第1幕 光が傾くとき、視線が混ざりはじめる
研究室の窓辺に差す光が、少しずつ橙を帯びてくると、いつも彼らの距離が近くなる。
あの子たち──隼人と蓮。年下の男たちの匂いと声に、私はなぜこんなにも身体が反応してしまうのだろう。
「先生、今日の補講……このあと、時間ありますか?」
そう訊いたのは、蓮だった。静かで冷たい瞳をした子。けれど奥に熱を飼っている。
すぐ後ろにいた隼人が、私の机の端に手をついた。無邪気に笑うけれど、私の髪にふれる仕草があまりに自然すぎて、喉の奥が詰まった。
まだ、何も始まっていない。
でも、もう肌が熱を帯びていた。
私は静かにうなずいた。そうするしかなかった。
机の片づけもままならないまま、私たちは音を立てず、空気を震わせていた。
喉の奥の呼吸、背中を伝う汗、名もない予感。
蓮の指がプリントを揃えるふりをして、私の小指にふれたとき、もう身体の奥は濡れていた。
なぜ、という問いは意味を持たない。
欲望は、ときに理由を持たずに始まる。
第2幕 誰が先に、私をほどくのか
「……先生、目、閉じてください」
蓮の声が耳元にふれて、私は思わずまぶたを落とした。
その瞬間、椅子に座ったままの私の脚の間に、誰かの掌がすっと滑り込んでいた。
ああ、どちらの手……?
隼人? 蓮? 指先の温度が違いすぎて、混乱する。
でも、その違いこそが、私の内側をほどいてゆく。
ブラウスのボタンが、ゆっくりと音を立てて外されていく。
背中のホックに指が触れるたび、呼吸のたびに膨らむ胸がこぼれ落ちていくみたいだった。
「先生……どうして、そんなに綺麗なんですか」
「もっと……俺たちだけに、見せてください」
熱に濡れた舌が乳房に触れ、もう一方の唇が喉をなぞる。
椅子の上に立たされるようにして、私はスカートをずらされ、足を開かされた。
触れてくる指と舌の場所が交差し、私は誰に何をされているのか、わからなくなっていく。
だけど確かに感じていた。
自分の奥が、濡れすぎていること。
膣の入り口で、彼らの指が出会い、交差し、私の中で溶けていくことを。
体位ではなく、欲望の流れに従って変わっていく構図。
机の上で仰向けにされ、片脚を持ち上げられたとき、私は見た。
私を挟んで、目を合わせる二人の青年の、異なる欲望の光。
彼らが、互いに譲り合うようでいて、奪い合っていたのは──
私の濡れた奥、そして感情だった。
第3幕 交わりの果て、私が私でなくなる夜
何度、絶頂を迎えたのか、わからない。
喉を鳴らすたびに、膣がきゅっと収縮し、快感が波のように戻ってくる。
ふたりの唇が、乳房と唇に交互に降りてくる。
私の身体が、彼らの舌で記憶されていく。
もう私は、「先生」ではなかった。
ただの、ひとりの女。
いや……女であることを、ようやく思い出させられた誰か。
奥の奥まで貫かれ、絶頂のたびに名前を忘れ、
汗と愛液に濡れた身体が、研究室の革張りの椅子にぐったりと沈んでいく。
でも、まだ終わらなかった。
蓮が、私の指を口に含みながら、こう言った。
「……先生のここ、まだ欲しがってる」
次の瞬間、私は自分の脚を自分で開かされていた。
隼人の指がそこに入り、蓮が私の乳房を吸いながら、目だけで「もう一度」と告げる。
もう何も言葉はいらなかった。
濡れた音が、誰もいない研究室に響いた。
私の喘ぎと、彼らの熱、革張りの椅子がきしむ音だけが、世界のすべてになった。
終わったあと、静かな沈黙だけが部屋を満たしていた。
私の太ももには、まだ余韻の雫が残っている。
そして──
ふたりの唇が、私の掌の内側に同時にふれたとき、
私はもう、自分の鼓動がどちらの名に反応しているのか、わからなかった。


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