込む。翔太は膝立ちになって私の足元に移動し、目線を合わせるようにして言う。
「触ってほしい。……ずっと、我慢してた」
彼の言葉に、私の背筋がふるえた。
彼らが望んでいるのは、肉体の欲望だけではない。それ以上に「私」を求める目が、三方向から私を射抜いていた。私は、ゆっくりと目を閉じた。
抗う理由も、もうなかった。
——
三人の手が、まるで時間差の波のように、私の肌を伝っていく。誰の手かわからない。けれどそれが逆に心地よかった。
ひとつの唇が、私の首筋に触れた。違う手が、腰のくびれをなぞりながらTシャツの裾をめくり上げる。視線のように熱い吐息が、胸元の布の上にかかると、私は小さく声を漏らしてしまった。
羞恥も、戸惑いも、もう意味をなしていなかった。
「由美子さん……気持ちいい?」
その言葉が耳元で囁かれた瞬間、私は完全に、許してしまっていた。三人に。いや、もっと正確に言えば、自分の中にある抑えきれない“求めたい衝動”に。
今夜だけは、すべてを忘れたい。
いや──思い出していたのかもしれない。“女”だった頃の、自分を。
——
誰かの手が私の内腿を押し広げ、誰かの指が柔らかく沈む。誰かの舌が胸元を優しくなぞり、誰かの声が私の耳の奥を揺らす。
私の身体は、たしかにひとつしかないのに、四つの熱が交差して、重なって、溶けあっていた。
熱くて、甘くて、くるしくて、愛おしい。
それでも私は、ひとつも“いや”とは言わなかった。むしろ、すべてを受け入れるように、静かに、濡れていた。
——
夜が深まるにつれ、私の声は、誰よりも艶を帯びていたかもしれない。
なぜならそれは、彼らの愛撫に対するものではなく、自分の中でずっと凍っていた欲望が、ようやく“赦された”ことへの歓びの声だったから。
明日、どんな顔で朝を迎えればいいのかなんて、考えられなかった。
ただ、その夜の終わりに、祐也がそっと私の耳元で言った一言だけが、今も離れない。
「由美子さん……こんなに綺麗に乱れるなんて、知らなかったよ」
そのとき私は、きっと、微笑んでいたと思う。
なぜなら──
こんなふうに、誰かの視線に“女”として見られたのは、
あまりにも久しぶりだったから。



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